起業家・経営者のタイプ別で見る強みと特徴。自分のタイプは?

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From:松本泰二

さて、今回お話していくのは社長…つまり経営者である私や、今後経営者になっていくみなさんがどういった特徴を持っているものなのか自分がどういったタイプに属しているのかということについてです。

 

何故今回経営者の特徴についてお話ししていくのかといえば、まずあなたが会社を立ち上げた際に基本となるもの、動力源となるエネルギーみたいなものですが、これは経営者自身であることが多いのです。経営者の考え方、理念、性格…そういったものが会社の最初のエネルギーとなって進んでいきます。

そのため、まずは自分自身で経営者たる自分のことをきちんと知っておくことがとても大切なことなのです。

 

当然、自分が何たるかを知らなければ自分の強みが分かりません。それは経営者にとって致命的なことです。自分の最大の強みを自分で理解し、それを武器にして経営に生かしていく。成功する経営者とは誰よりも自分のことを理解しているものなのです。

それに加えて、自分がどういった共同体を組むのか、そしてその中でどういう立ち位置にいるべきなのか。そういったことも、成功する経営者にとって大切な理解です。では、

 

自分はどういったタイプなのか

ということを、客観的に第三者的な目線で冷静に見ていきましょう。その時に最初に考えていくべきなのが「経営の3つの力」と呼ばれる3つの力の内のどれを自分はもっとも得意としているのかということです。

その3点というのは、①開発力②営業力③管理力の3つです。では1つずつ具体的に見ていきましょう。

①開発力型経営者

これは純粋に商品の質、いかにいいものを作ったかで勝負するタイプの経営者です。どちらかというと技術者に近いものがあるかもしれません。価値のあるものを生み出し、その商品に対して相応の価値を相手に求めるのがこのタイプです。多く、古くからの町工場の社長さんなんかはこのタイプが多いと言われます。

自分の商品に対して妥協せず、絶対の自信を持ち、そして絶対的な価値を持っているようなタイプと言えます。商品の品質は抜きんでていますから、他の人からの信頼も得やすいでしょう。

しかし、純粋に開発力だけに頼っていた場合には当然売る力がないために商品の買い手を見つけられなくなってしまうことや商品の開発・生産コストを回収できるような価格設定を計画・実行するだけの管理能力が無ければいい製品を作っていたとしても当然会社は続いていきません。

開発力型経営者の傾向は自分が技術者に近いがゆえに、ビジネスとして会社を捉えきれない場合があるということです。そうした場合に会社は倒産してしまいますから、みなさんの中で「自分はこのタイプかもしれない」と思われた方は営業や管理面に対して、少し細やかな神経の使い方をしてみることが大事になってきます。

②営業力型経営者

①の開発力型経営者とは違い、多少他社と製品が似通っていたりあまり製品そのものにこれといった特徴的な価値がなかったとしても営業の方法や売り込み方、価格の駆け引きの仕方に秀でているが故に利益を上げていけるのがこのタイプの経営者です。

他者や世の中の情勢を観察することに優れており、その場に合った対応ができるために利益の増減はあってもなかなか潰れない会社になる可能性が高いと言えます。押すべきタイミングと引き際を見極めることが出来る経営者であればなおさらその可能性は高まります。

 

しかし、どんなに営業や対人の取り引きが上手くても、その製品自体の魅力が全く無ければそのうち買い手は減っていきます。そんな中でも売り込まなければならない状況に追い込まれ、気付かない内に詐欺のような宣伝方法をとってしまうことになりかねないのがこのタイプの経営者でありその会社です。

営業力型の経営者は利益が見えなくなった瞬間に怖さを感じるのも特徴の一つです。利益が見えなくなり始めると何とか利益を出そうと無理なことをしてしまう傾向にあります。

本来ならばその利益の減少は一時的なものであるはずだという管理能力がなかなか手に出来ないのです。そのため、みなさんの中で「自分はこのタイプかもしれない」と思われた方は製品開発に力を入れることや、管理に対して広い視野をもてるような環境を作ることが大事になってきます。

③管理力型経営者

このタイプの経営者はとても堅実であると言えます。将来の会社のビジョンや資産運用、利益の管理や会社の転換時に最もリスクの少ないかつ利益の大きい判断をデータや状況を基にしてしっかりとできるタイプの経営者です。

会社の舵取り役としては申し分のない能力を持っていると言えるでしょう。

堅実かつ、いけると判断した時には時には大胆さも見せることの出来るタイプなので、地道ながらも会社を大きくし、気付けばその分野のトップに立っていたということもありえます。安定した利益を上げることの出来る、持続性のある会社経営が見込めます。

 

しかし、管理力型という名前の通り、「管理する物」が出来上がってからでなければこのタイプの経営者は本領を発揮できません。例えば製品面で言えば、まず利益を上げられるような魅力的な商品が無ければ利益管理をするに至りませんし、製品が思うように売れない時に在庫ばかりが残ってしまってもそれを売るだけの営業力が無ければ製品は会社の倉庫に残るだけ。

売れる製品と残った製品を比較して製品の増産と減産を調製するような、そういった管理能力があっても宝の持ち腐れです。そのため、あなたの中で「自分はこのタイプかもしれない」と思われた方は売れる製品を用意し、それを売り込む方法についてしっかりと検討してから経営を進めていくことが大事になってきます。

 

さて、ここまで3つのタイプについてお話してきましたが、みなさんは一体自分自身をどのタイプに分類されたでしょうか。勿論、1人が必ずしも1つのタイプに収まる訳ではありません。

2つ、または3つのタイプを兼ね備えている方もいらっしゃるでしょう。3つのタイプ全てを兼ね備えている方がいらっしゃるのであれば、その方は是非自分に自信をもって起業・経営をしていくことをお勧めします。

 

逆に、あるタイプに全く当てはまってしまって、これからどうしようかと不安になられた方もいらっしゃると思います。しかし、不安にはなっても自分に自信を無くすことはありません。全てを完璧にこなす人などいないのです。人間ですから当然のことです。

その時に我々は何をすべきかというと、自分に足りないものを持っている人とチームを組めばいいのです。起業・経営というのはなにも1人でやるものであると決まっているわけではありません。

 

今世界で大企業と呼ばれている会社の中にも、始まりは複数人の集まりで起業したという会社は少なくありません。自分の得意分野を生かせるような人と会社を作ることはその後の会社のためにもあなた自身のためにもとても大事なことです。ですから、なおさら自分自身が自分のタイプを知ることが重要であり大切なのです。次に、ここまでのタイプの分け方とは全く別の観点からの、

 

起業家、経営者の特徴・傾向

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これもまた3つのタイプに分けられるもので、1つ目がIQ型、2つ目がEQ型、3つ目がRQ型と呼ばれるものになります。

 

IQ型は、ビジネスのセンスが良いタイプ

ビジネスに対する考え方や、センスや、商売における嗅覚が備わっているタイプです。感覚的なものが鋭いため、あまり人に頼ることをしなくても成功していくことができるのがこのタイプの経営者です。

EQ型は、人間関係の構築が得意なタイプ

対人関係をこなすのが上手く、ビジネスにおける人とのつながりや交流を苦無く作り上げられるタイプです。困ったときや何かが起きたときに周りを頼ることができるため、自分も周りを支えながら周りから支えられて成功していくことができるのがこのタイプの経営者です。

RQ型は自分や会社が今持っている資源を配分したり生かしていくのが上手なタイプ

得た利益を使ってどうしていこうかということや、今ある資源をどうすれば有効に利用できるのかということに秀でているタイプです。これは先程の管理力型経営者と少し似ている部分があります。会社が大きくなればなるほど、このタイプの経営者は能力を発揮できるため、大企業の経営者なんかに多いタイプとも言えます。

 

3つの特徴を見ていけば分かる通り、実はRQ型はみなさんのような「さて、今から起業しよう!」といった方にはあまり合ったタイプとは言えません。RQ型は自分の資産が多ければ多い程生かせる能力ですから、資源の少ない起業時にはうまくその力を発揮できないことが多いのです。できれば望ましい、とされるのはIQ型やEQ型であることですね。

 

さて次に、また異なるタイプ分けをしていきたいと思います。それは、

と1から10に増やすのが得意なタイプ、そして増やしてできたものをずっと継続させていくのが得意なタイプです。

当然、経営者を目指すみなさんは会社を発展させていく必要があるので、増やしてできたものをずっと継続させていく、いわゆる利益維持の「官僚型」と呼ばれるようなタイプでは経営に少し支障が出てしまいます。会社を伸ばしていく方向性を考えていくならば、やはり目指すべきは「01(ゼロイチ)タイプ」か「110(イチジュウ)タイプ」でしょう。

 

この2つのタイプですが、具体的な例でいえばチェーン形態のお店を想像すると話が早いです。

まず最初の1号店を出し、そこで1号店の利益を上げていく、いわゆる「繁盛店」に1号店をしていくことが得意なタイプが「01タイプ」です。

創業者、というともっとしっくりくるかと思います。しかし、このタイプの経営者が1号店からチェーン展開をして、100店舗にしていくのが得意かというと実はそうではないこともあります。1号店の利益はそのままに、事業を拡大していくのが得意なタイプが「110タイプ」です。

このタイプの違いはとても重要な点で、この2つが同時に出来るタイプの経営者が経営する会社は軒並み大きくなっていきます。ただし、2つのタイプを兼ね備えている人がそうそういるわけではありません。

 

その点、アメリカを例に挙げると、資本主義経済の中心とも呼べるアメリカはやはり企業経営においては日本の1枚も2枚も上手です。アメリカではこの「01タイプ」と「110タイプ」の分業が普通に行われているのです。更に110タイプが1人の人とは限らず、違う大きな会社からヘッドハンティングされた人が110タイプとして会社を拡大し、頭打ちが来たところで再び戻ったりまた新しい人に変わったり、と常に会社にとっての新しい風を生み出すことを厭わないというのがアメリカの大企業特にIT系と呼ばれる会社の大きな特徴でしょう。

この「01→110」のバトンの受け渡しが日本はあまり上手ではない、とは経営について語る多くの人が言っていることです。

 

これらのことを踏まえて、みなさんに考がえていただきたいことは「自分の得意分野、好きなことは何か」ということです。タイプ別にしていったことで少しは自分の中でも何が自分が得意で好きなのか、ということが分かってきたのではないかと思います。自分の得意分野や好きなこととは、すなわち自分の能力であるとも私は思っています。

ですから、勿論好きなことだけで仕事はできない、というのは最もな話ではあるのですが是非自分の能力を生かして仕事をするためにも、自分の得意分野や好きなことがいかに仕事に生かしていけるのか、そこに市場性をどう見出していくことができるのかを考えていただきたいのです。

 

これまでで様々な経営者のタイプを見てきましたが、ここから何を最もみなさんにお伝えしたいのかというと、自分にできないことは人に頼れる経営者になって欲しい、ということです。誰にだって得意不得意はあります。

商品開発力の高い経営者でも営業が苦手であったり、営業が得意でも利益資産管理が苦手であったり、利益資産管理に秀でていてもまず売るべき商品の開発が上手くいかなかったり。それらを全て、一人の経営者が一人で背負うことはないのです。

 

むしろ、一人で背負おうとする経営者の会社は基本的にあまり上手くいきません。自分の得意なことは誰よりも率先してやり、苦手なことは自分よりもより優秀な人に頼んでやってもらう。会社にとって大事なのは「誰がやるのか」ではなく「結果どうなったか」です。会社のためにも、自分のためにも、無理をして苦手なことを結果も出ないままやり続ける意味はないのです。

 

しかし、自分が何を得意としているのかということは、意外と自分自身で正確には分かっていないものです。ですから、今回のタイプ別の話というのはみなさんに自分の得意と苦手をしっかりと自分で認識していただきたいということなのです。

 

次に、今までは経営者の特徴と強みについてお話してきましたがここからはみなさんがこれから経営していく会社の特徴と強みについて考えていきたいと思います。

自分の会社が市場でニッチを得るためには当然強みとなるものが必要です。市場に合った会社の強みというのは社会の中で会社が生きていく上で最も頼りになるものです。そのため、まずは自社の強みを見出し、そしてその強みを市場に適合させていくことが重要なのです。
では会社の強みとは、一体どういうところに出てくるのでしょうか。

 

ある会社の例を出しましょう。

それはみなさんもよくご存知の「フジフィルム」です。

これを読んでいるみなさんならおなじみかと思いますが、フジフィルムはかつてカメラのフィルムで業績を上げていた会社です。フィルムケースに入ったフィルムを、みなさんなら一度は使い、触ったことがあるでしょう。

しかし、時代の流れによってある機械が登場したことによりフィルムは今やほとんど見かけることのないものになってしまいました。
デジタルカメラの存在です。

 

デジタルカメラが台頭してくる前までは、フィルム業界というのは安定して高収益を得られる事業でした。フィルムは他のもので代替が効くような消費製品ではないため、特殊な技術となくてはならない製品、かつ消費財であるという性質も含めてとても安定した業界だったのです。

しかし、デジタルカメラの台頭によってフィルムが不要の時代になった時に、その安定性は崩壊してしまった。それにより、フィルムを作っていた様々な会社は経営が厳しくなっていったのです。「フジフィルム」を除いては。

 

フジフィルムはデジタルカメラの台頭によってフィルムの生産が激減したにも関わらず、その後業績を伸ばしていっています。その理由とは、会社の考え方にあります。現在フジフィルムは記憶媒体や医療機器、化粧品まで幅広い分野で業績を上げています。

なぜそのようなことが可能になったのかというと、フジフィルムは自分達の会社の強みを「フィルムを作ること」ではなく「フィルムを作る技術」であるとして技術の応用や発展を他分野でも生かしているのです。

フィルムという製品に焦点を当てるのではなく、そこから何を生み出せるのかを突き詰めていった結果が、今のフジフィルムの在り方であると言えます。会社の強みを考えていく際に重要なのは、そういったより幅広く奥深い考え方であり、それこそが市場に合った強みを模索していく手掛かりになるのです。

 

自分の会社を立ち上げた際には、自社の強み、というものはまずもって存在しません。最初から市場に適合した強みを持っている会社なんてないのです。強いて言うのであれば経営者個人の能力や資質が会社の強みに変換される場合もありますが、基本的には経営していく上でこのような強みを作っていきたいという思いから市場に合った強みとは生まれていきます。

 

仮に最初に会社の強みというものを挙げるのであれば、些細なことでも構いません、まずは経営者であるあなた自身の強みを3つ挙げて下さい。自分は粘り強く諦めない性質です、というのでも構いません。自分は何があってもここまでのクオリティは譲りません、というのでも構いません。

我々が提供する物は、我々の会社は、ここが強みです。ここならどこにも負けません。そういったものをはっきりとお客さんに、取引相手に、伝えられるようにしておくことが重要なのです。

 

勿論、会社のビジョンが明確である場合は自ずと「自社の強み」と言えるものも出てくるでしょう。そういった起業家、経営者の方はそれで構いません。胸を張って、自社の強みを打ち出してください。

しかし、会社のビジョンが具体的にはまだ決まらない、という起業家、経営者の方も大丈夫です。まずは自分のタイプを知り、自分の素質を知り、そこから自分の強みを明確にしていってください。まずはそこから、それが会社の強みに繋がる第一歩です。

 

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