【IDEAストーリー】第7回:旅を諦めている人の夢を叶える旅行会社/後編

コミュニティー

旅を諦めている人の夢を叶える旅行会社/前編

 

講演依頼が殺到!

MATSUMOTO
その後、そういった実践していったことも、サービスを教えてほしいみたいな、講演だったりとか、そういうのも問い合わせが。
高萩社長
ガイヤの夜明けって面白い番組で、3ヶ月くらい同行取材受けたのかな、こっちもストレスになるんですよ。結構取材されるのが、ちょっと険悪なふうになったりとかね。そういうのも。

 

MATSUMOTO
あるんですか?

 

高萩社長
あったんです。ディレクターさんたちと。民放って、制作会社さんが作っているじゃないですか。NHK見ていて思うのは、いいなこの人たちは予算があってと思うくらい、永遠にテープ回すわけですよ。見るだけで2日間かかるみたいなね。だけど、民放の制作会社って、予算がないから、ギリギリで尺を撮るので、撮りたい絵というのは決まっているわけですよね。

結構そういう要求もしてくるので、これってやらせですか?みたいな話をすると、「いえいえ違います、構成上の演出です」みたいなことを言われて、「でも、それって、やらせですよね?」、「違います」みたいな、そんなやり取りもあってね。すごいそれがストレスだった時期もあるんですけど。

 

でも、あの番組の反響を見たら、やっぱりディレクターさんって、全体構成をものすごく良く考えている。こういう番組を作れば、視聴者がヒットするというのを分かっているんですよね。

だから、それは後で謝ったんですけどね、やっぱりプロは凄いと思ったと、この反響たるやね、凄い。でも、あまりに無償でこちらを引っ張り回したことを申し訳ないと思ってくれて、最後にサービスショットで、私が全国で講演活動しているということを少し入れてくれたんですよ。20秒くらい。講演依頼が殺到したんです、そこから。

 

 

MATSUMOTO
そのときには、そういう講演とかされていた?
高萩社長
やっていましたよ。やっていましたけど、やっていることは、あまり世の中の人は知らないので、そんなにものすごいということはなかったですけど、あの後、凄かったですね。

 

売れるサービスの仕組み

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MATSUMOTO
そういったこともあって、今は売れるサービスの仕組みというサービスを学べる、サービスを学べるサイトですかね。というコンテンツも今提供している。
高萩社長
やっています。

 

これはどういうコンセプトの内容が学べるんですか?

高萩社長
自分が今ベルテンポという会社を18年間やってくる中で、私が一貫して感じているのが、日本のサービスというものが、ちょっとおかしいんじゃないかってね。おかしいというのは何がおかしいかというと、お客様は神様みたいな、ちょっとお客様が一方的に優位に立っていたり、いらっしゃいませとか、おもてなしとかって言っている割には、スタッフが疲弊しちゃっていたりとか。あとこの要求をどこまで聞いていいものか、経営者が悩んでしまうとか、サービスの考え方とか哲学が根っこにしっかりした軸がないと、お客様に振り回されてしまっている経営者がすごく多いと思うんですね。

 

私はこの会社をやっていて、お客様に対しても、おかしいものはおかしいって、はっきり、私は言うべきだと思って、「いや、お客様それおかしいと思います」とか、「ルールちゃんと守ってください」とかって言って、それで立腹して、机蹴飛ばして、出て行かれるんであれば、それはそれでご縁がなかった、仕方のないというふうに私は社長で決裁権者なので、それでいいかなと思っているんですけど。

やっぱりそういうことができなくて苦しんでいる人たちって、世の中の大勢いて、それはサービスの概念がそもそも間違っているからなんじゃないかということを旅をしながら、国内で違和感のあるサービス、いや、こういうことしてほしいんじゃないんだけどなというサービスが例えば、旅館から提供されて、こっちが付き合ってあげたりとか。

 

あと例えばね、仲居さんが並んで、お辞儀みたいなのを、これされたいかみたいなね、そういう違和感であったり。あと海外に行くと、すごくフレンドリーでサービス提供者もリラックスされて、売ってサンキューみたいな、買ってサンキューみたいな、すごくイーブンな関係性っていうのを、いろんな外国で見るにつけ、働いている人がすごく楽しそう。外国行くとね。日本で働いている人は苦痛そうな感じがしてね。

なんか耐えて、耐えて、耐え忍んでいるみたいな、ストレス、燃え尽きちゃいますみたいな、なんかおかしいんじゃないかなという思いをずっと持っていて、それをちょっとずつ、自分の中で体系化していったんですね。

 

オマケや、値引き、サービスじゃないかとか、だから、安くすると、お客さんが喜んでくれるんじゃないかという、でも、安くすると実際にはクレームが増えるだけだみたいなことも、自分では経験しているし、だから、オマケとか、値引きとか、決してサービスじゃないですよねみたいなことを、もっと世の中に伝えたいし、じゃあ、何がサービスなのというときに、私は私たちサービス提供者が持っている価値観とか、哲学とか、世界観みたいなものをお客様に共感してもらって、「いやいや、お前のところの考え方、すごい共感するよ、だから、お前のところのサービス買うよ」と言ってもらって、お布施をいただくというんですかね。選挙の1票入れてもらうみたいな。

 

そういうスタイルがこれからのサービスの在り方なんじゃないかというふうに、すごく思っているんですね。なので、そういうことを業種は関係なく、いろんな人たちとシェアしていくことで、日本のサービス感がちょっとでも、まともになるというと、今はまともじゃないのかと反論する人もいるかもしれないけど、でも、私は今の日本のサービスはおかしいと思うんですよね。

例えば、電車乗っていて、電車が2分遅れたら、「只今、2分、電車が遅れております。申し訳ございません」、2分で謝らなくていいよみたいなね。なんか、世の中にそういうおかしなことがたくさんあるのを、おかしいこと、ちゃんとおかしいよねこれと言って、じゃあ、何が我々がストレスなく受け入れられるサービスなのということを一緒に考えていきませんかという、そんな勉強会なんですね。

 

 

MATSUMOTO
それもやっぱり、海外に行っていた経験があるとか、そういうのもあるから、その違いというか、気づきが出てくるという。

 

高萩社長
それは思いますね。私はお陰さまで、いろんな見分を広めることができるので、いろんな国に行って、いろんなサービスを体験してきますよね。もちろん外国だって、ひどいサービスいくらでもあるんですよ。

でも、そういうのも含めて、なんでこんなひどいサービスにみんな怒らないんだろうみたいな。先週もカナダ行っていたら、帰り、ホテルから空港までタクシーで行こうと思ったんですけど、「タクシー1台お願いします」とコンシェルジュに言ったら、「ノー」と言うんですね。

「なんで、ノーなの」と言ったら、「今日はストライキだ」って、えーみたいな、タクシーストライキだって、みんな普通にしているけど、みんなどうするの、みんな怒らないのと思うんですけど、しょうがないよねみたいな感じなんですよね。

 

ほうほうのていで、なんとか、空港に辿り着いたら、今度は霧で飛行機飛びません、今日は朝から1便も飛んでいません。みんな乗客の人、普通にしていて、カウンターで問い詰めている人、一人もいないんですよね。日本のツアー客だけ添乗員が一生懸命聞いていて、動揺しているんですよね。お客さんが。

他の人は本読んだり、ご飯食べたり、寝たりしていて、私も一応カウンターで、お客さんいるので、一応カウンターに聞きに行って、「どう飛びそう」とかって聞いたら、「ホープリー、そうね、飛ぶといいわね」みたいなことを言いながら、エアカナダのカウンターのスタッフが向こうでポテチとか、パリパリ食べながら、こっちで珈琲飲みながら、みんなで談笑しているんですよね。

 

JAL、全日空じゃ有り得ないですよ。あんなのね。だけど、向こうは向こうで、だって、この天気じゃしょうがないよね、第一、飛行機がまだ降りてきていないしみたいなことを言うわけですよね。もちろん、ソーリーもなければね、エクスキューズもなくて、でも、確かに、霧だししょうがないよねみたいな、なんか、考えてみれば当たり前で、霧のことで怒ってもしょうがないわけで。

 

 

MATSUMOTO
そうですね。

 

高萩社長
日本のお客さんがなんでイライラしているかというと、トロントから日本に帰る飛行機に乗り継がないと行けなくて、1時間半遅れると、乗り継げないので焦っていたんですよね。これは乗り継げるのかみたいな。でも、分からないしみたいな、霧晴れないしみたいな、そんな感じなんですよね。

だから、いいとか悪いとかじゃなくて、この違いってなんなんだろうということを、それこそ松本さんのワークショップじゃないですけど、お題を出して、みんなで考えてもらうんです。それがこの勉強会なんです。私がやっている。だから、私が何かを講義する先生じゃなくて、「カナダでこんなことあったんだけど、これ日本で通用しないのはどうしてなんですかね」みたいな、そういうお題を世界中から持って帰ってくるというのが、私のテーマなんですね。

 

 

おもてなし精神といいますか、高萩さんの若いころというのはどんな感じだったんですか?

高萩社長
おもてなしという言葉の定義って、すごく難しいと思っていて。私は日本のおもてなしというサービスが、日本のサービスを駄目にしていると思っているんですけど。おもてなしっていうと、はっきりしないじゃないですか。おもてなしって何と定義が分からないから、そうすると笑顔でお辞儀をすること、ロボットみたいにお辞儀をすることだったり、お客さんの期待を超えて、お答えするみたいなことだったりという、解釈が人によって、まちまちで。なおかつその解釈は顧客の主張によるみたいなところがあるのが、ちょっと私は嫌で。でも、私が一貫して、駅員をやっていたころから一つ一貫して言えるとしたら、私はすごく人間が好きなんですよね。人が大好きなんだと思うんですね。

 

だから、駅で切符ぴってやったときも、改札を通過していく人に興味があったんです。なんでこの人はこんなに眉間にしわを寄せているんだろうとか、なんでこの学生はこんなベロンベロンに酔っ払って、ここでゲロ吐いているんだろうとかってね、すごくね、人に興味があったんですよね。それこそ、ちょっとこういう録音されているとこで言うのがいいかどうか分からないんですけど、電車の車掌やっているときに人身事故とかがあるわけですよ。もちろん駄目なケースもあるんだけど、助かるケースもあるんですね。

 

そうすると我々、救急救命しなくちゃいけなくて、それこそ、腕とか足が切断されちゃっている方々を、我々はとにかく命を助けるために救急救命するんだけど、でも、そのときに、「なんで、あなたさ、命をここで自ら失おうと思っちゃうわけ」ってね、飛び込む勇気があるんだったら、なんでもできるでしょうとその場で言いたくなる場面に、私は何回も出会っていて、それって今のサービスの概念とも繋がっていて、日本人は責任取って、命に変えて、責任を取るとか、生きていられないみたいな、真面目な人を追い詰めてしまう社会じゃないですか。

そういうのはすごく私は嫌なんですね。私は人が大好きだから、殴りかかってくる酔っ払いに対してすら、なんで今この人は自分に殴りかからなければ気が済まないんだろうって、ほんとに殴られながら思っていたんです。

 

 

MATSUMOTO
冷静なんですね。
高萩社長
私ね、すごく客観的に第三の自分がいつもいるんですね。胸倉掴まれて、「駅員このやろう」と言われながら、どうしてこの人は、こんな、どういう会社に勤めているんだろうとかね、すごくね、冷めている自分が常にいるんですね。それは、ほんとに、今もそうなんですけど、でも人が大好きですよね。

だから、人が大好きなので、日本という国にね、ご縁があって生まれたみんながもっと幸せに笑顔で、今日楽しいねって思いながら生きられる社会になったらいいなとすごい思っていて、私一人でそんなことできないけど、同じような価値共有してくださる方が大勢いらっしゃれば、なんか変わるんじゃないかなと、そういう期待もあるのでね。

 

それがいろいろメッセージを発生する立場にあって、私は営業は大嫌いですけど、メッセージを送りだしていくというのは大好きなんですね。僕はこう思うんです。そういうメールマガジンとか様々なツールを通じて、こう思うんですということに共感してくださったり、お陰さまで本を書かせていただいているので、本を読んでくださった方が、この著者、なんか面白そう、共感するという、本って、私が10年前に出した「サービスの教科書」というのが、私の中で一番売れた、2万5,000部くらい売れた本なんですけど、自分が書いた本を2万5,000人の人が手にとってくれるって、ちょっと凄いことですよね。

 

横浜スタジアムくらいいっぱいになりそうじゃないですか。その人たちが私の本を手にとって、何かを感じてくれたわけですよね。ということは、やっぱりメッセージを送りだすということは、本にしろ、メールマガジンにしろ、今、メールマガジン1万人くらい読者の方いるんですけど。何か投げかけることでリアクションがあって、そういうことを繰り返していくことで、世の中がちょっとでも、ちょっとでも、良い方向に進んでいけばいいなというのは、すごく思っていて、そのキーワードを私二つ持っているのが、「旅」というキーワードと、「サービス」というキーワードなんですよね。この二つのキーワードに私はいろんなメッセージを世の中に送り出していきたいなというふうに思っていますね。

 

 

小学生くらい、どんな性格のお子さんだったんですか?

MATSUMOTO
今の人間が好きという話で、ちょっともっと若いころを遡っていいですか。小学生くらい、どんな性格のお子さんだったんですか?
高萩社長
うち父が事業に失敗して、8歳くらいのときに、多額の借金を残して、蒸発しちゃったんですよ。なので、私ね、辛すぎて覚えていないです。小学、中学生くらいまでの記憶はね、ほぼほぼ残っていないですね。小学校のころどんな子供でしたって言っても、多分すごい内気で引きこもり系で主張もできなくて、いじめられていたくらい記憶はあるんですけど、どんな日常を過ごしているかということは、ちょっとあまり記憶がないですね。

父親に遊びにつれて行ってもらった記憶は、2、3回すごく印象に残っているんですけど、それ以外はほんとに中学校時代の同級生の顔も思い浮かばないですよね。それくらい生活的には困窮していて、父親が借金残していなくなってくれたので、すごい借金取りが家に押し掛けていて、それが怖かった記憶しかないですね。

 

MATSUMOTO
人の性格って、若いころ、だいたい10代までに形成されて、それ以降はなかなか変わらないなんて、データとか、資料であったりもするんですけど、そこら辺はどう思います?
高萩社長
私、中学校まではそんなで、でも、中学校卒業して、高校入試のときに、多分、自分の記憶で原体験のことですけど、多分初めて、自分の意思で自分が何かをしようと決めて、高校選んで、受験する高校を選んだ。母親は進学校に行って、大学に行ってほしかったみたいなんですけど、私は反抗期だったっていうのもあって、絶対嫌で、兄貴も進学校行っていたので、それも嫌で、商業高校、大分商業高校という県立高校受験したんですね。

母親が凄い嘆き悲しんで、うちの兄貴も「お前あそこだけは行くな」っていうくらい、不良の巣窟という、凄い高校だったんですね。でも、あそこに行って、完全に人生観は変わりましたよね。だから、私を救ってくれたのは大分商業高校ですよね。

 

ほんとに辛くて、辛くて、どうしようもなかった中学時代までを高校1年になった瞬間に、そういうことが全て吹き飛んでしまうくらいのインパクトが学校の中に存在して、華の応援団とか、B-BAPハイスクールの世界ですけど、男子はみんなリーゼントに学ランみたいな、龍が登っている制服着ていますみたいな、喫煙率100%、そういう高校だったので、人生観とか、価値観が1回そこでリセットされた感じですよね。

先輩からボコボコにしごかれましたけど。2年になったときに、うちのクラスにいた番長みたいなのが、私を生徒会長にしようって、たくらんで。それは今思えば、彼の愛情だったと思うんですけど、同級生だったんですけど、Tという剣道部のやくざみたいな、右翼、そいつは卒業した後、右翼の街宣車に乗っているの見ましたけど、そういうやつだったんですけど。

 

ほんとに心の優しくて、私の出自と辛い、私の母親のことも知っていたので、こいつを男にしようと思ってくれたんでしょうね。私はのび太くんみたいな感じ、その当時。「お前、生徒会長に立候補しろ」と言って、立候補させられて、非常に組織力があるので、私は会長になっちゃうわけですよね。

生徒会長になって、でも、2年生で生徒会長なので、3年生の洗礼は受けて、ボコボコにされて、「お前、その髪の毛なんや」と言われて、当時、七三に分けていたんですけど、ちゃんとしてこいと言われて、しょうがないからリーゼントにして、パンチパーマで。

 

MATSUMOTO
それがちゃんとなんですね(笑)
高萩社長
ちゃんとです。それで、「その制服はなんか、恥ずかしくないんか」と言って、学ランを買いに行かされて、南無阿弥陀仏とか、龍が登っているやつを学校の指定店があるんですけどね、そこに買いに行って、中ランみたいなダボダボなやつを着て、生徒会長、それから1年半やっていたんですね。でも、それで生徒1,500人いたんですけど、1,500人の前で何かプレゼンテーションするとか、あと、非常に問題の多い学校だったので、年中正門にパトカーが止まっていたとか、やらかしたとかね、500人入学して、350人しか卒業できていないというね。150人が退学ですよね。

 

MATSUMOTO
退学なんですか?
高萩社長
退学ですよね。でも、喫煙くらいじゃ退学ならないんですよ。うち、喫煙で退学したら、生徒いなくなっちゃうので、ちょっと窃盗やらかしちゃったとかね、暴力行為とかっていって、どんどん減っていくんですけど、そういう問題校だったんですけど、そういう問題校を生徒会長としてまとめあげるというね、番からのどうしようもない連中を、それは凄かったですよね。

だから、そこで、でも、人が好きというキーワードで言うならば、おそらく、高校1年なったときに先輩からボコボコにされたときに愛情を感じたんですね。凄い人間愛を感じたんです。ボコボコ蹴られているんですよ。腹とかボコボコ蹴られているんだけど、でも、外から見たら、リンチとか、しごきにしか見えないんだけど、多分、自分の人生で初めて、ひと肌を感じだというのかな、ものすごい人間臭いと思ったんですよね。多分ね、あの辺から、私、人間がすごく興味を持つようになった。

 

MATSUMOTO
どこら辺に愛情を感じたんですか?
高萩社長
多分、でも、先輩は自分がやられたからやっているだけだと思うんですよね。要は、理不尽なわけですよ。理不尽、なんじゃこりゃみたいな、でも、理不尽ということを、高校の1年生、2年生のときに徹底的に経験したことが、社会に出てから、どれだけ役に立ったかね。多分、高校、我々はほとんど大学へ行かないで、社会に出るので、伝統的に社会で通用する人間を育てるために商業高校というのはあるわけですよね。

もちろん、そろばんとか、簿記とか教えてくれるんですけど、社会に出て一番大事なのは、理不尽さに耐えることだということは多分伝統的に分かっているから、3年間の間に徹底的に理不尽なことを体で教わるんだと思うんですね。多分、自分の私52になりましたけど、52年の人生の中で一番理不尽でした。あそこが。だから、社会に出て、駅員さんをやっているときに、酔っ払いから殴られてもなんとも思わないんですよ。なんで俺は殴られているんだと思わないんですよね。

 

もっとひどいことを高校のときにやらされているから、だから、そういう意味ではあれは今振り返ると、やっぱり大きな家族のような愛情表現なんだろうなと思うんですよね。こいつが社会に出たときに、一人前で通用するように、先輩はしごいてくれたんだと、今振り返ると、そう思いますよね。そのことを多分、なんだろうな、感じていたんだと思うんですよね。感じていなかったら、辛くてやれなかったと思うんですけど、ボコボコにされて上下関係で徹底的に理不尽な扱いを受けていることが嫌じゃなかったんですよね。嫌じゃなかった。

それは先生方も、そうそうたる暴力教師が揃っていて、生徒をボコボコにするんだけど、でもね、愛情を感じるんだよね、すごい。ほんとに俺はお前のためで真剣勝負かけているんだということが伝わってくるんですよね。すごい、そういう学校でしたね。

 

MATSUMOTO
そこの部分は今のサービスの部分に?
高萩社長
絶対繋がっていますよね。繋がっています。それは根っこの部分にある、なんだろうな、人生観とか、価値観とか、哲学みたいなものが、ずしっと、きちっと刺さっていないと、根なし草になっちゃうということを、やっぱり私は高校時代にきちんと教わったと思うんですよね。

 

MATSUMOTO
例えば、そういったサービス脳を鍛えるとなると、その人本人に根付いている、若いころからの、それができている人はいいんですけど。例えば、思いやりだったりとか、気がきく人だったりとか、サービス精神だったりとか、そういうの若いころにできていなかった人は、大人になってから、じゃあ、サービス業だったり、お客さんと接する仕事だったり、接するときに難しそうなイメージというのがあるんですけど、できていなかった人が大人になってからやるとなると。
高萩社長
私は若い人を教育するということが、あまり得意じゃないので、そのことに関して、あまり偉そうなことは言えないんですけど、二つあると思うんですよね。

一つはやっぱり小さい頃、そういう経験をしないで大人になってしまった人が、突然大人になって、考え方を変えるというのが結構難しいことであるというのも、一つにはあるんじゃないかなと思うんですね。でも、私が可能性を感じるとするならば、そういう人間としての琴線に触れるような体験を今までしてこなかった経験の遅い人たちというのはいると思うんですよね。

 

だから、今の若い人とくくるつもりは全然ないんですけども、割と、親御さんが大切に育てたり、大学でも割と先輩が優しかったりして、割と自由にわがままに人に気をつかったり、サービスマインドとか、人の気持ちを読み取る必要もなく、社会に出てきた人間が、そういう資質とか、能力がないわけではないと思うんですよね。経験がない。

ただ、さっきのサービスとか、おもてなしという話で言うならば、マニュアルとかで教えるような、いわゆる、戦術的なテクニックというのは、表面的には身に着くかもしれないんですけども、根っこの部分にある人としてどうなのよというところは、駄目な人といい人と、もちろんそれはいるんじゃないかなと思いますね。

 

私が学歴もないし、そういう割と草の根から這い上がって来たくらいの人間なので、こちら側の人にシンパシーを感じはするんですけどね、それはある意味、上手にエリートというか、社会が親が期待するような階段を上がってきてしまった人の方が逆に難しいかもしれないですよね。人の心の痛みが分かっているかどうかだけだと思いますよね。そこだけがポイントかなと思いますけどね。

人の心の痛みをほんとに教えてもらえた高校時代に自分は、あと小さいころもすごい嫌な思いたくさんしたので、自分はやっぱり社会に恩返ししたいとね、そんなこんなでも、自分を社会に送り出してくれた、私は地域とか、社会福祉が守ってくれたからだと思うので、それは社会に恩返ししたいと思うので、その心の痛みをフィードバックしたいと思うんですけど、そういう人の心の痛みみたいなものを経験しているかどうかだけだと思いますよね。

 

MATSUMOTO
そうすると、才能とか、努力って、お話しも聞いていきたいんですけど、どんな分野でも才能、センスというのはあると思いますか?
高萩社長
私は好き嫌いとかじゃなくて、例えば、自分がやりたい仕事とか、自分に向いている仕事を若い人って探そうとしちゃうじゃないですか。だから、例えば、起業を応援するというイデアの松本さんの話に被せるとするならば、起業したい人が何かネタを探しているときに、なんだろうな、自分がやりたいことを始めたり、好きなことを始めたりすることは、私はオススメしないんですね。

そうじゃなくて、世の中の人が必要としていることを始めた方がいい、自分が好きか嫌いかじゃなくてね。私はたまたま起業することになって、私は旅というキーワードでしか、会社が作れなかったのでね、他のこと知らないから、たまたま旅行会社を始めましたけど、でも、やりたいから始めたわけじゃないんですよね。食っていかなくちゃいけないので、会社作ったんですけど、やりがいというよりは、私はやらされがいだと思っていて、別に私は宗教とか、信仰とかないですけど、試されていると思っているんですね。お前、これできんじゃないか、やってみって、社会に試されているというんですかね。

 

誰でもできる仕事じゃないけど、お前ならできるかもしれないから、ちょっとやってみと、仕事預かっているような感覚で、今、自分は会社をやっているので、そういう意味では、能力とかセンスとかっていうことをあんまり自分が気にする、だから、自分にはそんな能力がないんじゃないかとかね、もともと自分はセンスがないんじゃないかとかいうところから、入らない方がいいんじゃないですかね。私は人間の持っている潜在的な力って凄いと思っているので、本気かどうかだけ、本気かどうかの方が大事ですよね。切羽詰まっていますという覚悟がないと逆にうまくいかないと思うので、センスとか、能力とか、適正とかよりも、本気度とか、覚悟の方が大事じゃないかと思いますね。

 

MATSUMOTO
一つ、才能とか、努力とか、時代のタイミングとか、すごい重要だと思っていて、才能があって、努力すれば、圧倒的に努力すれば、それは花も咲くだろうし、タイミングも合えば。でも、才能があって、努力しなければ、全然花咲かないだろうし。才能がないけど、努力はめちゃめちゃするとなると、ちょっとどうなのか分からなくなるというのもある。
高萩社長
才能ってなんだろうな。私には才能ない。

 

MATSUMOTO
例えば、才能、センスがない人が、例えば、どんなに頑張ってもですね、なかなか難しい部分がある。例えば、歌が下手な人がですね。どんなにすごい頑張っても、センスの数値が低いと、やっぱり努力だけだと、なかなかカバーができない部分もあるんじゃないかなという感じる部分はあるんですけど。
高萩社長
なるほど。そういう才能は必要でしょうね。ただ、そうだな。起業するのに才能が必要かというと、私はお金勘定もできないし、営業もできないし、何もできなかったけど、なんでしょうね。私に才能があるとしたら、何の才能なのかな。

 

MATSUMOTO
起業じゃなくてもいいんですよ。
高萩社長
起業じゃなくても、才能か。そうですね。でも、自分の才能を見極めるって、どうしたらいいんだろう。私は自分の才能なんて考えたこともなかったな。今、久しぶりに松本さんから才能という言葉を聞いて、考えたこともなかったし、私は鈍感だから、俺って起業する才能があるのかなとか、会社を運営していく、経営者としての才能はあるのかなって、考えたこともなかったですね。それはね。才能か。

 

MATSUMOTO
それを自分が把握するために客観的に見ていくためには、日頃どんなことが必要だなというのは。
高萩社長
アンテナを立てるということは絶対的に必要でしたよね。才能がないとか、センスがないっていう人がいたとするじゃないですか。私から見ると、鈍感というか、アンテナが立ってないんですよね。いろんなことに興味関心を持つアンテナって、絶対、これは必要だと思いますよね。

だから、アンテナを張ってない人は起業するときついですよね。起業に限らずかもしれないですけど。やっぱりいい意味でのアンテナ、自分のアンテナを立てるというんですかね。そういう、あと情報のインプット、アウトプットとか、そういうことである程度、才能とか、センスってカバーできるんじゃないかな。意識することで。

 

特殊な才能は、才能は必要とする訴求力ももちろんあるので分からないですけど、今の私からすると、才能よりもっと大事なことは興味とか、関心、あと、情報のインプットと、アウトプットなんだろうなと思いますよね。

情報ってインプットしない限りはアウトプットできないので、よくね、ブログ書きたいんですけど、ネタがないんですという人は、インプットが全然足りていないだけですよね。

 

MATSUMOTO
自分を常に客観的に見るということは、お客さんの反応を見ることとか、お客さんのニーズを見ていくとこにも繋がっていく?
高萩社長
繋がると思いますね。これは、ぜひ、練習されるといいと思いますよね。私、こういうこと言うとあれかもしれないですけど、クレームを上げるということは、すごく自分は大事なことだと思っていて、ポジティブ思考とか言う人いますけど、私は喜怒哀楽ってあった方がいいと思っていて、腹が立ったとき、自分が今腹が立っているということを言った方がいいと思っていて。

でも、例えば、私は飲食店で何かクレームを上げるとしますね。そのときにクレーム上げているときに、必ず、私はもう一人ここにいて、「なんで、高萩はこんなに腹を立てているんだろう」という一人がここに必ずいますね。それがないと主観だけになっちゃう。「おい、大丈夫か、お前、なんでそこまで怒っているんだ」というのを見ておく必要があるかもしれないですね。

 

MATSUMOTO
そういった部分は結構リサーチとか、商品開発とか、マーケティングだったりとかも、やっぱり社長の性格というか、そういうのが繋がってくる。
高萩社長
繋がってきますよね。絶対的にそこはリンクしますよね。

 

MATSUMOTO
そういったサービスを、売れるサービスを提供するというのも、やっぱりそういうのが影響する部分はある?
高萩社長
多分にあると思いますよね。価値観の押しつけが世の中に多すぎると思っていて、私、ラーメン屋さんなんか、よく例に出すんですけど、ラーメン屋が新規開業しますと言っても、別に誰もラーメン屋なんか求めていない。前ここラーメン屋だったけど潰れたよねみたいなところに、またラーメン屋があって、それは俺の夢は、俺の店を持つことだみたいな、出発点がそこじゃないですか。

そんなの誰も求めていないというか、別にラーメン屋さんたくさんありますし、みたいなところで何かを始めちゃう人が多いんじゃないですかね。そうすると、同業他社との競争に勝ち抜かないといけないから、かなりの才能、それは技術職、職人としての才能だったり、マーケティングセンスだったりということが必要になってしまんじゃないかなと思うので、出発点がそこだったらきついかもしれないですよね。

 

お客さんが何を望んでいるかというのを、事前に察知するためには?

高萩社長
私は根掘り葉掘り聞くしかないですよね。私はすごい鈍感な人間なので、例えば、私がすごくラッキーだったのは、障害者とか、高齢者とか、目が見えない人とか、聞こえない人とかが、どんどんお客さんとしてやってくるときに、私は目が見えない人の気持ちとか分からないわけですよ。目が見えるから、なので、私、お客さんに聞くわけです。

「すみません。僕は目が見えちゃうので、目が見えない人の気持ちって分からないんですけど、目が見えないとどんなことが不便なんですか」と聞くしかない。例えば、某高級ホテルのおもてなしマニュアルには、聞くのはサービスマンとして失格だと、お客様の期待を超えるためには、お客様が今何を考えているか先読みしろっていうらしいですけど、私は人の気持ちなんか分からない。

 

血が繋がっている肉親が何考えているかも分からないのに、家族が何考えているかも分からないのに、そんな他人の気持ち分かるわけないじゃんというのが私の出発点なので、車椅子を使っている方は、「すみません、僕立って歩けちゃうので、歩けない人の気持ち分からないんですけど、車椅子から立って歩けないというのは、どういうことが不便なんですか」とかっていうのは聞くしかない。

やっぱり聞く癖がついているので、根掘り葉掘り聞きますね。それはその人への興味でもあるんだけど、子供がいろんなこと疑問に思うみたいに、私はどんどん聞く、だから、根掘り葉掘り聞くに限ると思うんですけどね。

 

MATSUMOTO
本音が結構やっぱり出てきます?
高萩社長
本音を引っ張りだすための聞き方ってあると思うんですよ。そんなの本音言ってくれないですよねって、よく言われるんですけど、それはこちら側が本音で聞いていないからですよね。

だから、よく胸筋を開くという言い方しますけども、本音を聞き出すためには、こちらがほんとに嘘偽りない言葉を言って、口から出していくことが必要ですよね。「僕、すみません、立てるので、立てない人の気持ち分からないんですけど」って、普通、失礼だから、障害者の人はそんな言い方しないんです。「目が見えないって何が大変なんですか」なんて、普通聞かないですよね。

 

だけど、それが聞けちゃう、聞いてしまうというのは、ほんとはそう思って、みんなそう思っているけど、みんな聞かないだけだから、この人、正直な人なんだなっていうふうに先方が思ってくれたらしめたもんですよね。

だから、コミュニケーションって、キャッチボールだから、私はこう思うんですけども、お客様はどう思いますかっていう投げかけ方も有効だと思うんですけども、そうすると、私の考え方に対して、お客様は本音を言ってくれる可能性が高いですよね。

 

今後の事業展開を教えて下さい。

高萩社長
偉そうなことずっと語っているんですけど、創業して18年、会社の規模は全然大きくなっていないんですね。ずっと同じくらいの規模で、年商はお陰さまでちょっとずつちょっとずつ増えてはいるんですけど、でも、お陰さまでもうすぐ20年を迎えるにあたって、もう自分もほんとに35歳で創業して、気がついたら50歳を過ぎていて、石の上にも10年と思っていたんですけど、でも、10年経っても分からないことだらけだったんですね。15年経って、ようやく分かってきたような、分からないような、でも、もうさすがに勉強している時期じゃないんじゃないか。

いよいよ最終的に世の中に何かお返しすべきときが来たんじゃないかと、すごく思っていて。私は会社の規模を大きくすることが得意な経営者じゃないことに気がついたんですね。とっくの昔に。社員をどんどん増やしていってというスタイルじゃないとするならば、私は思想を広げていこうと思ったんですね。

それは、サービスもそうだし、旅もそうだし、こういう考え方って、もっと世の中に広がると、みんな幸せになれるよねということを伝導していく、そういうビジネススタイルを作っていこうと思っていて。

 

一つはコミュニティビジネスそれは会社を作ったときから、私はなんとなく、そう思っていて、うちは会員制の旅行クラブを持っているんですけども。会社作って、最初のお客様がいらっしゃってくれたときに、なんか、これからはコミュニティの時代だよなと思ったんですね。なんかふと思ったんです。

クラブと言われても、旅行クラブ即席で作って、年会費2,000円でいいやとかといって、「すみません、これ入ってもらえませんか」と、みんな入ってくれたんです。最初、6人入ってくれて、6人からスタートして、でも、今まだ、350人くらいしかいらっしゃらないんですけど。

 

でも、こういうコミュニティが存在しさえすれば、いろいろなビジネスがそこには生まれてきますよね。今までは、いいものを作ったから買ってね、という、プロダクトアウトの時代が長く続いたと思うんですけど、これからはやっぱりマーケットインにボトムアップのマーケットインで、1万人なら、1万人のコミュニティがいて、「ところで、みなさん最近、何困っています」とか、「テレビでこんなことやっていましたけど、興味ある人います」というところに手が挙がるような、そこでビジネスが発生するような、多分、ボトムアップとか、マーケットインの時代がもう来ているんじゃないか。

それはよく言われることなんですけど、プロダクトアウトでいいものがどんどんどんどん上から降ってきて、もうお腹いっぱいだよねという状態の中で、今、日本で人々が何飢えているのかというのは、すごくウェットなアナログチックなものに人々は飢えているんじゃないかなって、すごく感じるので。旅というものを通じて、またもう一つできるサービスを通じて、世の中に価値観を共有してくださるコミュニティをどんどんどんどん増やしていくことで、じゃあ、組織どうするんですかという話なんですけど。

 

私は創業のことから夢見ていた組織があって、それはご存じかどうか、ブラジルにあるセムコという会社があって、何やっている会社かよく分からないんですけど、出勤日も、出勤時も何をやっているか全て、社員が決めるという会社なんですね。完全に自由な会社なんです。

ものすごく業績を伸ばしているんですけど、出勤簿もなければ、社員規則もなければ、ほんとに自由な会社なんです。だけど、そこにどんどんビジネスが発生して、業績も伸ばしている会社があるんですね。私そういう会社が日本にあったらいいなと昔から思っていて。

 

今うちは、俺と一人しかいないんですけど、彼女は出勤自由にしていて、勤務時間も何もないんですね。来たり来なかったりなんですけど、でも、その理由は彼女、今、小さい子供が二人いて、小学生と中学生になったばかりの子がいて、PTAなんかもやっていて、フルタイムで出勤できなくはないんだけれども、非常に厳しいですよね。

子供の迎えに行ったりとか、フルタイムと子育てを両立する、みんなしているんでしょうけど、すごく大変だというときに、今しかできない、母親としての仕事とか、やりたいことがあるんだったら、それは全然優先してもらって構わない。週5時間でも、10時間でも全然構わない。結果だけ出ればというね。そういうスタイルに今しているんです。彼女は極めて自由に今働いています。でも、主婦は凄いですよね。ちゃんとね、数字出してくるんです。数字出してくるって、変ですけども、ちゃんとね、売上は作ってくるんですよね。

 

MATSUMOTO
やることはやると。
高萩社長
やる。だから、私はサラリーマン時代のしょうもない会議とかね、職場の人間関係とかね、私絶対社員たくさん抱えるのが嫌だと思ったのが、あるとき、取材にお見えになった方が、そういう話になったときに、女性を10人、デザイナーさんやら、いろいろ抱えていますと。高萩さん、ほんと勘弁してほしいんですよ。会社帰ると、誰かから呼ばれて、「ちょっと社長いいですか」って言って、「なんとかさん、なんとかしてください」とかね、「どうした、あの人は」みたいな、そういった話を、仕事させてくれみたいなね、ほんとに女性は大変だという話を聞いて、俺にはできないと思ったんですよね。

 

だから、逆に私が何かコントロールしようとするんじゃなくて、組織形態でいうならば、彼女がこういうスタイルだったら、自分がイメージしている子育てだったり、自分の趣味だったりというものと、あと会社にこのくらい今日は関与できる。

1ヶ月でこのくらい会社に来て、このくらい家でやって、このくらいはカフェでやってとか決めて、結果的にこの結果で出さえすればいいのであれば、こういう働き方は一つのモデルケースを作って、次々に広げていけるんじゃないのかなというふうに思っているんですよね。

 

だから、社員とかという雇用形態にこだわることには、おそらくこれから先ほとんど意味はなくなってくるんじゃないかと思っていて、そんな中で女性が一つは持っている能力は、社会の仕組みと組み合わさらないために、持て余している人たちはもったいないと、うちはもっと手が足りないですから、そういう人たちの時間をパーツ、パーツで、バラバラに借りてきて、スタイルとか、期限とかも、全部任せてしまう。これもブラジルのセムコ社のスタイルなんですけどね。

それでむしろ給料も自分たちで決めてもらう。そういうスタイルできたら面白いかなと思っているのが一つ。会社の事業展開というよりは、そういう会社を作りたい、日本にない会社を。

 

もう一つはちょっと本題とそれちゃうかもしれないんですけど、さっき起業を応援したいと松本さんと何か一緒にできないかなと思ったのが、私、アサヒビールさんとご縁があって、アサヒビールの社会貢献の人たちと、児童養護施設の子供たちの外出支援というのを、18年間やっていて、日本に児童養護施設という、親と一緒に暮らせない子供たちですよね。

両親が離婚して、どっちも引き取らないとか、病死とか、自殺で亡くなられたりとかいって、施設で暮らしている子供って、日本に3万人くらいいるんですね。この子供たちって集団生活しているので、なかなか施設の先生が外に連れていってあげられないという話を聞いて、アサヒビールさんがスポンサーになって、うちが今、旅行の手配とかして、全国で日帰りのバス旅行をお手伝いしていて、18年間200回以上やっているんですけど。

 

そこで施設の先生なんかとずっと話していると、子供たちとも接している中で、施設、ここ卒業したあと、この子たちはどうするんだろうと言ったら、法律上、高校3年までしかいられないので、どっちにしろ、就職先を見つけて、施設を出なくちゃいけないけど、その施設を出て、住む家がないから、寮とか、住み込みで働けるところでしか、働けないわけですよ。

そうすると、だいたい、私、今月、北陸の能登半島にある養護施設の子供たちに、またバス旅行やるんですけど、彼らに聞いたら、能登半島なので、だいたい男の子たちは、金沢市内とか、富山に行って、パチンコ屋さんか、建設作業員か、新聞配達、この辺は住み込みで働けるんですね。常時、人が足りない。

女性は、枕温泉の仲居さん、これが主力のマーケットで、仲居さん住み込みで働けて、比較的執事を問われないので、こういうとこに就職しているんですと、大学はほとんど進学しない、だけど、こういうところに就職した人たちがうまくその職場に馴染めなくて、スピンアウトしたら、とても悲惨な結果が待っていて、施設は戻ってこれないですよね。

 

だから、住むところがない、なので、女性は風俗に転落してしまったり、男どもは悪い不良に巻き込まれて、暴力だの、受け子とか、出し子とかってね、ああいうのやらされたりとかにいってしまうんだけど、今の社会の福祉の仕組みは、卒業したあとはカバーする法律がないので、非常にそこは悩ましいという話を聞いたんですけど、だけど彼ら非常に苦労しているので、小さいときから、私の高校生活じゃないけど、いわゆる、理不尽ですよ。

生まれたときから、ずっと理不尽な生活を送って、一番身内の親から捨てられるという理不尽な経験をしていて、その彼らが卒業したあとに、社長という職業があるんだよということを、彼らに教えてあげたいと思っているんですよね。自分で食っていく、彼らは就職先を探そうとする、福祉施設の人も一生懸命、先生もすごい優しく応援する。

 

だけど残念ながら、学校の先生と、福祉施設の職員は、起業という概念を持っていないんですよね。保守的な人たちだから。だから、彼らにこことかが、もちろん出たあとでもいいんだけども、あなたたちには自分で飯を食うという選択肢があるんだよということを経営者が応援してあげて、様々なサポートをそれこそ適正を見つけてあげるのか、彼らの興味関心なのか、またはうちで別に働いてもらってもいいですし、4年後に、4年間、例えば、「じゃあ、お前、大学で勉強してからね、起業の勉強しろ」とかって言って、4年後に、4年間、自分のやりたい道見つけてもらって、自分で食えるようにしてあげるという仕組みを作りたいと、ずっと思っていたんです。

 

MATSUMOTO
面白いですね。
高萩社長
そろそろ、いよいよ、賽は投げられるときかなというのは考えているときに、こういう出会いがやっぱりあるんですよね。だから、今まさに、そういうワークショップなんかを、もうちょっと体系的に、高校生にそういう話をしに行って、社長が授業やると面白いじゃないですか。

 

別に煽りたてるわけじゃないんだけど、経営者は多分、「いや、社長って面白いよ、やりなよ」って言うと思うんですよ。「やり方なんかいくらでも教えてあげるよ、俺たちも実はたいしたことなかったよ、高校の成績悪かったし、タバコは吸っていたし」みたいな、そういう身近な人がロールモデルになれたら、すごくいいんじゃないかなと思っていて、多分、経営者のみなさんそういうことには全面的に協力してくれると思うので、そのファンドは経営者が出せばいいと思うんですよ。

みんながやる、お金出し合って。そういうバーチャルな学校みたいなものを作って、寄ってたかって、みんなで教えてあげて、それぞれの会社でインターンみたいにしてあげて、経営者として送り出してあげて、うまくいかなかったら、また戻ってくればいいかなみたいな、そういう子供たちを、そっか、俺たち自分で食えるんだみたいな、そういう仕組みを作りたいかなと、すごく今、熱烈に思っていますね。

 

MATSUMOTO
面白いですね。いいですね。

 

最後に、起業を考えている方々へのメッセージをお願いします。

高萩社長
始めちゃうことですよね。自分を崖っぷちに追い込んだ方がいいですよね。起業の相談とかに来られる方も多いんですけど、頭の中でグルグルグルグル考えて、何も進まないですよね。だから、法務局に登記に行っちゃった方がいいですよね。会社を辞めちゃうこと。

貯金残高がどんどんどんどん減ってくれば、崖っぷちに立てば、馬鹿力というのは湧いてくるし、神風も吹くと思います。努力さえすれば、神風は吹くと思いますね。応援してくれる。社会が応援したくなるような仕事を選ぶということは一つあると思いますね。

 

それは、あんた、社会が放っておかないでしょうという素材を見つけた方がいいと思いますね。そういう素材って世の中にたくさんあると思いますよね。そういう意味では、自分がやりたいことを、ラーメン屋始めるんじゃなくて、社会がほんとに必要としているということを見つけさえすれば、それ好きとか嫌いとかじゃなくて、自分の役割なんだって思ってやれば、追い風は必ず吹くと思いますよね。

なので、行動あるのみですよね。命取られるわけじゃないのでやってみて、上手くいかないですけど、大概上手くいかないですけど、上手くいかなくなったら、またやり方考えて、とにかく、前へ進んでいくことだと思いますね。

 

MATSUMOTO
まず始めちゃいなと。
高萩社長
始めちゃいなですね。無責任ですけど。
MATSUMOTO
分かりました。ありがとうございます。

 

本日のゲストは、有限会社ベルテンポ・トラベルアンドコンサルタンツ 代表取締役社長 高萩徳宗さんでした。ありがとうございました。

高萩社長
ありがとうございました。

 

 

 起業におすすめな本/社長の「1冊」

30年以上、音信不通だった、私の高校の先輩から突然、この本が送られて来ました。「今の高萩くんに、是非読んでもらいたいと、ふと思った」とメモ書きがありました。人間は、いつかどこかで必ず調子に乗ります。私のブログやメールマガジンを知らない間に登録して、何年も読んでくれていたみたいです。人としての原点に帰れる本です。

 

(有)ベルテンポ・トラベルアンドコンサルタンツ   代表取締役 高萩 徳宗

1999年に日本初の障害者、高齢者向け旅行代理店である、有限会社ベルテンポ・トラベル・アンドコンサルタンツを創業。「障害」を福祉的発想で捉えずに、「サービス」の観点から追求し、表面的な見掛け倒しのサービスではなく、真の意味での「お客様視点」とは何かを意識した取り組みが注目されている。「ガイアの夜明け」(2007年/テレビ東京)では、リッツカールトンと共に「究極のサービスを提供する会社」として紹介もされた。講演では、「おまけや値引きはサービスじゃない」をテーマに、サービスの意識改革セミナーが好評。多くの実例を元に具体的なサービスへの提言を行う。また、バリアフリー旅行の第一人者として、街づくりや店づくりのユニバーサルデザインについても分かりやすく解説を行う。

著書:「サービスの教科書」「売れるサービスのしくみ」「サービスの心得」「サービスを安売りするな」「いい旅のススメ」