From:松本泰二
最近の中国やベトナムなどアジアの国々の都市では道路が自動車に溢れて渋滞している映像を見ることが ありますが、ひと昔はバイクで溢れていました。さらに、それよりも前の時代は道路いっぱいに自転車で溢れている光景を目にしました。
その頃の日本は既にマイカーブームも終わってほとんどの家庭に自動車があるのが当たり前でした。ただ、 最近は電車やバスなどの公共交通機関が便利な都会では自家用車を持たない人が増えているようですが、郊 外や地方の都市では自家用車が必要不可欠です。
このように、ひと昔あるいはそれより前には自転車は近所に買い物に行く際にも使われて日常生活で必需品 でしたが、最近は自動車や公共交通機関で出かけることがほとんどで、自転車の必要性はなくなっており、 何年も自転車に乗ったことがない人もかなり多いと思います。
自転車に乗れない人はほとんどいない
ところが、自転車に乗れない人は皆無とも思われます。
今でも、公園や広場などでは小さい子供が自転車乗りの練習をしている光景を目にします。自分が自転車に 乗れるようになった時のことを覚えている人は少ないかもしれませんが、近所で子供が一所懸命練習してい るところを見ると、自分の子供の頃を思い出してしまいます。
初めて自転車に乗ろうとしたときには直ぐに転んで痛い思いをしたり、突然勢いよく走り出して怖い思いを したりします。それでも大人や年長の子供のように自分もなんとか乗れるようになりたい気持ちで、何度転 んでも失敗と諦めることなく繰り返し練習します。
最後は、途中で挫折することなく、ほとんどの人は自転車に乗れるようになります。しかも一度乗れるよう になったら、何十年と乗らなくとも、体力が衰えない限り乗り方を忘れることがありません。
ビジネスの成功は、自転車の乗り方と同じ
このようにして、自転車に乗れる人は、誰でもビジネスで成功できると思います。それは、ビジネスが自転車の乗り方と同じだからです。
ビジネスを始めた当初あるいは新製品を開発して販売を開始しようとする際には市場で認知されなかったり 商品が全く売れなかったりして失敗することが珍しくありません。これは、自転車乗りの練習を始めた当初 は直ぐに転んだことと同じです。
ビジネスを始めた当初あるいは新製品を開発した際には、「期待通りにうまくいかないのが当たり前」とい う心構えを持って「失敗を恐れず」にビジネスに臨むのが大事です。最初から成功できると期待しないこと です。
自転車に乗ろうとして直ぐに転んで痛い思いを繰り返しながら、段々コツをつかんで乗れるようになるのと 同じで、ビジネスでも失敗を繰り返しながら成功へと近づくのです。
挑戦のサイクルがポイント
また、失敗して再度挑戦するにしても、そのサイクルがポイントです。自転車練習をする際に、一度転んでからまた練習するのが何日か後だったらどうでしょう。転んだときの感 覚を忘れてゼロにリセットしてからの繰り返しになり、なかなか上手になりません。
転んだときにバランスの取り方やペダルの漕ぎ方などの不具合を学習するのです。転んだ痛みが取れないう ちに一日に何度も練習しそれを何日も繰り返すと学習効果が働いて、自転車に乗れるのが早くなる訳です。
ビジネスにおいて、新しい商品の開発やサービスを開始してから発表するまで1年もかけたらどうなるでし ょう。結果を反映して次の開発に挑戦するのが1年サイクルになり、前の経験が生かされにくくなります。
これに対して、同じことを1ヶ月のサイクルで繰り返したらどうでしょう。
前の経験を次の開発の改良や新しい発想に結びつけることができます。1年で考えれば、12回の経験と挑戦 を繰り返すことになり、自転車の練習と同じように、成功に到達するまでの期間が短くなります。
なお、繰り返しが多くなれば、それだけ失敗する回数も多くなります。失敗が続くと、どうしても気分が落ち込み、次に挑戦するのが億劫になることもありますが、これにめげずに直ぐに挑戦することが大切です。
失敗のサイクルを早くすることは、自転車のペダルを素早く漕ぐことに通じます。ペダルをゆっくり漕ぐと 自転車がふらつき、体で頑張ってバランスを取らないと倒れたりしますが、ペダルの回転数を上げてゆくに つれて体でバランスを取らなくとも安定するので、余分な力を出さないで楽に自転車に乗ることができます 。
ビジネスにおいても、失敗を気にせずにサイクルを早くすれば安定性が増して勢いがつくのです。人は失敗 すると、他人の目を気にして恥ずかしく思いがちで失敗を避けるために消極的になることがあります。しか し、政治家や有名人は世間の注目を集めて、失敗したりすると批判の的になりますが、一般の人に対しては 、他人は自分が気にするほど関心もなく、ほとんど見てもいないのです。
失敗を恐れることなく、自転車のペダルを素早く漕いで安定するように、どんどん失敗を繰り返してビジネ スのサイクルを早めることが成功への近道となるのです。