From:松本泰二
満員電車に詰め込まれ、あらゆるストレスに舌打ちをし、上司や得意先に気まぐれに怒鳴られる生活は、あなたの身も心も傷めつけてしまいます。できることなら、好きなように時間や場所を自分で選んで、伸び伸び働きたいですよね。
私はインターネットビジネスをメインに働いています。ネットビジネス関係の講師をしている人は、だいたい今お伝えしたようなメッセージを送る人がほとんどです。私は海外だろうが国内だろうがパソコン一台あれば、仕事をすることが可能です。
収入もそこそこあります。昼寝をする時もしばしばあります。満員電車もそういえばしばらく乗っていないなあ。
理想的だと思われるかもしれませんが、私は人にこんな働き方を提案することはありません。年下の友人には「ちゃんとお勤めしなさい」と言い、知り合いに独立を勧めたりなんかしません。そもそも起業することがいいと思っていません。
ノマドスタイルなんて嘘っぱち!
好きな時間や場所を自分で選んでお仕事をすることを、ノマドと言うそうです。ノマドとは遊牧民を意味し、「遊牧民がごとく時間や場所を好きなように移動して働こう」という内容です。
いい響きですねえ。でも、事業を教える側の私は、さっきお伝えしたように周りの人たちに事業を始めることをお勧めしません。フリーランスって名前は自由っぽいですけど、全然自由じゃないんです。残念ながら。
これをよく覚えておいてください。「会社やめた!自由だぜ!でも、お金がない!」では格好がつかないですよね。
自力で生活していける基礎と経験が必要になります。
先ほどもお伝えしましたが、フリーランスって自由じゃないんです。「全責任、自分でおんぶ」。覚えておいてください。会社員っていいですよね。つまづいても、本人に損が出ないんだもん。仮に、あなたが間違いを起こして100万円の損を出したとしましょう。
こんなことが起きても、あなたは借金を負わなくてもいいんだからうらやましいですよ。まあ、上司には叱られるでしょうけど、あなたの財産から100万円を差し出すことはありません。会社のお金でいろんな挑戦をして、失敗まで許してくれちゃうという素敵な職業、それがサラリーマンです。
フリーランスの場合はどうでしょう。100万円の損を出せば、そのままあなたがおんぶですよ。仕事もこの先恵まれるかどうかさっぱり見通しがつきません。今までは「株式会社○○のあなた」を信用していただけで、「肩書なしのあなたには特に期待できるものが無い」事実に独立後気づかされます。
看板、商品、信頼、実績づくりなど、ゼロからのスタートです。初めの一年は無心になって事業のことに集中しましょう。儲からなくても仕事をして実績を積み、経験を重ねていくのです。事実を知っているからこそ、私は周りの人たちに事業を始めることを手放しで良いことだとは言えないのです。
会社には、もちろん仕事があります。出勤したあなたは渡された仕事をきちんとこなしていればいいだけです。ただ、この恵まれた環境のなかで眉間にしわを寄せている人が多くいます。
「会社にしばられないで仕事したいなあ」なんて思いながら。
それでいて、いざ、「好きなように一人で事業を始めてごらん」と言われると、古くなったパソコンのようにフリーズしてしまう人が多くいます。大きな会社でふんぞり返っている地位の高い人たちによくある現象です。
スタッフ、資金、看板などが全くない状態から仕事を始めた経験がないので、だいたいこんなものです。
「事業を始める」か「サラリーマン」か、どっちにする?
誰でも社長に向いているかといえば、それは残念ながらありえません。
でも、サラリーマンにむいている人はたくさんいます。サラリーマンは会社の大切な歯車です。欠けてしまえば機能しません。無くてはならないものなのです。命令を完璧に仕上げるサラリーマンがフリーランスを目指しても、困難を極めるでしょう。
歯車には歯車の、幸せで平和な生き方があります。
人には向き不向きがありますからね。
あなたはどっち側の人間でしょう。調べてみましょう。
私が起業を勧める人は、たとえいい結果が伴わなくても歯を食いしばり、努力を続け、目標のために頑張れる人です。残念なことに、私の周辺にはそんな人たちはいません。
私が周りの人たちに「サラリーマンが向いているよ。夢を見るにも向き不向きがある」と唱えるのは、いろんな結果を見てきているからです。
よく、「何にもしばられない生活」「どんな人でも」「気軽に」といううたい文句を、インターネットビジネスの講師が各地で広めています。これは良くないことです。こんな状況を目指す気持ちは理解できます。でも、現実は厳しいです。その現実をよく調べてください。
向き不向きはあります。厳しい現実を受け止め、それでも起業したいなら、誰よりも努力して馬車馬以上に働いてください。