起業とフリーランスの違いとは? 独立する前に知っておきたいこと

起業

From:松本泰二

日本型雇用と言えば、「終身雇用」、「年功序列」、「労働組合」と言われていましたが、全てが崩壊しつつあると言ってもいいでしょう。定年までの転職率は90%を超え、能力主義の推進、労働組合の弱体化。サラリーマンとして企業にしがみつくメリットは薄れつつあります。

社会背景から働き方が変わってきています。クラウドソーシングのランサーズ株式会社が行なった調査によると。2017年のフリーランスの数は1,122万人と前年から58万人増。労働人口の17%が従事していることが分かりました。

「学校を卒業して定年まで会社で働くこと」が正解との見方は果たして正しいのでしょうか。

 

起業とフリーランスとの違い

会社を退職して、独立開業を考えた場合、「起業」と「フリーランス」を検討される人が多いのではないでしょうか。独立開業の本なども多数、出版されていますよね。

周りで「起業した」、または、「フリーランスとしてやっている」などの話しを聞く機会が増えてきていませんか。

では、「起業」と「フリーランス」の違いは何でしょうか。

 

・起業家

ラーメン店などの飲食店、美容室、古本屋などの古物商、塾など個人経営の店舗を運営または、フランチャイズ登録や会社を設立して事業を行う。事業に必要な各種届出が必要です。

 

・フリーランス

企業や個人から案件ごとに依頼を請負、業務を行うこと。個人事業主が一般的ですが、年500万円以上の利益(課税対象)がある場合は、法人の方が節税のメリットがあります。

2つの大きな違いは、起業は会社や店舗を設立して、物やサービスが売れることで利益が出る「仕組み」を作り上げることです。フリーランスは、今まで会社などで培ってきたデザインなど個人のノウハウや能力を活かして「スキル」で利益を上げることです。

起業の場合、スタートアップが大変だと言われていますが、日本での会社設立は届け出や書類の準備が手間ですが、難しくありません。自治体などによる開業支援、助成金、地域の商工会議所による助力を受けることが可能です。一度、軌道に乗れば、安定・高収入を十分に期待できます。

しかし、従業員を雇う、銀行に借入している場合は、それだけ責任とリスクが付いてきます。

 

フリーランスとして生きる

インターネットのクラウドソーシングサイトの増加や台頭で、忙しい専業主婦や学生でもフリーランスとして収入を得ることが容易となりました。

例えば、クラウドソーシングの依頼の中に、動画の文字起こしや簡単なアンケートに答えるだけならば、日本語が話せる・書けるだけで収入を得ることができます。

広義の意味では、上記もフリーランスです。

 

しかし、ビジネスや独立を考えるならば、誰でもできることで生活していくほど世の中は甘くないでしょう。

会社員時代にあなたのコンサルティングやデザインなどの能力にファンが付いて、会社に貢献していたならば、フリーランスとして十分に活躍できる可能性があります。

独立後、すでにクライアントが確保できているならば、Twitterやインスタグラム、FacebookなどのSNSや個人サイトを活用して、仕事を請け負うことができます。売上は、全て自分の利益として返ってきます。

会社員時代にいくら残業をしようが雀の涙だった歩合が全て、頑張れば頑張るだけ生活を豊かにしてくれます。

 

もし、顧客がない場合は、ランサーズやクラウドワークスなどのクラウドソーシングサイトに登録(無料)を行い、多数のフリーランスの中で違いや特別感を見せることで、クライアントを獲得して増やしていくことが可能です。

そこで、履き違いをしないでほしいことは、フリーランスを選んだ理由に「自由な時間を手に入れる」、「好きなときに好きなだけ働く」ということは幻想だということです。

クライアントはあなたのスキルにお金を払ってくれています。自分の都合で仕事を選んで働ける芸能人が何人いるでしょうか?ほとんどいませんよね。

 

フリーランスは絶対に安定がありません。依頼が多すぎると思っていても、ある日パッタリこなくなる恐怖心を常に持ち続け、どんなクライアントだろうが、迅速に対応をする必要があります。

会社員時代以上に自分の都合を捨て、クライアント重視、納期重視が大切です。

 

独立開業の各種セミナーについて

転職の中に独立開業が選択肢になる世の中で、フリーランスは増加していますが、起業する人は減少しています。

ネットでは「今、起業する人が増えている」とあおる情報が飛び交いますが、経済産業省中小企業庁が「起業を希望する人」も「実際に起業した人」も減少傾向だと発表しています。理由は、開業率より廃業率の方が高いことが考えられます。

しかし、漠然と脱サラをして独立開業を目指そうかと悩んでいる人も多いでしょう。

起業するのか、スキルを活かしたフリーランスを検討中だと、先駆者によるセミナーも選択肢に入ってくるのではないでしょうか。

 

「YouTubeを使った毎月安定した収益の上げ方」、「好きな時間だけ働くフリーランス」など耳触りのいいセミナーがあふれています。

独立したいが方法が分からないから、「起業 セミナー」と名の付くものに興味が出てくるのは必然ですが、主催者側はボランティア活動で行っているのでしょうか。

「内容のない精神論」、「ネタ探しにもならない理想論」、はたまた「勧誘された」など、独立志向を逆手に取ったものばかりです。

 

なぜならば、

参加者に独立してもらうより、何度もセミナーに参加してもらった方が主催者側の利益は大きくなりますよね。

 

特に、「フリーランスで安定して稼ぐ」、「好きな時間で月20万円」など寝言です。自分のスキルをお金に変えることに、ノウハウが果たして必要でしょうか。必要なことは、やる気と抜き出たスキルです。

 

独立は、確かに不安で孤独です。同じ境遇の人たちと群れて安心したい気持ちが出てくるでしょう。しかし、自分だけのアイデアや、稼ぐ力はどこにも落ちていません。

 

例えば、将棋の永世七冠の羽生善治先生もセミナーで講演をされることがあります。しかし、羽生先生の講演を聞いても将棋は強くなりません。目的は、将棋のすそのを広げることです。

 

起業にせよ、フリーランスにせよ、独立開業で成功するには、基礎、教科書や成功者の名言があっても、そこから実際に稼ぐには、自分自身がどうするか、どうやるべきかが重要です。人から教えてもらうことではありません。

 

他者がうまくいったので、自分に当てはまるとは限りません。再現性がないから独立開業なのです。安定して働きたいだけならば、なるべくお金を持っている企業に勤めるべきです。

 

最後に

偏差値の高い学校を卒業して新卒のゴールドカードで大企業に入社することが、人生の正解とするには危険です。もし、道を外したらそこから這い上がることができなくなってしまいます。起業やフリーランスとして自分らしく働ける喜びや心の充足は味わったものにしか分からないでしょう。

人生で一番永い働ける期間の間は、誰でも何度でも壁にぶつかります。そのとき、起業やフリーランスとして独立の道を探ることはスキルや行動力次第で1つの正解にたどり着くことができます。