第29回:葬儀と法事・僧侶のおぼうさんどっとこむ/後編

葬儀と法事・僧侶のおぼうさんどっとこむ/前編

 

お布施でクレジットが組める??

松本
500万というのは
林社長
僕も聞いたことがない金額でした。そんなことがあって、そういうこと、ほんとに言う人がいるんだと思いましたけど、高額なお金を請求されたという話は、他に聞いたことがなかったわけではないですけども、まさか、それで帰っちゃう。やってくれないという話は何なのというふうに思いましたし、ただ、その後、僕は起業して、調べてみると、最高額は3,000万まで請求されている人がいて、なかには、600万でローンが組める、お寺さんまであるという話で、なんだそれという。

 

結局、ローンやクレジットが組めるというのは、当然、物販の世界ではあり得るかもしれませんけど、そのサービスの対価というか、お布施でクレジットが組めるって、どういうことなのという話まで出てくる始末だったんです。だから、僕が聞いた500なんていうのは、重箱の隅に一つあったようなもの。だから、ほんとにあちこちつつけば、そういう話まで出てくるんだなと。変な話、法事で宴席にご住職ついてもらうためには、1本立てないと駄目なんだよという人が出てきて、どういうこと?と言ったら、100万円束で立てないと席にまでついてもらうことができない。

要するに、ご法事はやってくれても、その後のお席まで同行するには、100万円の支払いをしないと、その宴席にまでついてくれないご住職もいるという話まで出てくる始末だったので、世の中どうなっちゃっているんだと、たかだか、30分、40分のご法事のお経の後、お食事どうぞという振る舞いにつくのに、なんで100万もかかるんだと

 

松本
それ何年前くらいですか?
林社長
僕が起業して2年くらいの間に聞いた話を総合して、今、お話をさせていただいているので、10年くらい前ですね。だから、そういうことがえてして、起業して、もっと他にもないのかということで、フィールドワークしてみると、こんな話があるよ、こんな話があるよって、あちこちから聞こえてくることが、まともにやっているお寺さんが大半のなかで、そういうことを平気でやり続けているお寺もあると。

 

どちらかと言うと、金銭欲にまみれた、ビジネスを超えちゃっている。ビジネスって、金銭欲じゃないじゃないですか。世の中の人のために役に立って、対価として報酬を受けるということだと思うんですけど、世の中の人を困らせて、脅して、そうじゃないと先祖からの罰が当たるぞとか、そんな可哀想なことして、先祖が浮かばれないなとか言われれば、さっき言ったように不安になるわけですよ。そういうことって、やっぱりしちゃいけないのって、じゃあ、言われたまま払いましょうみたいなことをさせている。それって、恐喝と変わらないと思うんですよね。

 

そんなものどこにもないし、仏様の教えって、そういうものじゃないと思うので、みんながちゃんと生きていけばいいはずなのに、いつの間にか恐喝まがいのことが世の中にまかり通ってきちゃっている。そういうものに対して、今度、お布施なんだから領収書はでませんよという話を、世の中、まことしやかに言っていましたけど、いよいよ、税務署が動き出すようになってから、今のところは、そういうところもしっかり税務署のほうも見るようになってきているので、いよいよお寺さんも、ちゃんとした、どんぶりでやっているようなところじゃなくて、経済基盤を整えて、その風に対する準備もしておかないと、いっぺんでひっくり返されちゃう時代がくるんじゃないかなと、その前に、我々はこういうかたちで少しでも、そういう世の中の多くの人たちが悩みを抱える部分と、お寺さんがしていかなければならないと考える部分を、両側面から支えるために、この事業に足を踏み込んだというかたちなんでしょうかね。

 

松本
それで独立したというかたちですか。当時は、何も、反対とか、そういうのなかったですか?
林社長
家族のなかに、大丈夫なの?というのはありましたし、これ坊さん連中に相談したら、やめとけとなるのは、多分、半分以上だと思うんです。半分以上というか、ほとんどだと思うんですよね。なので、僕のなかで、そう気がついたというか、そう思った気持ちは止めることができなかったので、誰にも相談せずに、仏教関係者はですね。そうではない、世の中のある人に、こういう思いで、こういうことがしたいんだけどというのは相談させていただいて、僕が所属していた青年会議所というところのご縁のなかに、そういうものを後押ししてくれる仲間とか、先輩とか、後輩とかいたので、話を聞きつつ、じゃあ、どういう方法を選んでいこうかなというふうになりました。

 

基本的には、仏教なので、宗教法人というのを取りたかったんですけど、宗教法人はオウム真理教の事件以来、東京では認可がほんとに下りづらくなっているよということもあって、僕がやろうとしているのは今止めないと、仏教が廃るということなので、なるべく早く、そういうものに手をつけたかった。

 

そうすると、じゃあ次は、NPO法人はどうなのという話になっていくんですけど、暴力団の話があったりとか、ちょっとそれも認可が少し時間がかかると、ちょうど会社法が変わっていたので、1円から会社設立できますよという時代になったので、さあ、どうしようとなったときに、でも、お金稼がなきゃいけないんだよなと、お金稼ぐ、イコール、仏教じゃないと、僕はどこかで思っていたので、これはやる事業じゃないんじゃないかと、株式会社にしてはいけないんじゃないかというふうに思っていたんですけど、お金儲けをしなくても成り立つという会社を作って、あなたが世に知らしめればいいんじゃないかと、そのときのコンサルをしていた先輩が言ってくれて、できるのか、それでもと、株式会社って、お金儲けだけじゃないんだよ、利益追求じゃないんだよというのを、あなたが見せる会社を作っていけばいいじゃないかと、それが仏教を広めていくのに役に立てば、全然問題ないんじゃないのと、理にかなっていれば、利益ではなくて、ご利益というもので、あなたの会社にお金が回ってくるんじゃないのと、それが仏教の考え方じゃないのというふうに諭されて、そうだなと、大変な思いをするの覚悟で、株式会社という道を選んで、運営を始めたということですね。

 

松本
何から始めたんですか?
林社長
法人の設立登記というところから、その先輩がサポートしてくれたので、社名決めないとなと、あと、社名と同様に、ほんとに大切なのが理念だよって、企業理念と経営理念というものを両立てで考えて、会社を動かしていくというのが、そこから自分がぶれないために、どうしていくかたちを取るのか。それを考えようということで、一緒に考えていただいて、社名も世の中に広く認知されていくために、ホームページを今、ウェブサイトというのは、すごく有効な手段になっているから、そこを考えたうえで社名も考えてみないと言われて、どうしましょうかねと悩んでいたら、お坊さんドットコムというのはどうとご提案をしていただいて、お坊さんドットコム、やたらと、ローマナイズされているような名前ですけど、もうちょっと近くにある雰囲気がいいなと、じゃあ、全部平仮名にしちゃえばいいじゃんと言われて、平仮名、子供も読めるからいいですねと言って、おぼうさんどっとこむという社名に決まって、この会社どこを目指すの、理念決めないとと言ったので、企業理念、今言っている、僕は仏教というのは人が生きるためにあるものなので、僕はこういう世の中になったらいいなというのを言葉にすれば、「心豊かな人があふれる社会を創る」というものですと言ったら、それいいね、そのまま使おうよと言って、企業理念に据えて、スタートのところを、こういうことをやりたい、実は、人の生きる道を支えるところで有効な手段として、教えとして、仏教を使っていくので、例えば、1法話いくらとか、あとは、1講座いくらみたいなもので会社を運営していきたかったんですけど、世の中の人たちが、それを聞いても、そんなのお金取らなくてもいいでしょ、お坊さん別に葬儀でお金貰っているんだから、法話はタダでやるのが普通でしょというような話が大半だったりとかしたので、いきなり、そこでいくのは難しいのか、だったら、葬儀でほんとに困ってらっしゃる方、僕の友人のそういうこともあったし、そちらから基本的には入っていこうと、そこで支える場面もあっていいんだなということで、基本的には金額を決めて、不安なく使っていただくお坊さんが行けると、来てくれるというサービスをしていこうということを軸に考えて、葬祭業の一部として、会社のほうは担いを始めたということですね。

 

松本
ちなみに、名前なんですけど、おぼうさんどっとこむ以外は出なかったんですか?案は。
林社長
何とか寺と、お寺の名前にしちゃえばというのがあったりとか、やることがお寺と同じことやろうとしているんだから、何とか院とかですね、何とか庵とかですね、そういうのはありましたけど、ごちゃごちゃ言っている間に、おぼうさんどっとこむというのが出てきて、いいっすねみたいな。

 

松本
でも、当時、あれですよね。
林社長
どっとこむ流行りだったというところもあるかもしれないです。確かに、その流行りに乗ったというのはあるかもしれないし、ウェブサイトで見せていくうえでは、確かに、おぼうさんどっとこむというのはいいのかなというふうに判断をしましたね。

 

松本
そうですよね。平仮名というのもいいですよね。
林社長
そうですね。平仮名10文字で子供にも読める。もっと分かりやすいものに仏教はなっていかないといけないよという。縁遠いから、縁遠くしているからこそ分かりづらいけど、そういう神秘性を秘めるためには、縁遠くしていれば、それでいいんだみたいなところがあったと思うんですけど、僕はやっぱり身近にあって、触れていただけるような要素の敷居の低いところに、子供が読めて、子供が分かって、子供とともに、親が一緒に成長していくというような、そんな世の中を実現するためには、この社名は確かにぴったりかもなというところで、最終的には決断をしたというところかもしれないですね。

 

業界の常識は世間の非常識 !

松本
お布施額はどうしようかなと決めていたんですか?
林社長
基本的には、最初は決めていなかったです。ただ、みんなにアンケートして、世の中の人はどういうふうに考えているんだろうというのを聞いて、それを判断軸にして、最終的には決めていこうと思っていました。老若男女、一番年上の方でも70くらいの方ですかね。一番下で高校生、17歳の高校生に聞いて、出てきた数字が0から50の間で、お葬式のときにどれくらいのお布施だったら、みなさん気持ち良く払える。お願いができるという額ですか?というのを聞いて回ったら、0から50万での回答を多くの方からいただいて、そのなかでだんだん数字がぶれなくなってくるのが、15万前後で、多少は上に上がったり、下にきたりするんですけど、アンケートごとにあまりぶれなくなったのは15万円という線を中心に上下が多少5万上がったり、5万下がったりというところから、ずれなくなりだしたので、これがだいたいの人が思っていることかなと、一旦判断をしようとしたんですけど、聞いているのが坊さんなので、ちょっと色つけてくれているかもしれないなと、そうすると、そのなかで、一番、実は答えで多かったのが、中心の部分にあったのが10万円というところでしたので。

 

そうすると、10万円というのが一つのラインになるんじゃないかと、でも、じゃあ、なんで15って平均値が出てきたのかなとなると、坊さんだから色つけてくれている部分と、これこだわったら、こだわり賃として、自分は何宗のどういうかたちのお経であげてもらいたいという方と、いや、もう何しろ仏教だったらなんでもいいんだ、仏式のものだったらなんでもよくて、そこをやってもらえれば、それでいいんだよという、二つに分けたら、この15と10の意味合いも分かるなということで、15万円のほうは、こだわり賃、宗派を指定される方に対しては、この金額で行いますよと、10万円のところは宗派をこだわらず、仏式だったらなんでもいいんですよという方に対して、値付けをしていこうというところで判断を一旦していたんですが、僕も縦横、宗門の先輩方に仏教界のお仲間とかいるので、話を聞いたら、そんな金額でなんかやったら、お前のところに全部流れちゃうじゃないかと、だいたい世の中の相場に合わせないとまずいよと言われて、そういうものですよねと、そうかということでスタートは、そういう助言もいただいたので、じゃあ、お布施30万、戒名つきで、宗派指定をいただいて、この金額というのでスタートさせたんですけど、それじゃ、お寺さんと変わらないわけで、ビジネスとしてうまくいくわけないんですよね。

 

家の電話が止まり、住民税が滞納し、自殺まで考える

松本
15万というのは、やっぱり当時は非常識という金額な感じ?
林社長
だから言われたんじゃないですかね。15って僕が言ったことに対して、僕は、そういうアンケートの結果が出ているから、常識も非常識も関係なく、世の中がそう思っていますよというのを言ったんですけど、「そんなんじゃ、お前、寺やっていけないよという話とか、お前のところに全部流れちゃうよ」という話から、分かりましたと、そうだよなと、お寺さんも潰れちゃ困るもんなというところがあったんですけど、結局そんなことやって、1年目は420万しか売上が立たないので、丸赤字ですよね。

 

自分の給料も取ったり、取れなかったりということで、銀行融資とかも底をつき始めちゃうし、さあ、これどうしていったらいいのということで、2年目770、80万でしたね。売上は立つけれども、確かに、上がってはいるけれども、利益はそう多くない。会社を運営していくうえで、このままじゃ、どうなっちゃうのというところだったですし、だから、その三期目のときに転換期がくるんですけど、1,000万を三期目までに超えなかったら、売上が法人は外そうと自分のなかで決めていて、税理士さんにも税理士費用を待っていただいたりとか、そういう状態だったり、あと、事務所もですね、最初は先輩の事務所の間借りだったところから、友人のところの喫茶店の一部を改修して、自分の事務所にしていたので、その一部、林さん使ったらと言ってくださっていたので、そちらへ移動したんですけど、そこの家賃すらお支払いができないというなかで、非常に苦しい3年目を終えて、結局のところ、みんなに待っていただいたりとかして、それでもなおかつ、1,000万に届かないと、これはやめろと、神や仏の掲示だろというふうに勝手に判断をして、税理士さんにも待っていただいているけど、お金払えないし、こんな状況じゃ、自分一人で借金背負うから、個人事業に変えて、一から借金を返すことだけ先にやりたいという話をしたら、それでも、こうやって着実にちょっとずつは伸びているじゃないかと、今諦めてどうするんだと、僕はほんとに自殺まで考えていたので、でも、家に帰って、妻に、その話をすると、なんで辞めるのと、もう家のほうも電話が止まったりとかですね。住民税が滞納で督促が来ていたりとか、非常にこれはもう生活していくうえでもかなり厳しいなという状態だったんですけど。

 

松本
結構やばめな。
林社長
やばめですね。大変じゃないのという状況だったんですけど、それなのに、うちの妻があっけらかんと、「私が頑張ればいいんだから、なんで今辞めるの、あなたがそう思っているのに、今は厳しいかもしれないけど、周りもそうやって許してくださっている間に何とか頑張って、許してくれているからいつまでもというのではなくて、やれることをもう1回やってみて、それでほんとに諦めがつくんだったら、私はほんとにみかん箱一つで生活していってもいいので、四畳半一間で、別にそれは気にしないで、もう少し続けてみたら」と言われて、税理士さんにもそうやって着実にちょっとずつは売上が上がっているんだから、なんで、ここで辞めるんだと、僕の税理士料なんていいよと言って、それはもう大きくなったときに返してくれればと言っていただいて、俺は何をしていたんだろう。ここまで何かやっていなかったことはないかなと思ったら、あ、金額、アンケートで取ったにも関わらず、なんで僕はこの金額のままやっているんだ。

 

松本
いくらでしたっけ?
林社長
15万、10万という金額を、先輩に言われて、相談した人たちに、そんなの世の中、今30万くらいなんだから、それに合わせてやるべきだろと言ったので、結局、そうだよなというので、金額を下げずにスタートをしていたものを、これじゃないわというところで、一気にもともとのアンケートで出た数字に自分も背に腹は変えられない。

 

人の家の寺の心配をしている場面じゃないだろうと、お客様のためにやろうとしたことが、ある寺のための事情にすり変わっているのは、これ何?ということで、自分でアンケート通りの数字に変えて、お金も底をついていますので、白黒のコピーでしかチラシも作れませんし、そういうものを一から作り直して、世の中に頒布していくというんですかね。

そういうことを自分の足で、誰にも頼めませんので、自分でやっているのを、そんなホームページを全部変えたところを、読売新聞社さんの記者さんの目に止まって、その方がインタビューしてくれなかったら、多分こんな大きく変わることはなかったと思うんですけど。

 

軌道に乗ったターニングポイントは?

林社長
三期目、四期目の途中の6月ですか。読売さんの記事に首都圏版の夕刊の首都圏版ですけど、そこに載ったことがきっかけで多くの方たちが目にしてくださるようになって、その後は流れで、今度はテレビの出演、ラジオとかというものがありまして、そこで取材をいただいて、一気に話が世の中にブワーと出ていくという感じになったということですかね。

 

松本
新聞に取り上げられたときは、金額は下げていたんですか?
林社長
下げていました。

 

松本
あまりそういうふうにやっているところも。
林社長
なかったですかね。結局、会社として始めているのは、うちくらいで、あとは、結局、葬儀自体がブラックボックス化しているなかで、アンダーグラウンドで名前も出せないかたちでやっている方たちはネット上にいたんですけど、僕は正式な僧侶の資格も持っているし、堂々と顔出して、やっぱりアンダーグラウンドのどこかで忌まわしいやり取り、おかしなやり取りがあるような、できちゃうような状況を作るのではなくて、僕らやっぱりしっかりそういうものをやっていくんだという思いだったので、そうならないためにも、僕は顔を出して、どういう素性かも全部明かして、しっかりそういうかたちを世の中に作っていくぞという思いだったので、全部出していたんですけど、そんなこともあって、全部出しているからこそ、嫌がらせの電話とか、あと、脅しの電話とか、いっぱい入ってきましたし、電話だけでなくて、郵送の書類で、どこから届いたか分からないようなもので、潰してやるとか、そんなのはいっぱいありました。最初のころはですね。

 

業界の常識があるなかで、非常識に踏み込むときの心理的なメンタル的な部分の気持ち、どういう心理状況だったんですか?

林社長
基本的には、言ったように、この国から仏教廃れちゃうよがスタートだったので、起業するときの、だから、お前らの言うことなんか聞いてられないよという。だいたい、そういった脅しにくるのは、葬儀社さんか、あと、寺というふうに相場がきまってたので、どっちかから来られても、俺がやろうとしていることは、「あなたたちを敵に回すことだと最初から分かっているよと、でも、それやらなかったら、この国から仏教なくなっちゃうんだから、そっちのほうが大切でしょって、あなたたち、寺が潰れるか、潰れないか、そんな小さい問題じゃないんだよ、この国から仏教廃れさせてならない」という思いだったので、脅されても、何されても嫌な思いはしましたけど、とにかく僕の思いのなかでは仏教とはこういうものだというのがあったので、その人たちが世の中の人たちが困るために仏教があるんじゃなくて、世の中の人が、そうなったときに支えられる教えが仏教なんだから、それをこの国から絶やしてはいけないということで、寺は全部敵だというふうに、最初はその怒りの部分で何とか回せたというところですかね。

 

松本
葛藤はなかったんですか?
林社長
もちろんありましたよ。やっぱり売上面も良くなってきて、そうするとやっぱり大きな組織。仏教を束ねているような組織から、こんなのおかしいんじゃないのというふうに言われたりとか、そういうものをホームページ上に掲げられて、当然、おぼうさんどっとこむと検索すると、下にそこがこう言っていますよみたいな、削除要請みたいなものが出ていたりとかするわけですよ。でも、僕としては、そんなものにね、負けるわけにはいかないし、世の中の人たちのためを思って、どうしたらいいのかをもっと考えたほうがいいんじゃないですかという立場だったので、実質、そういうものがきても、葛藤はしましたし。

 

その全日本仏教会さんとのシンポジウムの席にも招かれてお話をさせていただいたんですけど、当然、賛否両論あるのは分かったうえで出ていきました。ただ、そうなったときに、自分も心理的に相当揺らいで、やっぱり僕のやっていることは間違っているんじゃないのとなって、僕がもうお付き合いのある、元の経産省のお役人さんが陽明学と、王陽明さんの学問を広める私塾をやってらっしゃって、そこに行ったときに、その僕の心の支えになった言葉を王陽明さんが使ってらっしゃった、今でもそれは僕の座右の銘というか、ほんと心のなかにあって、ほんとそうだよなと思っているのが、「政賢の言なれど心に適わずばこれを用いず」という言葉なんですけど、要約すると、どんなに偉い人、優れた人の言葉であったとしても、自分の心を照らし合わせて、それに適してないなと思ったら、それを用いないということなんですね。

 

それは僕が今やろうとしているのは、今まではこうきたかもしれないけど、世の中変わるべきところで、変わるタイミングで、それをまた僕が使ってしまえば、結局のところ、30万だと言われたものを、30万と使ってしまえば、世の中の人のためにならない。求めているものに対して、答えが出せない。だったとすれば、僕が今やろうとしていることは何も間違いではなくて、正しいわけでもないけど、一つの道として世の中に提示をしていくことができるんじゃないかということで、やっと肝が据わったというか、ぶれていた部分もそこからは一切なくなって、自分がやることが世の中のために必ずなるということで継続ができたということかもしれないですね。

 

松本
そこは信じていた。自分を。
林社長
そうですね。ちょうど震災の年だったんですよ。そんなこともあって、自分も震災のように大きく振られたんですけど、実際は自分の道、ここにありということを決められて、しっかりそこを見据えて、批判は当然受けても、今までと違うことやっているので、これ致し方ないと、ただ、私はそういうことを見つけたんだ。再創造する道を歩んでいくんだと、はっきり決めたので、そこはぶれなくなりましたね。そこからは。

 

これから起業する方で、まだどんな分野に進もうか迷っている方向けにアドバイスをお願いします。

林社長
気付いているのに、ごまかすことだけはやめてもらいたいというところかな。自分でこうすべきじゃないかと分かっているのに、でも、今、世の中にこういうものは他にもあるからなとか、でも、自分だったら、どうするんだろうというのをもう1回考えてもらうとか、この引き出しのなかで僕が今、これを有効な手段として使えないなら、新しい引き出しを作ってみようとか、そういう考え方を持ってもらいたいなというところですね。

 

はっきり目覚めてもらいたいということかもしれません。自分というのは、一体誰なんだと、自分に問いかけるということを、しっかりやってもらいたいなということと、あとは、誰とそこへ行くのかというのを決めてもらいたいなと、この二つが決まってくれば、多分腹が据わってくると思うので、起業って、簡単じゃないです。確かに、僕も挫折というか、お金の面で相当苦労もしましたし、周りにも迷惑かけましたけど、でも、支えられているんだと気がついたときに、やっぱり自分のなかに感謝と、その人たちの愛を感じることができたので、それを世の中に返していく、これは続けていける一つの、ほんとに背中を押す力になってくれるなと思っているので、まず、やっぱりしっかり自分にほんとに私はこれでいいのかというのを、誰とそこに行くのか。

 

目指すべきところはどこかというところを、しっかり自分のなかで問いかけていただいて、かたちなんていいんだと思いますね。いくらでも道があると、さっき言ったように、いくらでも道があるので、そのなかで自分がほんとに世の中のためになる手法というのはどうなんだと、お金を稼ぐというのを目的にすると、多分ぶれると思うので、理念を先にしっかり作っていただいて、利益というよりも、僕も仏教の言葉のほうのご利益をいただいているというふうに思っていますので、必ず、それはついてくるもの。正しいというのもちょっとおかしいんですが、正しい、間違いというのは、二極化した考え方なので、自分が目指すものがぶれていなければ、悪いことして金稼ぎますよという人はまずいないですね。

世の中にいいことを、どういうふうに具体化させて、そこへ進んでいく。そこを目指すのは、これでいいのかという問いかけと、誰と行くのかというのをしっかり考えていただくことによって、多分その事業というのは大成もしていくでしょうし、退化もしていくでしょうし、さらなる進化もしていくというふうに思います。

 

最初の資金はどれくらい用意したほうがいいですか?

林社長
最低300はあったほうがいいような気はしますね。僕は自己資金は200万でした。自己資金200で、銀行融資合わせて、500。銀行から300借入れましたけど、がっつりすぐショートしたので、丸1年でショートしました。事務所の費用とか、あとは、身の丈のところから、場所も始めていただく、だから、SOHOでいいと思うんですよね。

事務所的なところを、まず、ここに構えなきゃという考え方もまず捨てていただきたい。職場と自宅は離せという人がよくいますけど、それも僕嘘とは言いませんけど、考えなくていいと思います。今あるまま、今があるままやっていただくのが、だから、資金がなければ、自宅で始めるのも一つの手だと思いますし、考え方次第だと思いますけど、そんなものに無駄なお金を使うよりも、世の中の人のために役立つためには、今ここでやっていくというスタートも僕は一つありじゃないかなというふうに思っていますね。

 

今後の事業展開、仕事上での夢を教えてください。

林社長
僕が考えているのは、完全に人が生きるために何をできるかなので、あまり死後のことで悩んでほしくない。今後、絶対かたちも変わってきて、墓地のかたちもそうですし、仏教の担いというのも今させていただけていることに、死後の担いをさせていただけることに感謝をしないと、それこそやってやっているというお寺さんは、いずれにしても、淘汰されると思うんですね。

 

させていただけていることに、まず感謝をしていくこと。なので、僕はそういうものを、みなさんと共有ができる事業を作っていきたいなというふうに思っていて、今、私どもが五大事業と言っているなかでも、特に、生きている人と関わっていくものを、もっともっと積極的にやっていくべきだなというふうに思っていますし、その最後に必ず、みなさんが来るべき命の終え方が死というものであるとすれば、そこを怖がらずに往ける。もうやり切った。生き切ったというのを自分の魂にしっかり伝えて、この世から役目を終えていってもらいたいなという、そういう事業を多くの方たちに安心を与えるというんですかね。

 

生きているなかで、そういうものを自分がやり切ったと思えるように、行動もしていただくし、思考もそういうかたちでしていただくし、感情というものも、そういうかたちに持っていけるように、いろんなセミナーであるとか、座禅会であるとか、法話会であるとか、様々な場面を通して、伝えていける。そんな事業を展開をしていきたいなと、葬儀とか、死後の担いというものは、薄くなるとは言いませんけれども、ほんとに必要とされているうちはお手伝いをさせていただきますが、そこを失わないためにも、まず、その機会を与えていただけることに感謝をして、まずは、生き方をどう支えていくか。どうサポートしていくか。そういうことに重点、力点を置いていきたいなと思っています。

 

起業を考えている方へのメッセージをお願いします。

林社長
常識をぶっ壊せ。ただ、それだけです。

 

松本
本日のゲストは、株式会社おぼうさんどっとこむ 代表取締役社長 林数馬さんでした。ありがとうございました。
林社長
こちらこそ、ありがとうございました。

 

 

起業におすすめな本/社長の「1冊」

神との対話―宇宙をみつける自分をみつける

92年、春。私生活と仕事の両面で苦しんでいた著者は、「神」に宛てた手紙の中で、やりきれない心情と疑問をぶつけた。書き終えてペンを放り出そうとしたその時、「神」からの回答が…。

 

株式会社おぼうさんどっとこむ 代表取締役社長 林 数馬(法名:行摂)

お寺に生まれ、大正大学大学院修士課程修了後、関東各地の寺で修行を積み信念を持って僧侶としての人生を歩む。

そんな中、数多の理不尽なできごとをきっかけに現代日本人のお葬式のニーズと、僧侶としての本来の在り方と現状に疑問を感じる。社会に信用される、僧侶としての新しい形を模索した結果、誰もが気軽に利用でき、明瞭な価格でのサービスを提案したいと考え、「株式会社 おぼうさんどっとこむ」を設立、『大切なのはその心、生き方の一つにご供養がある」をテーマに葬儀への僧侶派遣という新しい葬儀の形に取り組んでいる。

彼の提案する新しい葬儀の形は各界で話題となり、読売新聞、New York Times、産経新聞などのメデイアに次々と取り上げられ、更にNHK(ゆうどきネットワーク)、テレビ朝日(スーパーJチャンネル)、TBS(ひるおび、)テレビ東京(ルビコンの決断)で特集されるなど既成概念に固まったご供養という世界に新風を巻き起こす。

現在、登録僧侶250人の先頭に立って葬儀やご供養などに赴く他、自分の人生を自分で選択して行く「自己決定力」の大切さや社会起業家としての考え方などを説くための法話会を開催している。また、学校、経営者勉強会、企業、社会福祉法人などでの講演、連携・提携業者と共催の葬儀セミナーや生きかたセミナーなども開催している。

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