起業ネタの探し方。起業ネタを探すための情報源!/基礎編

起業アイデア

From:松本泰二

上司の目を気にしながら働くのがいやになった、独立して自分の力を試してみたい、定年退職したがまだまだ元気なので新しいことを始めたい・・・様々な理由で起業を目指す人が真っ先に考えることは「何をしようか」、つまり「ネタ」でしょう。

もちろん、起業するには資金、起業のノウハウ(会社の作り方や手続き)等々について検討・把握する必要がありますが、「ネタ(アイデア)」が決まらないことには進まないわけです。

 

自分の得意な趣味を生かしたい、あるいはこれまでの仕事で培った経験を生かして起業したいと考えている人は別にして、特にアイデアを持っていない人は先ずインターネットで検索するでしょう。リスクが小さく儲かるネタを期待して調べることでしょう。なお、日頃パソコンやスマートフォンを使っている人はインターネットにこだわってしまいますが、アナログ的な印刷物などにも有益な情報がたくさん埋もれています

 

インターネットでの起業のネタ探し

「起業 ネタ」とキーワードを入れて検索すると、「○○○起業できそうなビジネスのアイデア・ネタ 」、「○○○起業ネタ、やりたいことの見つけ方」等々のタイトルのウエブサイトが数え切れないほど出てきます。これらのウエブサイトは、次の通り内容的に幾つかに分類されるので、自分が重視して調べたいことを考えながら効率的に調べましょう。

 

A. 方法論

ネタそのものを提示するのではなく、ネタを探す手順について述べています。例えば、先ず需要として既に多くの人が求めて広く流通しているネタで、不満や要望を見つけます。次に、実践的に自分の興味のあるネタを探して不満、要望があるものを書き出します。

この後、ピックアップしたネタがビジネス化できるかどうかを検討します。この手順でアイデアを1日に10個などノルマを決めて探す。この手順のポイントは、簡単にいいアイデアが見つかることはないので、粘り強く探すことと、自分自身が興味を持てるが不満を感じているアイデアによって発想が広がることです。

 

また、別のウエブサイトでは、新しいアイデアを生みだすきっかけとして既存の要素を組み合わせたり、世間で常識と考えられていることを疑う等を挙げています。

その他、様々なアプローチを提案しているウエブサイトがあるので、参考にしながら自分のセンスにあった手順を考えてみましょう。

 

B. 心構え・ビジネスの考え方

起業ネタを探すにあたっての心構え、スタンスについて述べているウエブサイトも多数あります。そららのほとんどで強調しているのが、好きなことをネタにすることです。「趣味を仕事にすると趣味じゃなくなる」といった意見もありますが、「好きこそものの上手なれ」ということわざもあります。興味のあることでは苦労も気にならずにいろいろと工夫して頑張れます。

また、「他人がしていない商売」「全く新しい商売」などと考えると、結局は何も浮かんでこない、「普段の生活上、不便なことや面倒なこと、無駄なこと」を考えていれば商売ネタは浮かんでくる、といったような趣旨の記述も多くあります。

 

C. 具体的な商売・アイデアを列挙しコメント

「○○○起業できそうなビジネスのアイデア・ネタ 」などのタイトルで具体的な商売・アイデアを列挙し、コメントしているウエブサイトもたくさんあります。思いつくままに羅列したものから、業種毎に分類したもの、開業資金毎に分類したもの、儲かることや有料であることを強調して列挙したものまで、千差万別です。

 

ネタとして挙げられている中には、「経理」、「不動産仲介業」や「セミナー講師」などの資格や実務経験が必要と考えられるもの、「煙突掃除」あるいは「ボートの清掃」など米国のインターネットに掲載されているネタを取り上げて日本では馴染むのか疑問のあるもの、「アリバイ会社」、「バーチャルコインロッカービジネス」など怪しげで何をやるかよくわからないネタ、「不動産投資」などリスクが心配になるものなど千差万別です。

自分でネタを探す場合には、これまでの経験や知識に囚われて新たな発想が出にくいのですが、ブレインストーミング風に思わぬネタを目にして刺激を受けたり批判しながら、発想が柔軟になり、自分なりの面白いネタにたどり着くことも期待できますので、疑問を抱いたり怪しげに思うウエブサイトを眺めてみるのも無駄にならないかもしれません。

 

インターネット以外での起業のネタ探し

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これまで述べたようなインターネットで検索する以外にも、ネタ探しの方法はいろいろあります。セミナーや講習会などは代表例です。参加者同士でディスカッションして発想力を身につけるなどと特色を宣伝しているセミナーなどもあります。私の開催しているワークショップもその1つですね。ただし、開催地や経費の面で気軽に参加しにくい場合もあります。

一方、起業に関する本も多数出版されていて気軽に読めます。また、職業別電話帳はありとあらゆる職業が掲載されており、ネタ探しの秘密兵器ともいえます。

 

A. 本によるネタ探し

インターネットで検索すると無限といっていいくらい情報を集められますが、ディスプレイの画面を眺めながら深く考えることもなしに次々とウエブサイトを移動するだけになる可能性もあります。また、ディスプレイの画面では、複数の情報を同時に表示して眺めるのはある程度可能ですが表示領域や文字の大きさなどで限度があります。

これに対して、印刷された本であれば、多数の本を同時に眺めたり、1冊の本でも気になるページに付箋紙を貼って関連する箇所を読み返したり、気になる箇所を蛍光ペンで塗っておいたりすると、種々の情報を比較したり関連性を考えたりするときにわかりやすくなります。

出版されている本を挙げてみると、以下のようなものがあります。
「起業のネタ」森 英樹 著、明日香出版社、2005年
「起業・企画・営業・雑談のネタは日常の諦めている不便利から」田口 元 著、英治出版、2004年
「どんな人にも1つや2つ儲けのネタはある!」吉江 勝 著、青春出版社、2012年
「起業1年目の教科書」今井 孝 著、かんき出版、2015年
「1万円起業」クリス・ギレボー著、本田 直之 訳、2013年
「起業を考えたら必ず読む本」井上 達也 著、明日香出版社、2016年
「マンガでやさしくわかる起業」中野 裕哲 著、日本能率協会マネジメントセンター、2014年
「学校では教えてくれない起業の授業」作野 裕樹 著、アスカ・エフ・プロダクツ 明日香出版社、2006年
「あたりまえだけどなかなかできない起業のルール」四ツ柳 茂樹 著、明日香出版社、2009年

インターネットの書籍販売サイトで検索するとまだまだたくさんの本が見つかりますが、本屋さんに行って本を手にとってパラパラとめくりながら、自分のセンスに合った本を購入して読んでみては如何でしょう。

表示領域が狭く、すぐに消えてしまうディスプレイの画面を見るのと違って、活字を見ながら俯瞰的な視点で眺めることによって新たな発想が出てくることでしょう。

 

B. 電話帳によるネタ探し

先程説明したように、起業ネタとして様々な商売や職業を列挙しているウエブサイトがありますが、NTTのタウンページ(職業別電話帳)等を開くと、比較にならないほど多くの種類の職業が載っています。最近は固定電話を契約する家庭が減ってきており自宅に電話帳のないところもあると思いますが、コンビニ前などに設置してある公衆電話の横に電話帳がありますので見て下さい。

単に電話番号が載っているだけでなく、サービスや業務内容の広告あるいはURLまで載せている会社もあります。ページをパラパラとめくってみると、思いもしない職業や仕事がたくさんあります。

 

例えば、鍵のトラブルサービス会社では、カギの開錠・交換・取付・修理・紛失キー製作などはあたりまえですが、この他に盗聴・盗撮器発見調査の請負まで宣伝しています。飲食関係では、レストラン・ラーメン店・寿司店など当然のこととして、仕出し弁当では法要・お祝い・スポーツ大会・行楽弁当などいろいろな行事に対応しています。

掃除関係では、ビルやオフィスの定期清掃から家庭の台所・浴室などのハウスクリーニングあるいは仏具処分や遺品整理など幅広く展開しています。カルチャー関係では、英会話教室やスイミングスクールなどどこでも見かけるものから、邦楽教室、乗馬クラブ、話し方教室、ヨガ教室、ベリーダンスなどあまり見かけないものまで、また幼児から高齢者まで対象とした教室などがあります。

 

また、テレビや新聞に出てくるような名の知られた会社ではなく、地元だけで営んでいる有限会社や家族数人で商売している商店などが伝統的な工芸品や生活用品を扱っていたりしていて認識を新たにさせられます。

このような多種多様の商売や趣味の教室などの名前や広告を眺めていると、自分にもできそうだ、こんなことをやってみたいと思うアイデアに巡り会うかもしれません。電話帳で調べることでインターネットよりも遙かに有利な点は、電話帳に載っている店や会社が自分の近所に現実に存在して活動していることです。

 

家の近所を散歩していても、目立つ看板などを出していないために気づかなかったが、電話帳で調べた住所のところを覗いてみると興味深い仕事をしている職人さんがいたり、作業場があったりします。

自分の興味が湧いてきたり詳しく知りたいと思うようなところがあったら尋ねて行って観察したり話を聞いたりできます。自分も似たような商売を始めたいと思ったらアドバイスを貰えるかもしれません。

 

まとめ

インターネットから本や電話帳まで、起業ネタを探すための情報源について一例を挙げてみました。これらの情報源で取り上げられたり話題になっているアイデアですぐに起業できることはあり得ませんが、これに刺激を受けたりヒントを得て自分なりのアイデアを模索しましょう。今まで全く知らなかったことを目にして、アイデアが生まれることがあります。

例えば、元アナウンサーの土居尚子さんはテレビ番組のリポーターを務めたり、海外特派員などで活躍していましたが、7年で退職して米国の大学に留学しているときに、当時日本ではなかったネイルサロンを見つけて帰国後起業し、現在は71店舗のネイルサロンを経営する社長とのことです。様々な情報源に目を見張らせてネタを探しましょう!

 

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