お布施でクレジットが組める??
結局、ローンやクレジットが組めるというのは、当然、物販の世界ではあり得るかもしれませんけど、そのサービスの対価というか、お布施でクレジットが組めるって、どういうことなのという話まで出てくる始末だったんです。だから、僕が聞いた500なんていうのは、重箱の隅に一つあったようなもの。だから、ほんとにあちこちつつけば、そういう話まで出てくるんだなと。変な話、法事で宴席にご住職ついてもらうためには、1本立てないと駄目なんだよという人が出てきて、どういうこと?と言ったら、100万円束で立てないと席にまでついてもらうことができない。
要するに、ご法事はやってくれても、その後のお席まで同行するには、100万円の支払いをしないと、その宴席にまでついてくれないご住職もいるという話まで出てくる始末だったので、世の中どうなっちゃっているんだと、たかだか、30分、40分のご法事のお経の後、お食事どうぞという振る舞いにつくのに、なんで100万もかかるんだと
どちらかと言うと、金銭欲にまみれた、ビジネスを超えちゃっている。ビジネスって、金銭欲じゃないじゃないですか。世の中の人のために役に立って、対価として報酬を受けるということだと思うんですけど、世の中の人を困らせて、脅して、そうじゃないと先祖からの罰が当たるぞとか、そんな可哀想なことして、先祖が浮かばれないなとか言われれば、さっき言ったように不安になるわけですよ。そういうことって、やっぱりしちゃいけないのって、じゃあ、言われたまま払いましょうみたいなことをさせている。それって、恐喝と変わらないと思うんですよね。
そんなものどこにもないし、仏様の教えって、そういうものじゃないと思うので、みんながちゃんと生きていけばいいはずなのに、いつの間にか恐喝まがいのことが世の中にまかり通ってきちゃっている。そういうものに対して、今度、お布施なんだから領収書はでませんよという話を、世の中、まことしやかに言っていましたけど、いよいよ、税務署が動き出すようになってから、今のところは、そういうところもしっかり税務署のほうも見るようになってきているので、いよいよお寺さんも、ちゃんとした、どんぶりでやっているようなところじゃなくて、経済基盤を整えて、その風に対する準備もしておかないと、いっぺんでひっくり返されちゃう時代がくるんじゃないかなと、その前に、我々はこういうかたちで少しでも、そういう世の中の多くの人たちが悩みを抱える部分と、お寺さんがしていかなければならないと考える部分を、両側面から支えるために、この事業に足を踏み込んだというかたちなんでしょうかね。
基本的には、仏教なので、宗教法人というのを取りたかったんですけど、宗教法人はオウム真理教の事件以来、東京では認可がほんとに下りづらくなっているよということもあって、僕がやろうとしているのは今止めないと、仏教が廃るということなので、なるべく早く、そういうものに手をつけたかった。
そうすると、じゃあ次は、NPO法人はどうなのという話になっていくんですけど、暴力団の話があったりとか、ちょっとそれも認可が少し時間がかかると、ちょうど会社法が変わっていたので、1円から会社設立できますよという時代になったので、さあ、どうしようとなったときに、でも、お金稼がなきゃいけないんだよなと、お金稼ぐ、イコール、仏教じゃないと、僕はどこかで思っていたので、これはやる事業じゃないんじゃないかと、株式会社にしてはいけないんじゃないかというふうに思っていたんですけど、お金儲けをしなくても成り立つという会社を作って、あなたが世に知らしめればいいんじゃないかと、そのときのコンサルをしていた先輩が言ってくれて、できるのか、それでもと、株式会社って、お金儲けだけじゃないんだよ、利益追求じゃないんだよというのを、あなたが見せる会社を作っていけばいいじゃないかと、それが仏教を広めていくのに役に立てば、全然問題ないんじゃないのと、理にかなっていれば、利益ではなくて、ご利益というもので、あなたの会社にお金が回ってくるんじゃないのと、それが仏教の考え方じゃないのというふうに諭されて、そうだなと、大変な思いをするの覚悟で、株式会社という道を選んで、運営を始めたということですね。
業界の常識は世間の非常識 !
そうすると、10万円というのが一つのラインになるんじゃないかと、でも、じゃあ、なんで15って平均値が出てきたのかなとなると、坊さんだから色つけてくれている部分と、これこだわったら、こだわり賃として、自分は何宗のどういうかたちのお経であげてもらいたいという方と、いや、もう何しろ仏教だったらなんでもいいんだ、仏式のものだったらなんでもよくて、そこをやってもらえれば、それでいいんだよという、二つに分けたら、この15と10の意味合いも分かるなということで、15万円のほうは、こだわり賃、宗派を指定される方に対しては、この金額で行いますよと、10万円のところは宗派をこだわらず、仏式だったらなんでもいいんですよという方に対して、値付けをしていこうというところで判断を一旦していたんですが、僕も縦横、宗門の先輩方に仏教界のお仲間とかいるので、話を聞いたら、そんな金額でなんかやったら、お前のところに全部流れちゃうじゃないかと、だいたい世の中の相場に合わせないとまずいよと言われて、そういうものですよねと、そうかということでスタートは、そういう助言もいただいたので、じゃあ、お布施30万、戒名つきで、宗派指定をいただいて、この金額というのでスタートさせたんですけど、それじゃ、お寺さんと変わらないわけで、ビジネスとしてうまくいくわけないんですよね。
家の電話が止まり、住民税が滞納し、自殺まで考える
自分の給料も取ったり、取れなかったりということで、銀行融資とかも底をつき始めちゃうし、さあ、これどうしていったらいいのということで、2年目770、80万でしたね。売上は立つけれども、確かに、上がってはいるけれども、利益はそう多くない。会社を運営していくうえで、このままじゃ、どうなっちゃうのというところだったですし、だから、その三期目のときに転換期がくるんですけど、1,000万を三期目までに超えなかったら、売上が法人は外そうと自分のなかで決めていて、税理士さんにも税理士費用を待っていただいたりとか、そういう状態だったり、あと、事務所もですね、最初は先輩の事務所の間借りだったところから、友人のところの喫茶店の一部を改修して、自分の事務所にしていたので、その一部、林さん使ったらと言ってくださっていたので、そちらへ移動したんですけど、そこの家賃すらお支払いができないというなかで、非常に苦しい3年目を終えて、結局のところ、みんなに待っていただいたりとかして、それでもなおかつ、1,000万に届かないと、これはやめろと、神や仏の掲示だろというふうに勝手に判断をして、税理士さんにも待っていただいているけど、お金払えないし、こんな状況じゃ、自分一人で借金背負うから、個人事業に変えて、一から借金を返すことだけ先にやりたいという話をしたら、それでも、こうやって着実にちょっとずつは伸びているじゃないかと、今諦めてどうするんだと、僕はほんとに自殺まで考えていたので、でも、家に帰って、妻に、その話をすると、なんで辞めるのと、もう家のほうも電話が止まったりとかですね。住民税が滞納で督促が来ていたりとか、非常にこれはもう生活していくうえでもかなり厳しいなという状態だったんですけど。
人の家の寺の心配をしている場面じゃないだろうと、お客様のためにやろうとしたことが、ある寺のための事情にすり変わっているのは、これ何?ということで、自分でアンケート通りの数字に変えて、お金も底をついていますので、白黒のコピーでしかチラシも作れませんし、そういうものを一から作り直して、世の中に頒布していくというんですかね。
そういうことを自分の足で、誰にも頼めませんので、自分でやっているのを、そんなホームページを全部変えたところを、読売新聞社さんの記者さんの目に止まって、その方がインタビューしてくれなかったら、多分こんな大きく変わることはなかったと思うんですけど。
軌道に乗ったターニングポイントは?
業界の常識があるなかで、非常識に踏み込むときの心理的なメンタル的な部分の気持ち、どういう心理状況だったんですか?
その全日本仏教会さんとのシンポジウムの席にも招かれてお話をさせていただいたんですけど、当然、賛否両論あるのは分かったうえで出ていきました。ただ、そうなったときに、自分も心理的に相当揺らいで、やっぱり僕のやっていることは間違っているんじゃないのとなって、僕がもうお付き合いのある、元の経産省のお役人さんが陽明学と、王陽明さんの学問を広める私塾をやってらっしゃって、そこに行ったときに、その僕の心の支えになった言葉を王陽明さんが使ってらっしゃった、今でもそれは僕の座右の銘というか、ほんと心のなかにあって、ほんとそうだよなと思っているのが、「政賢の言なれど心に適わずばこれを用いず」という言葉なんですけど、要約すると、どんなに偉い人、優れた人の言葉であったとしても、自分の心を照らし合わせて、それに適してないなと思ったら、それを用いないということなんですね。
それは僕が今やろうとしているのは、今まではこうきたかもしれないけど、世の中変わるべきところで、変わるタイミングで、それをまた僕が使ってしまえば、結局のところ、30万だと言われたものを、30万と使ってしまえば、世の中の人のためにならない。求めているものに対して、答えが出せない。だったとすれば、僕が今やろうとしていることは何も間違いではなくて、正しいわけでもないけど、一つの道として世の中に提示をしていくことができるんじゃないかということで、やっと肝が据わったというか、ぶれていた部分もそこからは一切なくなって、自分がやることが世の中のために必ずなるということで継続ができたということかもしれないですね。
これから起業する方で、まだどんな分野に進もうか迷っている方向けにアドバイスをお願いします。
はっきり目覚めてもらいたいということかもしれません。自分というのは、一体誰なんだと、自分に問いかけるということを、しっかりやってもらいたいなということと、あとは、誰とそこへ行くのかというのを決めてもらいたいなと、この二つが決まってくれば、多分腹が据わってくると思うので、起業って、簡単じゃないです。確かに、僕も挫折というか、お金の面で相当苦労もしましたし、周りにも迷惑かけましたけど、でも、支えられているんだと気がついたときに、やっぱり自分のなかに感謝と、その人たちの愛を感じることができたので、それを世の中に返していく、これは続けていける一つの、ほんとに背中を押す力になってくれるなと思っているので、まず、やっぱりしっかり自分にほんとに私はこれでいいのかというのを、誰とそこに行くのか。
目指すべきところはどこかというところを、しっかり自分のなかで問いかけていただいて、かたちなんていいんだと思いますね。いくらでも道があると、さっき言ったように、いくらでも道があるので、そのなかで自分がほんとに世の中のためになる手法というのはどうなんだと、お金を稼ぐというのを目的にすると、多分ぶれると思うので、理念を先にしっかり作っていただいて、利益というよりも、僕も仏教の言葉のほうのご利益をいただいているというふうに思っていますので、必ず、それはついてくるもの。正しいというのもちょっとおかしいんですが、正しい、間違いというのは、二極化した考え方なので、自分が目指すものがぶれていなければ、悪いことして金稼ぎますよという人はまずいないですね。
世の中にいいことを、どういうふうに具体化させて、そこへ進んでいく。そこを目指すのは、これでいいのかという問いかけと、誰と行くのかというのをしっかり考えていただくことによって、多分その事業というのは大成もしていくでしょうし、退化もしていくでしょうし、さらなる進化もしていくというふうに思います。
最初の資金はどれくらい用意したほうがいいですか?
事務所的なところを、まず、ここに構えなきゃという考え方もまず捨てていただきたい。職場と自宅は離せという人がよくいますけど、それも僕嘘とは言いませんけど、考えなくていいと思います。今あるまま、今があるままやっていただくのが、だから、資金がなければ、自宅で始めるのも一つの手だと思いますし、考え方次第だと思いますけど、そんなものに無駄なお金を使うよりも、世の中の人のために役立つためには、今ここでやっていくというスタートも僕は一つありじゃないかなというふうに思っていますね。
今後の事業展開、仕事上での夢を教えてください。
させていただけていることに、まず感謝をしていくこと。なので、僕はそういうものを、みなさんと共有ができる事業を作っていきたいなというふうに思っていて、今、私どもが五大事業と言っているなかでも、特に、生きている人と関わっていくものを、もっともっと積極的にやっていくべきだなというふうに思っていますし、その最後に必ず、みなさんが来るべき命の終え方が死というものであるとすれば、そこを怖がらずに往ける。もうやり切った。生き切ったというのを自分の魂にしっかり伝えて、この世から役目を終えていってもらいたいなという、そういう事業を多くの方たちに安心を与えるというんですかね。
生きているなかで、そういうものを自分がやり切ったと思えるように、行動もしていただくし、思考もそういうかたちでしていただくし、感情というものも、そういうかたちに持っていけるように、いろんなセミナーであるとか、座禅会であるとか、法話会であるとか、様々な場面を通して、伝えていける。そんな事業を展開をしていきたいなと、葬儀とか、死後の担いというものは、薄くなるとは言いませんけれども、ほんとに必要とされているうちはお手伝いをさせていただきますが、そこを失わないためにも、まず、その機会を与えていただけることに感謝をして、まずは、生き方をどう支えていくか。どうサポートしていくか。そういうことに重点、力点を置いていきたいなと思っています。
起業を考えている方へのメッセージをお願いします。
起業におすすめな本/社長の「1冊」
92年、春。私生活と仕事の両面で苦しんでいた著者は、「神」に宛てた手紙の中で、やりきれない心情と疑問をぶつけた。書き終えてペンを放り出そうとしたその時、「神」からの回答が…。
株式会社おぼうさんどっとこむ 代表取締役社長 林 数馬(法名:行摂) お寺に生まれ、大正大学大学院修士課程修了後、関東各地の寺で修行を積み信念を持って僧侶としての人生を歩む。 そんな中、数多の理不尽なできごとをきっかけに現代日本人のお葬式のニーズと、僧侶としての本来の在り方と現状に疑問を感じる。社会に信用される、僧侶としての新しい形を模索した結果、誰もが気軽に利用でき、明瞭な価格でのサービスを提案したいと考え、「株式会社 おぼうさんどっとこむ」を設立、『大切なのはその心、生き方の一つにご供養がある」をテーマに葬儀への僧侶派遣という新しい葬儀の形に取り組んでいる。 彼の提案する新しい葬儀の形は各界で話題となり、読売新聞、New York Times、産経新聞などのメデイアに次々と取り上げられ、更にNHK(ゆうどきネットワーク)、テレビ朝日(スーパーJチャンネル)、TBS(ひるおび、)テレビ東京(ルビコンの決断)で特集されるなど既成概念に固まったご供養という世界に新風を巻き起こす。 現在、登録僧侶250人の先頭に立って葬儀やご供養などに赴く他、自分の人生を自分で選択して行く「自己決定力」の大切さや社会起業家としての考え方などを説くための法話会を開催している。また、学校、経営者勉強会、企業、社会福祉法人などでの講演、連携・提携業者と共催の葬儀セミナーや生きかたセミナーなども開催している。 |