起業前必読! 当然やってくるトラブルを解決する方法

起業

From:松本泰二

会社員時代は、営業、技術者などの特定の専門家として力を発揮していたことでしょう。しかし、起業して経営者になると、自分の得意分野だけでは経営できません。友達や友人との共同経営、ママ起業などブームですが、どういった形であれ、トラブルは突然やってきます。

残念ながら、トラブルを迅速に正確に解決できないと廃業の原因になる恐れがあります。そうならないためにも、あらゆるトラブルを想定して、事前に解決方法を知っておかなければなりません。

 

ビジネスはトラブルが付き物

会社という組織は、あらゆる専門家の集まりです。

企画力に優れた人材が商品を企画、卓越した技量で商品を製造、商品知識に長けた営業職が販売。経理に関することは法律に基づいて、しっかりと管理されている。

これを1人でまかなうのは無理ですが、経営者はどの部署が何を行っているか、全て把握しています。もちろん、会社にお金がいくらあって、経費がこれだけかかり、業界の動向まで勉強をしています。関係業界とのコネもあり、経営者同士で横のつながりをもっています。

会社の規模は関係なく、経営者は経営のプロなのです。

これから起業を目指す方は、起業家や経営者と話す機会があれば積極的に参加して、話してもらいたいです。幅広い知識と勉強量に驚かされるでしょう。刺激にもなります。

そんな経営者でも避けては通れないのが、突然やってくる「トラブル」です。いつでも自分の会社がトラブルの当事者になる可能性があることを頭に入れておかなければなりません。

身近なものとして、事前に把握しておきましょう。

 

主な法的トラブルと対策

どんな法的トラブルが想定されるのでしょうか。どんな業界でもあてはまる身近なものを見ていきましょう。

■代金の支払いがない

最近ではインターネット販売が増え、代金を回収できないトラブルが増えています。

例えば、

「直接、注文を受け、商品を発送。納品先が代金を支払ってくれない」、「代理店を通したサイトからアップロードで売れたにも関わらず。代理店が支払いをしてくれない」など、前金でないシステムや代理店を挟む売買だと起こりやすいトラブルです。

 

代理店を通した取引のメリットは大きいですが、相手選びは慎重にしたいものです。請求方法は、メールや電話で促しても回収できない場合は、「内容証明郵便」、「支払督促」、「少額訴訟」があることを知っておきましょう。

また、内容証明郵便は電子化されているので、郵便局のホームページから利用できます。

※電子内容証明サービス:

https://e-naiyo.post.japanpost.jp/enaiyo_kaiin/enaiyo/enkn110/engm111.xhtml#

相手方の資金繰りが苦しい場合は、支払い優先順位が必ずあるので、マメに連絡を入れるなど少しでも順位を上げる努力が必要です。

売掛金の時効は2年です。最終手段としては、「強制執行」がありますが、相手方にどのような財産があるのか突き止める必要があります。手間と費用がかかります。起業の段階で焦げ付きを避けやすいシステム作りが大切です。

 

■口約束だけの契約

起業を始めると、取引先が増えてくるでしょう。中には、顔馴染みでプライベートの付き合いもする業者が出てきて、楽しいことですが、よく知っているからといって、口約束だけの発注はおすすめしません。

例えば、100個の注文が1,000個納品された場合、書類上は何も残っていません。どんな親しい相手でも、発注書を必ず交わすことでトラブルを回避できます。従業員にも徹底させることが必要です。あなたの判子がないと、決済ができないなど管理してください。

 

■クーリングオフ

クーリングオフをしたいという書面とともに、使いかけの化粧品が送られてきた場合、どう対応しますか?かなり、多いトラブルです。

ママ起業、主婦起業がブームで、化粧品などの消耗品の販売を手掛ける人が増えていますが、事前に対応を考えておかないと、廃業しかねません。

 

クーリングオフの知識はそれほど重要です。

化粧品、洗剤、健康食品など「政令指定消耗品」に分類されているカテゴリーのアイテムは、クーリングオフの期間中でも、お客様が開封のみ、使用した場合でもクーリングオフをすることができなくなります。

ただし、申込書や契約書のその旨を記載しておく必要があります。この記載がないと、クーリングオフが適用されるので、必ず記載しておきましょう。

しかし、政令指定消耗品以外の商品を開封したらクーリングオフできないなど、誤解、嘘の内容の契約を行った場合は、行政処罰の対象になります。

 

通信販売とクーリングオフの関係も見ておきましょう。

例えば、あなたが起業したサイトのハンドメイドのアクセサリーを購入した人から、クーリングオフの文面とともに、商品が送られて返金を要求されました。

当然、訪問販売とは違い通信販売ですので、クーリングオフ制度は適用できません。返品の義務はないのですが、特定商取引法を見ると、「通信販売(ネット販売)においては、返品制度の有無とその内容を記載しておかなければならない」と記されています。

ということは、事業者が消費者に返品のチャンスを与えるかどうかを任されているという解釈ができます。商品の返品に関しては、送料負担、返品期間、返品を受け付けないのか経営方針に照らして、記載しておくといいでしょう。

ただし、返品を受け付けるという業者の方が、消費者は安心して購入できる側面があります。手に取って購入するものではないので、サイトの安心感というものは売上に大きく関係します。

 

■イベント時期に商品の納品が間に合わない

とくに、流通が1番増える12月のクリスマス商戦に合わせた仕入れが、イベントに間に合わないで納品されると、お客様の信頼を裏切るだけでなく、価値のないものになってしまいます。

この場合、法的に言うと、取引先のミスで契約が履行(りこう)されていません。

「債務不履行責任」について、どう対応するべきでしょうか。

債務不履行責任(履行遅滞)が発生した場合、

あなた(買主)は、納品を依頼した業者(売主)に対して、早く商品を届けるように請求する権利と、いつ届くのか分からないという理由で契約を解除することが法律で認められています。もちろん、いくら相手が商品代金を請求してこようが契約解除後は、代金の支払い義務はありません。先に支払っている場合は、代金の返還請求も可能です。

納期が遅れたことにより損害が発生した場合は、売主に損害賠償の請求をすることも認められています。

 

逆の立場(あなたが売主)の場合でも、納期遅れはとても重大な損害につながります。取引先を失うことにもなるでしょう。身の丈に合った受注で、トラブルを避けていきましょう。

 

■著作権侵害に気を付ける

インターネットを使えば、誰でもデザイン、写真、小説、ソフトなど著作物に触れられることができますが、無断で使用すると著作権侵害となるので注意が必要です。

気を付けたいのは、著作物は全ての創作物に対して自動で発生します。自社のサイトに使うなど利用する場合は、創作者の許可が必要です。違反した場合は、刑事の懲役や罰金、民事の損害賠償請求が待っています。

スキルを使った起業では、侵害するつもりはなくても世に出回っているものが多すぎるので、似たものがあるかもしれません。納品する前に、コピペチェックなどのサイトを利用して侵害していないかの確認が必要です。

 

最後に

トラブルだけに限らず、あらゆる事態を想定して起業の準備を進めることが重要です。専門家で良かったサラリーマン時代と大きく違うことは、経営者はオールラウンドプレーヤーになる必要があることです。

サイバーエージェントやカヤックなど友人同士で起業した成功例もありますが、友人同士ならではの信用から生まれる問題点も出てくるでしょう。そうならないためにも、事前に細かく取り決めをしておくこが長続きの秘訣です。