【IDEAストーリー】第3回:子供向けのイベントやアプリコンテンツを企画・制作/後編

コンテンツ

【IDEAストーリー】第3回:子供向けのイベントやアプリコンテンツを企画・制作/前編

 

最初は、どうやって宣伝していった感じですか。

内木社長
初めは、やっぱり子ども向けのイベントをやりますといっても、そういう需要がないというか、ヒーローショーだったら需要はあるんですけど、ヒーローショーとか、お菓子のつかみどりとか、ガラガラみたいなものっていうのは、ずっと何かやっているじゃないですか。

でも、それ以外のイベントって見たことないと思うんですよね。特に、8年前、9年前、思い出していただけると、きっとほぼないはずなんですよ。なので、今はなんかいろんな工作イベントとか、科学イベントとか、いろんなところでやっているじゃないですか。

でもそのころは、まだ子ども向けのイベントといったら、ヒーローショー、おかしのつかみどり、ヨーヨー釣りみたいな、そういう感じだったので、そもそもやろうっていうのがなかったんですよね。なので、営業はもちろんしていったんですけど、全然響かなくてですね、求められずに仕事がないみたいな状態で、デザインの仕事をして、なんとか食いつなぐみたいなのが、3、4年は続きました。

 

MATSUMOTO
結構な。
内木社長
長かったです。徐々に、徐々に、もちろん増えてはいったんですけど、それでも、月に1回とか、2回とか、そのくらいのレベルでしかなかったので、それだけで食べていくというのは、全然難しかったです。

 

MATSUMOTO
営業は、企業さんとか、ショッピングセンター系とか。
内木社長
そうですね。

 

MATSUMOTO
あんまり反応は良くなくて、それが、3、4年続いたと。
内木社長
あとうちが売りこめるものというのを、そんなに持っていなかったので、シャッフル塗り絵というのありましたけど、それ以外は、1個、2個ぐらいしかなかったので、その間はほんとに地味に作っていくということを続けていました。

 

MATSUMOTO
シャッフル塗り絵で、イベントやりませんか的なことでアプローチしていったという。
内木社長
ほぼそうです。

 

3、4年後に、徐々に軌道に乗っていったきっかけは?


13
内木社長
シャッフル塗り絵がiPadが出たタイミングで、すごく注目されたんです。iPadって出た瞬間って、ものすごい話題になりましたよね。iPadを持っているだけで、ちょっと人が呼べるぐらいの状態だったので、そのときに、イベント用で作ったアプリではあるんですが、一般向けのアプリも作って、一緒に出してみたんです。そしたら、アップルさんから、アップルジャパンさんから連絡があって。

 

MATSUMOTO
連絡があったんですか。
内木社長
連絡があったんですよ。メールをいただいて、ちょっとアップルストアで紹介したいから、バナー作ってみたいな連絡があって、バナーを作って送ったら、アップルストアのトップのところにドンと載ったんです。

ほんとにトップページに何もお金払っていないんですけど、載せていただいて、それで、かなりダウンロード数とかもあって、iPadでイベントができるというところで、結構企業さんからも反応が良くて、いろんなそれこそ、iPadとかを販売しているショップさんでイベントをさせてもらったりとか。

あと銀座のアップルストアでもイベントをやったことがあるんですけど、そういう有名なところでイベントをさせてもらって、このiPadで塗り絵が作れるイベントで、想像力というのがテーマになっています、というところがすごくはまって、そこからかなり増えましたね。

 

MATSUMOTO
アップルさんも、iPadが出た当時は、なんか営業やっていたんですかね。営業じゃなくて、単純に。
内木社長
いいアプリはピックアップしていかないと、ストア側も盛り上がらないので、それで、探していて、うちがはまったのかなと、子ども向けのアプリというのが、少なかったのでそこで良かったのかなというところですかね。

 

MATSUMOTO
きっかけとしては、そこが、iPadがタイミング。
内木社長
iPadは大きかったんですね。

 

MATSUMOTO
やっぱりタイミングに乗るというのは重要な感じですかね。
内木社長
iPadで子ども向けのイベントができるというのが、企業さんからしても、すごく魅力に感じてもらったのかなというところですね。

 

MATSUMOTO
そこから結構、問い合わせも来るようになった。
内木社長
結構増えていきましたね。

 

MATSUMOTO
こちらからも営業は、今でも。あんまりしない感じですか。
内木社長
営業は、あまりしていなかったんですよ。うちに営業マンがいなかったというのもあるんですけど、開発と、あと、デザインの仕事もそれなりに忙しかったというのもあって、なんとか食べれちゃったというのもあるんですけど。

なので、うちは営業というのは、ほぼしていないです。1日何件も行ってとかというのは、やったことがないですね。ほとんどが人からの紹介か、WEBサイトを見て、問い合わせをいただくというので、今はもうほぼWEBサイトからの問い合わせという形になっています。

 

どんな感想が多かったりしますか

MATSUMOTO
実際お客様の声というか、参加された方も含めて、企業さんも含めて、どんな感想が多かったりしますか。
内木社長
イベントパッケージを提供している会社というのが、うち以外に多分ほとんどないと思うんですよね。工作キットというのを売っているところはあるんですけど、例えば、おもちゃ屋さんとかで、一人分でこれが作れますみたいなキットってあるじゃないですか。

科学キットみたいな、ソーラーカーを作ろうとか、ああいうのはあるんですけど、1日100人、200人が参加できるイベントパッケージを売っていますというところって、あんまりないんですね。こういう参加型のワークショップというものも販売しているというのも、また珍しいので、それで結構ピンポイントでうちを見つけてくれて、依頼をもらってというので満足度は結構高いですね。

 

MATSUMOTO
そんな感じをイメージしています。
内木社長
お客さん、今でこそ、ちゃんとした形になっているんですが、運営するスタッフさんが、いかに楽になるかというのをものすごい考えているので、自分たちも運営してきたので、自分たちが楽になるには何があったらいいのかというのを、すごい考えてパッケージにしているので、ほんとに今は机とイスだけあれば、イベントができますという形のパッケージしてお送りしています。

テーブルクロスであったりとか、A3サイズの看板であったりとか、子どもに説明する小さいポップとか、注意事項とかいうのも全部セットにしてお送りしているので、ほんとにオレンジの箱で送っているんですけど、それを開けて、マニュアルを読んだらできますという形にしています。

これがマニュアルなんですけど、さっきのグラスガーデンのマニュアルですね。写真とかも、すごいいっぱい使って、こういう概要があって、レイアウト例とかも、広いときと、狭いときと、こういうときにこれを並べてくださいねというのも、図で分かりやすく説明して、写真もついていて、スタッフさんの事前練習は、こういう流れですよというのがあって、イベント本番の流れはこういう流れでやってください、注意点として、こういったことがありますよというので、呼び込みのコツとかも書いているんですけど。

「グラスの中に掌サイズのお庭を作ってみませんか」って、「本物の植物を作った、オシャレなインテリアづくりです」というのを、声掛けしてあげると、結構それですぐに参加してもらえますよとかですね。よくある質問であったりとか、一応トラブル対応マニュアルというので、親子で喧嘩が始まりましたと言うことも、一応うちとしては、こういう対応をオススメしていますというのを書いています。こういったマニュアルをつけているので、イベント初めてですという方でも、運営できるようにというので作っています。

 

14
MATSUMOTO
クライアントさんは、大きな会社が多いんですか。別にそんなことはない。
内木社長
バラバラですけど、結構大きなところは多いです。ショッピングモールさん、モールというくらいですから、やっぱりモールの運営会社さんになるので、そこのイベントを担当している方とかから依頼があるので、イオンさんだったら、イオン何々店の担当の何々さんからとかという感じで依頼がありますね。

あとは、カーディーラーさんだと、トヨタさんとか、ホンダさんとかというところも、あと外車のメーカーさんとかからもお問い合わせいただいたりという感じですかね。

最近の大きな依頼ですと、横浜にあるニュースパークという新聞博物館のメインコンテンツを担当させていただきました。横浜タイムトラベルという、AR技術を使った取材体験で、ゲーム感覚で横浜の街の歴史を学べるという内容です。施設案内やパンフレットでも大きく取り上げてもらっています。

 

何のビジネスをしたらいいか?

MATSUMOTO
少し話変わりまして、これから起業したい方とか、何やったらいいか分からない人、何をビジネスにしたらいいか迷っている人って結構いると思うんですけど、そういった方のアドバイスといいますか、何をやったらいいのか迷っている人はどうしたらいいか。なんかありますか。
内木社長
起業したいけど、何すればいいか迷っているということですね。

 

MATSUMOTO
起業願望はあるんですけど、何をやろうかなみたいな。迷っている人ですね。
内木社長
何をするにせよ、やっぱり自分がすごい興味を持っていないと続かないと思うんです。それが多分お金儲けというのが、ものすごい好きで、一生涯それをテーマにするという方であれば、儲かるものだったら、きっとなんでもいいと思うんですけど、なかなかそういう人って少ないんじゃないかなと思うんですよね。

自分がやっぱり何か社会に対して、価値を残したいというか、やっぱりそういったところのモチベーションのほうが、僕は重要じゃないかなと思うので、本当にそれが好きかというのと、本当にそれが多くの人の役に立つか、だから、独りよがりじゃないかというところですかね。そこがものすごい重要なのかなって思います。

 

MATSUMOTO
やっぱりお金儲けに走っちゃうと、最初は頑張っても、やっぱりおっしゃるように好きじゃないと続かない。
内木社長
続かないと思いますね。お金だけを考えたら、多分、起業して、一旦お金だけになったので、デザインのほうだったので、普通のデザイン事務所になっていた可能性もあるんじゃないかなと思いますね。でもきっと、それはほんとに普通にデザイン事務所になって、仕事があって、多分そのうち何のためにやっているのかなって思って、辞めちゃっていたと思うんですよね。

 

MATSUMOTO
じゃあ、やるんであれば、やっぱりモチベーションが続く、好きなことがいいんじゃないかなと。
内木社長
うちはすごい分かりやすいんですけどね。自分たちがイベントとして、スタッフとして、外に出ていくこともあるので、それで自分たちが企画して、作ったものというのを、子どもたち、親御さんたちに体験してもらって、笑ってもらえるのかというのが、すごい分かりやすい反応なので、やっぱりそこですごい笑顔になって、親子ですごい楽しそうに話をして、ありがとうという言葉を言ってもらえてというのが、ものすごい分かりやすい反応として、報酬ですよね。っていうのがあるので、やりがいはありますね。

 

MATSUMOTO
すごいイメージできます。今の。
内木社長
なかなかそういう仕事ばかりじゃないかなと思うんですが、でもきっと、誰かしらの役に立っているものが、お金をもらえるものだと思っているので、最終的に誰かの、どう役に立っているかというのが、すごい重要なんじゃないかなと思いますけど。

 

MATSUMOTO
それだとやっぱり、毎日の満足感とか、充実感も変わってくるような感じですかね。
内木社長
多分それがないと、何のためにやっているのかなというのが大きくなっちゃいますよね。

 

最初の資金はどれくらい用意したほうがいい?

MATSUMOTO
でも何をやるかによると思うんですけど、初めの最初の資金はどれくらい用意したほうがいいかとか、なんかアドバイスとかありますか。最初、苦労したから、こんぐらいは用意したほうがいいんじゃないのとか。
内木社長
意外と、お金なくても、なんとかなるなというのは。

 

MATSUMOTO
なんとかなる。
内木社長
なんとかなっていましたね。三人で始めて、ほんとにマンションの1室で、ほぼ泊まり込みで、給料ほぼなくて、みんなで毎回近くのスーパーに行って、自炊してみたいな感じでやっていたりしたんですけど、なんとか楽しく生きていたなみたいなのはありましたね。

 

MATSUMOTO
それは食い潰していたんですか。
内木社長
でも、資本金というのは、そんなに使っていなくて、基本的に自分たちの貯金を、やっぱり減ってはいきますけど、というのでやっていましたね。でも意外とお金って使わないですよねというのが、なんか月に一番初め、給料、月に10万だったんですけど、手取りでいったら、8万ないくらいなんですけど、しかも、前職の税金とかくるので、多分5万も使えないんですけど、でもなんとかなっていましたね。

 

MATSUMOTO
そうですよね。なんとかはなりますよね。
内木社長
なんとかはなりましたね。それもきっと、これがやりたいというのがあったから、なんとかなっていたと思うんですけどね。だから、仕事もイベントの依頼とかもあったんですけど、多分やっても全然儲けにならないとかというものも受けていたんですね。

でもやっぱり、それは続けていかなくちゃいけないものということでやっていたので、それはほんとやっていて良かったなと思っています。デザインの仕事でお金を儲けて、キッズイベントに投資をするということを、地道に地道に続けていたので、なので、iPadが出たときに、アプリの開発っていうのも、自分たちだけではできなかったので、そこはそうですね、うちの中ではその当時、ものすごいお金を使って、投資をした部分ですね。システム開発という。

 

MATSUMOTO
それは外注ですか。
内木社長
外注ですね。

 

MATSUMOTO
外注は、すんなり決まりました?。頼んでやってもらわないと分からないということがあるじゃないですか。
内木社長
分からないですね。そこの確か、人からの紹介だったんですよ。なので、そんなに心配はしていなかったですね。

 

MATSUMOTO
できたものも満足いくもので。
内木社長
そうですね。

 

MATSUMOTO
スムーズにいったような感じだったんですね。
内木社長
思い返してみると、人との繋がりというのが、ものすごい重要ですね。あとは、運ですかね。

 

MATSUMOTO
運。
内木社長
頼んだ人が悪い人だった終わっちゃうじゃないですか、とかというのが、人にはすごい恵まれているんですよ。

なので、すごいいいものを作ってもらったりもしましたし、かなりいい条件で、お仕事いただいたりとかというので、半分くらい開発をしながら、その仕事をこなしたりというのができたりとか、なので、自社の仕事としてもらっているんですけど、半分くらいは自社の投資だなという形で仕事ができたりとかというのが結構あったので、そういうのでなんとかやってこれましたね。

 

今後の事業展開を教えて下さい。

MATSUMOTO
今後の、事業展開をちょっと教えていただければなと思うんですけども。
内木社長
子ども向けのイベント、子ども向けワークショップというところで、今はほぼこれで100%事業としては回っている状態に、やっとなってきたので、次はですね、やっぱりそこから、自分たちがいいと思えるものというのを作りだせる環境を作るというのが目標になっています。

というのも、イベントパッケージというのが、例えば、それだけで会社が成り立ちますという状態になったら、そこからの儲けの部分というのは、自分たちで開発に使えるので、やっぱりそれをこれが作りたいと思って、すぐに作れる環境というのを作れるかどうか、それを試したりとかですね、というのができる環境というの、どう作るかというのが、今の課題になっています。

もうちょっとなんですけどねという、もうちょっとが長いんですけど、やっと子ども向けのイベントだけで食べていけるようになったので、もうひと頑張りして、もう少し子どもの想像力というのをテーマにした、もっといいコンテンツを生み出して、世の中に広げていければなと思っています。

 

最後に起業を考えている方々へのメッセージがあればお願いします。

内木社長
多分行うことは、ほんとなんでもいいと思うんですが、なんか、1年間給料がなくても続けていられるかというのを、少なくとも、1年じゃ少ないですねきっと、3年ぐらいは続けていけるかどうかというのを考えてから行ったほうがいいんじゃないかなと思いますね。

そこを覚悟を決めて行えば、3年あればきっとどうにかなると思うんですよね。本気でそれをやり続ければ。

 

MATSUMOTO
本気が重要ですね。
内木社長
そしたら、きっとそれを応援してくれる人が出てくると思うので。

あと、僕も始めた直後に、誰かと会う度に毎回言っていたんですけど、デザインの仕事で依頼を受けても、でも、うちはこういうことを今後メインにしていきたいんですよというので、子ども向けのイベントとか、何かないですかねというのを、会う人、会う人に言っていたので。

そしたらなんか徐々に増えてきましたし、そういう方から紹介してもらうというのも多くなってきたので、やっぱり夢、口にするというのはすごい大切だなと思いますね。

 

MATSUMOTO
口にするのが重要と。
内木社長
口にするの、ほんと重要ですね。言う度に自分も再確認になりますね。

その、聞いた人も、なんか結構他の人紹介してくれたりとかっていうのも、やっぱりデザインの仕事をちゃんとしてくれたから紹介してくれるみたいな感じだったりするので、どんな仕事、食べるためというのでやっていても、きっと、そういうところからも繋がってくるんだなというところで、そこの繋がりは、すごいそういう部分で増えましたね。

 

MATSUMOTO
ご縁が大事だということですか。
内木社長
大切ですね。そういう意味では運も大切だなというのは、つくづく思いますけどね。
MATSUMOTO
運も大切なんですね。ありがとうございました。

 

MATSUMOTO
本日のゲストは、株式会社ピコトン 代表取締役社長 内木広宣さんでした。ありがとうございました。
内木社長
ありがとうございます。

【IDEAストーリー】第3回:子供向けのイベントやアプリコンテンツを企画・制作/前編

 

 

 起業におすすめな本/社長の「1冊」

%e3%83%80%e3%82%a6%e3%83%b3%e3%83%ad%e3%83%bc%e3%83%89

はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術

自分で何でもやっちゃいけないんだな。自分は何の役割。働き方が変わる。働く時間も徐々に短くなっていった。仕組作りがいかに重要かがわかる。気合じゃどうにもならん。人にお願いする任せる部分が、思った以上に任せる部分を多くしないとうまくいかない。

 

 

株式会社ピコトン  代表取締役社長 内木広宣

東京工芸大学学部でコミュニケーションデザインを学び、子どもの持つ自由な発想に着目。子供に特化したワークショップイベント、キッズアプリなどの企画開発を手がける。

子供たちの「想像力」をテーマに、子供向けのイベントやアプリ、会社見学などのコンテンツを企画・制作。子供向けコンテンツ開発の土台となった「オバケーション」を学生時代に研究室で開発。文部科学省主催の「第10回インターネット活用教育実践コンクール」で内閣総理大臣賞を受賞している。後に「シャッフルぬりえipad」イベントは、第5回キッズデザイン賞を受賞する。