経営の仕組作り。「経営を組み立て」ていくにはどうしたらよいのか?

起業

From:松本泰二

さて、今回はみなさんが経営をしていく上でどのように計画し、どのように進めていけばよいのかということについてお話していこうと思います。タイトルにもある通り、「経営を組み立て」ていくにはどうしたらよいのか、ということですね。

これは方法論ですが、まず経営を組み立てようと思ったら今から述べる4つのことについて是非考えていただきたいと思います。

当然、より詳しくより細かく複雑に考えようと思えばどこまでもそうできてしまうものですが、まずみなさんが経営を組み立てようと思った際にはまず以下の4つについて考えていただきたいのです。

 

1:「誰が」・・・自分の会社について。会社の目的、理念、強みなど。焦点が絞られるほどよい。

2:「誰に」・・・客層について。自分の会社を誰に売り込むのか。誰に商品を提供するのか。誰に求められるものにするのか。

3:「何を」・・・商品について。何を武器にして自分の会社を売り出すのか。何を会社のメインに据え置くのか。

4:「どうやって」・・・商品を客に対してどう売り込むのか。どのような形で商品を提供するのか。

以上の4つ、会社そのものの組み立て、客層の組み立て、商品の組み立て、そして営業の組み立てというこの4つがしっかりと計画し、組み立てられていることがその後ビジネスを運営していく上で無駄な労力を費やすことや失敗をしないためにとても大切なことです。

ある程度経営形態が完成した状態で物事が進められる、というわけなのです。それではこの組み立てを今から1つずつやっていきましょう。

 

まず、「誰が」ということについて、会社全体のことからお話しましょう。

あなたがやろうとしているビジネスのあり方を決めていくのに際して、まずはビジネスの定義とは何なのかという点から始めていこうと思います。そして、それに付随して大切なのはビジネスと同時に経営者のあり方です。このビジネスそのものと経営者というものの役割について、今からお伝えしていくわけです。では最初に、

 

ビジネスの定義とは何なのか?

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当然今からお話しするのは、様々な経験を積んできた私の考えですから、他の方とは少し違う考えかもしれません。ビジネスの定義というもの自体、様々な考えがあると思います。例えばあなたはどう答えるでしょうか。

他の企業家や経営者に訊いても、きっとそれぞれが全く違うことを答えるかと思います。そしてその全てが、その人の理念と経験に基づいているものでしょうから決して間違いであるとは思いません。

 

そんな中でそれでも私の意見として言わせていただくのであれば、ビジネスとは「関わる全ての人を幸せにする仕組み」であるとお答えしたいと思います。

私やみなさんがビジネスをする際には、自分でも想像がつかないくらいに多くの人が関わってきます。ビジネスとは、その関わってくる人全員が幸せになっていくような仕組みである必要があるのです。そこには、経営者である私やあなたが、その人たちに提供する何らかの形の価値が存在します。

 

それが目に見えるものであれ見えないものであれ、そういった価値を提供し受け取るという過程の中でお客さんと呼ばれる人たちに満足感や幸福感を与えることができる。

 

また、お客さんと異なってただ価値を受容するだけではない人たち、例えば従業員だったり取引先であったりそういう人たちに対しても、自分が何かしらの価値を提供することによって仕事に対しての満足感や達成感や、仕事そのものに対する喜びといったものを感じてもらえるのです。

つまり、ビジネスとはそれに関わった全ての人たちが幸せになるものであり、そうでなければちゃんとしたビジネスとは呼べないと私は思っています。それでは次に、

 

経営者である私やあなたの役割とは何なのか?

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という点についてお伝えしようと思います。私やみなさんの役割とは、当然ビジネスの組み立てを行うことです。組み立てを考え、そして実際に組み上げることが我々に課された使命です。

その時により大切なのは、そのビジネスの組み立てを仕組みとしてきちんと残していくことです。仕組みとしてきちんと残されている、仕組みが確立されていること。

 

なかなかそうであるかどうかということは自分の目では判断しづらいところがありますから、それを客観的に判断するためにある例を用いたいと思います。それは、自分がその会社を買収すると考えることです。

自分が作った会社や会社設計を、客観的に自分が買収したいと思うかどうかという話です。そう考えると、自分が会社を買収するとなった際にその会社がどういった点でしっかりしているかを見るのかという話になります。それができているのかできていないのかで、自分の会社が確立された仕組みを持っているのかが意外と簡単に判断できてしまいます。

 

具体的な例を挙げましょう。

ここにとても利益を上げているクリニックがあります。

しかし、クリニックを買収するのは結構大変なことです。今の時代、医療もビジネスになる時代ですから、医療を実際に行使する側の人間と経営をまわしていく側の人間は全く別物ということはよくあります。

医療を行使する側は医療のプロであり、経営をまわしていく側は経営のプロというわけですから、ビジネスとしては成立します。

 

しかし、このビジネスの落とし穴は医療のプロがいなければビジネスとして成立しないという点なのです。これをいわゆる「属人的」なビジネスと呼びますが、そういった属人的なビジネスである程にビジネスそのものにはあまり価値、というか有用性はありません。

 

医療とはマニュアルがあって、誰でもできるようなこと、ではありませんから、特殊な専門性に特化すればするほど属人さは増していきます。そのようなビジネスが悪いわけではありません。しかし、事業の継続性を考えた時には属人的なビジネスというのはあまり良いとは言えません。人間という存在は不安定なものです。

考えが変わることもあればやる気が落ちることもありますし、技術が衰えていくこともありうるものです。もしあなたがビジネスに対してそういった永続性、や継続的なビジョンを求めるならば、いかに属人的なビジネス形態を避け、仕組み化されたビジネスを構築するのかを考えていくことがとても大事です。

 

多くの起業家や経営者がまずビジネスを立ち上げた時に陥りがちなのが、この「属人的」なビジネス形態になってしまうという点です。実は起業したての会社というのはむしろ属人的なものです。少人数で企業を立ち上げ、その中で全員のパワーで会社を回していく。

起業したての会社には、そうでない会社と決定的に違う「パワー」があります。それは起業したてであることのメリットであり、利点です。しかし、最初の内はいいのですが起業してしばらく経った頃に、きちんと仕組化された体系を作っていくことは必須です。誰かに何かが起こってしまった時。仕事が増えて全員の手が埋まってしまった時。予想外のことが起きた時。人為的なミスが起きた時。

 

全てにおいて、属人的であればあるほど会社の損失は大きくなります。属人的であればあるほど対処が遅れ、その対応に時間がかかっていくのです。経営者を目指す方に多いのは、全てを自分だけで把握しようとするタイプの方です。

しかし、最も属人的と言えるのがそういった経営者だけが全てを知っていて、部下はちゃんと会社を把握していないというパターンです。

 

そういう会社はもし経営者に何かあった場合に対処が不可能になります。当然そういった会社は長続きしません。仕組みを作るということは経営者にとっては労力の掛かる大変なことであることは間違いないことです。しかし、その先のことを見据えれば、結果としては仕組みを作ることは経営者自身が楽になるために必要なことなのです。

 

継続性のある、安定した会社を作っていくためには「仕組みづくり」が大切なことであり、我々経営者はその仕組みづくりを担う重要な役割を持っているということなのです。

 

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