From:松本泰二
「起業したいけどアイデアが見つからない!」と焦りの声を最近良く聞くようになりました。起業をしたい人が増えている証拠でもありますが、その分起業アイデアの段階でつまづき、起業への第一歩を踏み出せない人も多くなってきているのです。
こうした悩みの声を聞いていると、ある一つの傾向にあることがわかりました。それはなんとかオリジナルの起業アイデアを生み出そうとして、周りのビジネスと自分のこれからやろうとしているビジネスを比較し過ぎているというものです。
そこで今回はなぜこのような現状に陥ってしまうのか、そしてその状況を打開するためにはどうしたら良いのか話を進めていきましょう。起業アイデアがなかなか見つからなくても困っている、成功を掴めるような起業アイデアとは何か、と悩んでいる人はこの記事を読むことをおすすめしますよ。
①なぜ比べ過ぎてしまうのか
起業アイデアとは起業を始める上で指針とも言えるものと、多くの人が考えているところですよね。この起業アイデアをいかに練ることができるかで、今後の事業の行く末が変わると思っている人も少なくないでしょう。だからこそこれまでにない起業アイデアや周囲をあっと驚かせるような起業アイデアでなければ、既存の起業アイデアにのまれてしまい、成功することが難しいと考えているところだと思います。
確かに他社と起業アイデアがかぶってしまえば顧客側から見てもその違いがわからず、結局既存の信頼性の高いほうに流れていく可能性が高いです。そうなれば始めたばかりのあなたの事業はなかなか軌道に乗らず、維持することも難しくなってしまいますよね。ですので独自の起業アイデアを求めるその思いはごく自然なものでしょう。
ただそれがなかなか見つけることができず、起業アイデア探しに奔走し、見つけては他社と比べて諦める…そういったことを繰り返している人が起業を目指している人の中でもかなり多く見受けられます。
こうした人たちに共通するのが、やはり失敗への大きな不安です。「多額の借金を抱えたらどうしよう」「路頭に迷ったらどうしよう」という不安が、起業アイデアに対する重圧へなっているのです。出来る限り独自のものを、なるべくなら利益の得やすいものをという要求に起業アイデアでなんとか応えようとするあまり、他社の起業アイデアが非常に気になってしまい、それと自分の起業アイデアを比べ過ぎてしまうのです。
こうした比較し過ぎの結果「ここが自分のビジネスには足りない」「結局あのビジネスと変わらない」と自分の起業アイデアに不満足を感じ、せっかく積み上げてきた起業アイデアを白紙にし、また一からスタートするということになっているのです。
②起業アイデアは真似するところから始まる
さて、ここまで読んでみてあなたはどう思いましたか?自分もそのような傾向になっている、と思ったでしょうか。もし思ったのであれば、これから言うことは少し厳しいことかもしれません。ですがこれを割り切ることで、新しい視野が広がると思ってください。
そもそもこれから起業をしようとしている人のアイデアと、すでに事業展開である程度軌道に乗っていて顧客もついてきている人のアイデアにはとてつもない差があります。もちろん、それは優れている優れていないではありません。
例えばある人は主役でバリバリと活躍しているけれど、もう一人はまだ舞台にすら立っていない人だったとしましょう。その舞台に立っていない人が、その主役とは違うことをしてなんとか舞台に上がりたいと考えていたとします。そのとき、どうすればその人は舞台に上がることができると思いますか?
まずは舞台に上がるために、その主役がなぜ活躍しているのか、技術や表現力を真似するところから始まるでしょう。なぜならその主役がやっていることこそ舞台に立つために必要なことであり、自己流でただひたすら練習に励むよりも効率が良く、近道だからです。
起業でも同じです。起業アイデアを出す段階で他社と比べ過ぎてしまう人は、今まさにステージに立とうと頑張っている人です。でも主役の人が活躍していて、自分ももっとオリジナルなことをしなくてはと考えています。その考えが強すぎるあまり、結果としてステージに上がるための最短ルート、すなわち起業の最短ルートを自ら手放している状態なのです。
世の中にはたくさんのビジネスがあります。それらは違うものばかりではありません。似ているものも当然あるのです。それは決して憂うことではないのです。むしろ素晴らしいお手本がたくさんあると喜びましょう。
どんなことでもそうです。スポーツでも勉強でもできる人やすでにできている人から学ぶことで早く上達するように、起業アイデアもすでに起業している人から学び、真似をすることがまずは重要なのです。
③成功のエッセンスを探す
「そんなこと言っても、真似しただけではお客さんは来ないのではないか」と思うかもしれません。もちろん、ただ全部を真似するだけではありません。しかしあなたが今比べているビジネスには、成功を掴むだけの秘訣が眠っているのです。その秘訣を探し当て、これから自分の起業アイデアに反映させていけば良いのです。
例えば、そのビジネスモデルがとても地域密着型で地元の人に寄り添ったアフターフォローしているけれど、自分の起業アイデアでもそれが組み込めないだろうか、といったように考えるのです。あるいはSNSを利用した広告から顧客や取引先とのコミュニケーションの輪を広げているから、こちらの起業アイデアでもそうして顧客獲得をしてみよう、なども思いつくことができるでしょう。
すでにそうしたビジネスの展開方法は世の中に出ている、すなわち実績も出ていることから何が良い方法なのか、何が今世の中に受け要られやすいのかがわかるはずです。そうした成功の秘訣を学びながら、自分の起業アイデアと重ね合わせていくことで、良い起業アイデアにぐっと近づくと言えるでしょう。
また、そう考えると既存のビジネスモデルを無視した我流の起業アイデアは、失敗を招きやすい起業アイデアということも言えます。もちろんそれがヒットする可能性も秘めていますが、顧客のニーズを計ることは難しいからです。
着実に自分が練った起業アイデアで軌道に乗せていくのであれば、やはりもともとの起業アイデアを参考にするのが早い道であるのは間違いありません。さまざまなビジネスモデルを見て、いろいろな視野からビジネスの展開方法を参考にしながら、起業アイデアを練っていってくださいね。
④ある程度のところで発車しよう
最後に起業アイデアそのものについて話をしたいと思います。これまで起業アイデアというのは、これから起業をする人にとって大きな柱になっていると伝えてきました。確かに起業アイデアは、起業にとって重要な要素です。
しかしここで注意をしてください。起業アイデアというのは、あくまで起業の一要素です。決してそれがなければ起業ができないわけではありません。起業家の中には、とにかく起業から先に初めてあとからアイデアをどんどん付け足していった、という起業家もいるほどです。
起業アイデアは何が正解なのか、その答えはないものです。既存のビジネスモデルを参考にしながら考えるのも、成功を掴みやすいかそうでないかの基準であって正解ではありません。これまで積み重ねられてきた歴史の中で、既存のビジネスモデルの派生として生まれた起業アイデアが圧倒的に成功を掴んでいるのは間違いないのですが、もしかしたら今後本当に既存のビジネスモデルとは一線を画すものが現れ、そしてヒットを出す可能性は0ではないのです。
またより良い起業アイデアを、と既存のビジネスモデルを追い求め続けると、やはり一番はじめの比較し過ぎの悪循環に陥ることにもなります。ですので、ここはある程度見切りをつけて発車するようにしてください。
なぜなら起業というのは何度も挑戦して失敗を見つける、そうした経験が必要不可欠だからです。一人ひとり、起業に対する思いは異なりますし、得意な起業アイデアも違います。そうなれば当然、失敗の要因も人によってそれぞれとなるのです。それらは起業しないことには得ることができない貴重な体験です。そしてその貴重な体験を経て、少しずつ成功に近づいていくものなのです。
だからこそ挑戦する数を増やしていく必要があります。起業アイデアの段階で見つからないと悩んでいる人は、スタートの合図はもう出ているのにスタートラインの手前でぐるぐるとその場を回っている、そのような状態です。せっかくスタートの合図は出ているのに、それは非常にもったいないことです。ぜひ「ひとまずはこれで行こう!」という決意をして、既存のビジネスモデルと同じステージに立つことを胸に、一歩を踏み出してみてください。
⑤何度も挑戦するために
もちろん、何度も挑戦するためにはなるべくコストがかからないものを選択する必要はあります。多額のお金を毎回投じていたら到底身が持ちません。今は資金が少なくとも起業をスタートさせることは可能ですし、むしろ多くの起業家がそれを推奨しています。
今はパソコン一台で多くの世界に触れることができる便利な時代になっています。インターネットを活用したビジネスはコストもかからず、すぐにスタートさせることができますので一つの手と言えるでしょう。ネットショップやクラウドソーシングサービスなど、実際にインターネットを通じて販売や仕事の受注をすることが容易になってきています。
またSNSなどを利用して自分のビジネスを発信することも簡単になってきているので、広告費をかけることなく顧客を獲得することもできるようになってきています。こうした手段を通じてコミュニケーションを広げ、起業アイデアをどんどん出していくのが、事業継続にはとても必要になってくるのです。
一方でインターネットを使った起業というのは、もう一つ利点があります。それは既存のビジネスも、こうしたインターネットの普及による新たなシステムに対しては、比較的歴史が浅いということです。つまりどんな大手企業でもことインターネットに関しては、これから起業する人との差がそれほど空いていないと言えるのです。
そういった意味でも、こうしたインターネットに焦点を当てることは、成功の可能性に満ち溢れた起業アイデアを見つけるためにもぜひおすすめしたい一つです。参考にしてみてくださいね。以上、起業アイデアを見つけるためには比較し過ぎず、ある程度のところで発車することが大切、というお話でした。