これから起業しようとしている人にとって、起業アイデアはその起業の根幹とも呼べる重要な鍵を握っています。どんな起業アイデアにするか、それは今後どんな起業をして、ビジネスを展開するのかに他なりません。しっかりと起業アイデアを練ることで、今後のあなたのビジネスの行く末は変わるのです。
起業を目指す多くの人は、起業アイデアが大切であることを考えています。しかしなかなか良い起業アイデアを出すことができず、足踏みをしてしまっている現状があります。なぜそのような現状があるのでしょうか。それは今、この社会において実に多種多様なビジネスが展開されていて、思いついた起業アイデアだと生き抜くことが難しいのではないかと思ってしまう人が少なくないためです。
そこで今回は、時代を生き抜ける、すなわち他の起業アイデアにのまれずにビジネス展開を維持することができるような、そんな良い起業アイデアを出すためにはどうすれば良いのか、そうした点に注目してみました。ぜひ参考にしてくださいね。
①まずは根幹を決めよう
起業アイデアというのは、どんなものであれこれから起業する人が本当にやりたいと思うものでなければなりません。まずはそうした熱意がなければ、どんな経験も体験もその人の身になっていかないからです。ですので、やはり起業アイデアは自らが編み出し、固めていく必要があります。
これは起業アイデアを出すことに悩む人の多くに共通するのですが、その人たちが悩む原因は“ただ良い起業アイデアそのものを探している”ためです。今勤めている会社を辞めてもっと自由に働きたいから起業する、もっと自分の力で今以上にお金を稼ぐために起業する、など現状から抜け出すために起業を目指す人は、おおよそこのような考えを持っています。
このような考えを持っていると、いつまでの起業アイデアは具体的になりません。なんでも良いから起業したいという漠然とした考えでは、起業アイデアを思いつく作業は雲を掴む作業のように、どんなに時間をかけても終わらないものになってしまいます。
ビジネスは社会貢献であり、ビジネスを支える起業アイデアは人の生活をより便利する商品やサービスです。ですので、自分の起業アイデアで「誰に」「何を」し、その人が「どんなふうに」なってもらいたいのか、考える必要があります。これがいわゆる起業アイデアの根幹です。
この起業アイデアの根幹をまずは決めていくこと、それはどんな商品・サービスを提供していけば良いのか考えることになるので、自然に自分の頭の中になんとなくでも起業アイデアの形ができると思います。
②たくさん起業アイデアを出す
次にその起業アイデアの根幹に基づいて、起業アイデアを出す訓練をしていきましょう。起業アイデアの根幹を考えたとしても、起業アイデアが未だに漠然としている人も多いはずです。そこで具体的な起業アイデアにしていくための練習をする必要があります。
そしてどんな物事の練習にも当てはまると思いますが、起業アイデアの練習においても大切なのは数をこなすことです。そこに二つの条件を設けてみてください。それは実現成功の可否については考えないこと、そして時間に制限をかけて可能な限りだすことです。
起業アイデアが未だに漠然とした形になっている人の多くは、これが果たして本当に実現可能なのだろうかと悩んでいる人です。あるいはこの起業アイデアが成功するのだろうかと不安に思っている人です。今回の起業アイデアをたくさん出すところでは、そうした実現・成功の可否については度外視してください。その判断はアイデアを出し終えてからすれば良いだけです。
また時間に制限をかけることも忘れないでくださいね。人間の脳というのは不思議なもので、ある程度負担をかけてあげると、自分が想像している以上の働きをしてくれます。〆切ギリギリになると作業スピードが格段に上がるのと同じです。時間制限がないとただ効率が落ちるばかりか、思いもよらなかった良い起業アイデアも生まれにくいものです。1時間あるいは2時間の中で、20個の起業アイデアを出すなどのルールを設けて、一気に吐き出していきます。
なお起業アイデアを出す際には、一枚の紙に一起業アイデアとするとわかりやすいでしょう。そして文字だけではなく絵や図を用いると、より効率よくアイデアを出すことができますので活用してください。
③出した起業アイデアをチェックする
起業アイデアを出し終わったら、続いてその起業アイデアたちを評価していきます。先程度外視した実現・成功の可否をその起業アイデアに問うのです。具体的には次のような問いを起業アイデアにぶつけます。
1. その起業アイデアにニーズはあるのか。
いくら自分の根幹に沿った起業アイデアだったとしても、その起業アイデアに対して顧客がついてこなければ何の意味もありません。どのくらいの人が購買意欲を持っているのかどうかなどの市場規模はもちろんのこと、こうしたことで友だちが喜んだなどの実体験や、雑誌で今こういうのが流行っていると書いてあったなどメディアからの情報を思い返してしっかりと判断してください。
2. その起業アイデアは新しいか。
思いついた起業アイデアが、すでに他の会社が行っていないかどうかなどを判断していきます。自分の起業アイデアのキーワードをインターネットで検索するのも一つの手です。もし丸かぶりの起業アイデアであるならば差別化を図る必要があります。かぶってしまった既存のビジネスだとここに改善点があるなどを見つけて、起業アイデアに組み込むと顧客もはっきりと違いを判断しやすくなるでしょう。
3. その起業アイデアの利益率はどうか。
ビジネスを継続させるためには、当然ながら利益を得なければなりません。この利益率が低いと、その起業アイデアの評価は低くなります。なぜなら利益率が低いとビジネスを継続させるために大量に商品やサービスを提供しなければならず、苦労や時間ばかりが費やされてしまうからです。利益率が高いことに越したことはありませんので、「時間をかければ大丈夫」「お金をかければ良いアイデア」ではないか、ぜひここも厳しくチェックしてください。
4. その起業アイデアをどうやって具体的にするのか
最後に思いついた起業アイデアを社会に提供するために、その資源は用意できるのか、そのルート確保の難しさはどうかなどを判断していきます。極端な話、とてもオリジナルなアクセサリー販売を思いついたけれど、幻の貴金属が必要であるではビジネスとしては成り立ちません。これからどんな準備が必要になってくるのかも見えてきますので、忘れずにチェックをしていきましょう。
リストアップしたそれぞれの起業をこの4つのチェックに基づいてチェックし、どの起業アイデアが一番評価が高かったのか比較してみましょう。それがあなたに一番マッチした、そしてビジネス継続を導いてくれる良い起業アイデアと言うことができます。
※もし満足のいく起業アイデアが出なかったら※
チェックをしている段階で断念する起業アイデアもたくさんあります。実現が難しい起業アイデアばかりとなってしまうこともあるかもしれません。ですが起業アイデアというのは、一度紙に起こして実現できるか否かを考えることに意味があるのです。
形がないものには、チェックすることができません。形にしてみたら意外とビジネスとして実現できるものもあるはずです。もしそれが見つからなかった場合は、一度寝かせてみることをおすすめします。日を置いて再度見直してみたら、また違った視点が得られる可能性もありますからね。
また今回は集中していくつかの起業アイデアを一気に出す方法を紹介しました。起業アイデアの根幹を持っていると日々の生活の中で「もしかしたらこれは良い起業アイデアになるのではないか」と気づくこともありますので、常にメモを携帯して思いついたらすぐに書きつける方法も有効です。どちらが良いかではなく、自分にとってどちらがやりやすいかで判断して、多くの起業アイデアを出していくようにしましょう。
④時代を生き抜ける起業アイデアとは
最後にこの現代社会において、どんな起業アイデアであれば生き抜くことができるのかを紹介しましょう。起業アイデアを出す際の参考にしてみてください。
現代社会はめまぐるしく情報が行き交う中で、毎日多くの人が忙しない生活を送っています。「なかなか自分の時間が持てない」「仕事に追われてプライベートに余裕が持てない」という人は少なくありません。もしかしたらあなたもそうした生活を送ってきているのではないでしょうか。だからこそ起業してもっと自由な時間を作りたいと思っているかもしれません。
こうした時代の流れから、いわゆる“スキマ”をどれだけ活用することができるか、に今注目が集まっているようです。空いた時間や使われていない資源の有効活用などによって、少ない労力でより大きなパフォーマンスを得ることができるかが脚光を浴びつつあるのです。
昨今のスマートフォンの普及にはそうしたニーズの一端が現れていると考えられます。スマートフォンは通勤中に情報を仕入れたり仕事のメールをスムーズにできるようにしてくれました。わざわざ会社にいかなくとも、わざわざ家のパソコンを立ち上げなくとも同じことが外出中の空いた時間でできると多くの人たちがその利便性を大いに喜んだからこそ、爆発的に普及したのだと言えます。
電子マネーなども良い例かもしれません。券売機で財布を取り出し、切符の金額を運賃表を見て買うという行為を、電子マネーはたった一回のタッチにしてくれました。同じパフォーマンスでもこれだけ労力が違うのですから、多くの人が利用するのもうなずけます。
そうした少ない資源をいかに活用することができるか、これを生産性と言います。言い換えれば現代社会では生産性を向上してくれる商品やサービスが受け入れられやすいということです。これから起業アイデアを出そうとしている人は、ぜひこの生産性、いわゆる“スキマ”を意識してみてください。
よく隙間産業という言葉がありますが、あちらとはまた別の隙間であるということに注意してくださいね。人々の生活の中にある“スキマ”を狙って起業アイデア、すなわち商品やサービスを提供すれば、よりビジネスの成功を手繰り寄せられると言えるでしょう。