コンテンツの差別化が鍵。ランチェスター戦略と起業。

起業

起業を成功させるためには、何にどのくらい準備を費やすかがとても大事です。ですがただ机の上でアイデアをひねり出そうとしたり、漠然と資格を取る勉強を始めていてはいつまでも起業をすることができません。大切なのはいかに効率よく、成功の鍵を掴める準備をすることができるかです。

昨今、起業を目指す人が多くなっている中でやはりネックになっているのが、「いかに既存のビジネスとの闘いに勝てるか」でしょう。自分が思いついたアイデア、取り組もうとしているビジネスが既存のビジネスと丸かぶりでは闘いに勝つ=顧客を獲得し、利益を生みだしていくことは、当たり前ですが決して簡単なことではありません。

ではいかにして“勝つ”か。今回は中小企業におけるビジネス成功の鍵と言われる「ランチェスター戦略」を解説しながら、起業準備でもそれが活用できることをお話したいと思います。ですが「ランチェスター戦略」と一言に言ってもさまざまな方法があるため、今回はコンテンツ(商品)に焦点を当てて話を進めていきたいと思います。

 

コンテンツの差別化を図ること

「ランチェスター戦略」に基づきコンテンツを考えていくこと。そう考えると難しいな、と思われる人もいるかもしれませんね。もっと簡単に話しますと、すなわちそれはコンテンツの“差別化”を図る、ということです。

そもそも「ランチェスター戦略」とは、弱き者が強き者に勝つためにはどのようにしたら良いのか、という戦争の理論です。大兵力を持つ相手に、小規模の力しか持たない我々が勝つためには何をすべきなのかを考えていくのが「ランチェスター戦略」です。

「ランチェスター戦略」に基づけば、勝つための一つには兵士一人ひとりの戦闘力を高めることがあげられます。巨大国家に属する300人の兵士の戦闘力がそれぞれ1だった場合、総兵力は300×1で300。対して我々少国家が持つ兵力が50だった場合、兵士一人ひとりの戦闘力を最新の武器などを持たせて6に上げれば50×6=300となり、戦えるという計算です。

これをビジネスにも応用して使っていくのです。すなわち兵力=コンテンツの力に置き換えるということ。トップクラスの企業が量で攻めているのに対して、こちらは質で勝負をする。そうだからと言って最新の機械や有名なトップデザイナーの技術力に頼る必要はありません。

ビジネスコンテンツの良いところは、ちょっとした差別を顧客に理解してもらうだけでコンテンツの力を高めることができるところです。高い品質が重要なのではありません。「いかに顧客に質が高い=トップ企業と違う」ところを“見せられるか”が鍵を握っているということを忘れないでください。これが「ランチェスター戦略」に基づき、コンテンツを考えていくことなのです

 

コンテンツに差別を付ける方法<1>

では、ここからはコンテンツに具体的に差別を付ける方法をお話していきたいと思います。まず先にも話したように、コンテンツの品質だけが、コンテンツの差別化を実現できるものではない、ということでした。起業準備段階では、用意できる資金も限られています。できるなら資金をかけないで差別化を図るためにはどうしたら良いのでしょうか。

ある人はコンテンツとして弁当箱を考えていました。弁当箱を売りに出すときに、トップ企業とは違う「ネーミング」を大切にしました。トップ企業が作るコンテンツとほとんど変わらないものでも、名前の付け方に着目したのです。その方がやったのは、時間帯を区切るということでした。朝の忙しい時間帯に使いたい、昼のランチタイムを贅沢にしたい、そんなニーズをダイレクトに捉えるネーミングに着目したのです。

結果としてその人のお弁当箱は、少し品質をこだわっただけなのにもかかわらず、大きな販売利益を得ることに成功しました。朝の忙しい時間帯に楽になれるお弁当箱なら、ランチタイムを贅沢なものにできる弁当箱なら、と購入する人は思ってくれたのですね。結果、弁当箱を販売している大手企業との差別化を図ることに成功し、自分だけの顧客を獲得するに至ったのです。

 

コンテンツに差別を付ける方法<2>

またある人は価格に着目をしました。それは無理なのではないか、と思われるかもしれませんね。大手企業だからこそできる値下げなどは、確かに起業準備段階では不可能かもしれません。利益も取れないままに、価格をいじるなんてことは自殺行為に見えてしまうでしょう。

大切なのは価格に着目するといっても、単に値下げを意味しているわけではないと理解することです。それはつまり値上げや価格維持もまたひとつの手段だということです。ここで考えるべきは、値下げ・価格維持・値上げをするコンテンツを“いかに絞ることができるか”です。

ある人はコンテンツとしてレターセットを販売しようとしていました。ですが昨今はデザインのバリエーションも豊富で安く購入することができます。かといって自分が販売しようとしているレターセットは特段何か芸術的なレターセットではなく至って普通のもの。さらに仕入れ値ぎりぎりで値下げすることはできないと考えていました。

そこでその人は、もっとコンテンツを絞ることを考えたのです。レターセットではなく「封筒を売る」という方向にシフトチェンジしたのです。さらに封筒のみの販売に切り替えながら、値段はレターセットと同じ価格帯で作りました。でもその人の封筒は顧客に受け入れられ、事業を回せるまでに至りました。

なぜでしょうか。それはレターセットと同じ価格帯の封筒、ということで「特別感」が出たからです。大切な人に送る丁寧に書いた手紙。今の時代だからこそ特別なものを送りたい、という人が少なくなかったのです。その人はあえて販売するコンテンツを絞り、価格をしっかりと見極めたことで手紙を重視している人たちのニーズを拾うことに成功したのです。

 

お金をかけないコンテンツ差別化が大事

起業の準備をしていると差別化を図ろうとして、お金をかけたくなる気持ちがどうしても強くなります。お金をかければ一定の質を生み出すことができますし、ある程度の顧客獲得も見込めるからです。ですがそれは維持することが難しいのが現実です。なぜなら資金に限りがあるからです。

これから起業をする人は、差別化を図る上でお金をかけない、という意識をしてください。これは本当に大事なことで、起業の準備をしていると忘れがちだからです。焦らずじっくりと考えていくことが起業の準備においては大切。忍耐力が必要になってきますが、そこから生み出される差別化のアイデアは自分の身の丈にあったものですから起業のおける軸となってくれるでしょう。

 

まとめ

また以上を見てわかるように、コンテンツの差別化には決して突拍子もないアイデアや、鮮烈な思考能力はいらないということがわかると思います。結論から言うと、トップ企業のビジネスモデルや成功事例というのはもっと真似するべきです。

何かを真似るということは恥ではありません。むしろ真似よう、というところから初めてコンテンツの差別化アイデアというのは生まれてくるのです、どんな成功者も基本や基礎を大切にビジネスを軌道に乗せていきました。既存の企業やビジネスを良い先生だと思って、それに勝つためのランチェスター戦略を活用しながら起業の準備をしていきましょう。