【IDEAストーリー】第8回:100回着ても大丈夫!日本で最初で最後になる国産Tシャツメーカー/後編

モノづくり

100回着ても大丈夫!日本で最初で最後になる国産Tシャツメーカー/前編

 

エネルギーと知恵を貰うほど幸せなことはな い

久米会長
それはね、最初のころはなんとなく行っていたんですけども、50過ぎて、それなりにいろんな成功も失敗も味わってきて、幸せ、不幸せも味わいましたけども、世の中で一番幸せなことの一つは、自分よりもエネルギ―持っていて、賢い人と一緒にいて、その人のエネルギーと知恵を貰うほど幸せなことはないです。

私からしてみたら、テーマパークに行くよりも楽しい。もちろん経営して、いろいろ成功したり、本書いて、それをみんな評価してくれるのも嬉しいですけども、そういう自分が目標とするような方の側にいるということほど幸せなことないですよね。だから、それを若い人に味わってほしいと思っているわけです。

 

そして、やっぱり学生たち、今、スマホ中毒ですのでね、一歩間違えば、そういう師匠探しよりも、仲良い人とのね、レスに追われているじゃないですか。30分以内にレスしないとね、なんか仲間外れになっちゃうみたいな感じでやっているわけですよ。だから、今回わざわざ童話仕立てにして、カエルを主人公にしたのも、本来ならスマホは2020年には20億人持つとか言われていますからね。世界で。

20億人と繋がるツールであるにも関わらず、気がつくとラインの10人、20人としか話していないというのは、井の中の蛙そのものでしょう。だから、あえて、兄弟カエルを見つけた井戸の中で見つけた神様がスマホを渡して、1匹はどんどん自分のマスターを探して、世界を広げていく、自分の心の白地図をどんどん色を塗って変えていく人生を歩み、片方はYoutubeずっと見ているみたいなね、ゲームだけやっているみたいな引きこもりになる。その毒にも薬にもなる便利なツールなので、それを出しているわけなんです。

 

でも、別にスマホの使い方を説明する本ではなくて、一番言いたいのは、あくまでもツールなので、自分の人生変えるような出会いにね、ぜひ恵まれてほしいと。特に、こちらの番組見られているような、起業家目指すような人だったら、この人みたいな経営者になりたいなっていう人に、がぶり寄ってね、間近で話を聞くことをぜひオススメしますし、そして、一番根本的な質問をね、いくつか投げかけたらいいと思うんですよ。

どんな質問がいいかというとね、なんで起業したんですかとかね、何が幸せですか、これから何したいんですかという質問が多分一番いいですね。私はどんな人にもお聞きしている質問があって、「10年後あなたは何やっていますか?」って聞くんですよ。これだいたい多分みなさんが師匠だと憧れるような人は即答すると思います。ちょうど僕、先週、元国税庁長官のね、大武健一郎さんという官僚の中の官僚の人と、あるNPOの旅行で一緒で、一緒にお風呂入って、一緒に部屋泊りながら、いろいろ教えてもらったんですけどね、かっこいいんですよ。

 

普通だったら、国税庁の長官だったら、いくらでも天下りできるでしょう。天下りやめて、これからの日本のためにっていうので、ベトナムにNPO作って、ベトナムで日本語で会計を教えて、起業家を育てると、ベトナムの起業家を育てるというNPOやっているんですよ。

それは日本ファンにもなるし、日本の工業化の秘密は簿記にもありますので、工業簿記にあるので、それを教えて、10年経って、素晴らしい生徒が出ているらしいですよ。それで満足するのかと思ったら、「これから、大武さん何したいんですか?」って、僕質問したら、何をおっしゃったかっていうと、「まだ何か言えないけどね、70だけど、75までに起業するよ」って言っていました。かっこいいでしょ。

 

MATSUMOTO
ケンタッキーのおじさんですね。
久米会長
ですよね。こういう人と一緒にいたら、人生変わると思いません?

 

MATSUMOTO
そうですよね。
久米会長
一方、一歩、起業家間違うとね、20代とか、30代で上場してね、お金が手に入って、何もしなくなっちゃう人もいるわけですよ。遊んじゃう人もいるわけですけども、自分の権利を放棄してまでね、むしろ、奥地に入っていったり、海外に行ったり、誰もやらないこと起業していくなんて方にあったら、それは自分負けてられないと思いますよね。

 

10人の師匠を探せ

MATSUMOTO
エネルギーがすごい貰えますよね。
久米会長
エネルギー貰えます。こういう体験を若いうちにやっていくと、20代、30代のときにやっておくと、40、50になったら、もっと師匠がたくさん見つかります。私は10人師匠探せと言っているんですよね。人生の折り返しのところまでで、それは経営の師匠だけじゃなくて、なんでもいいんです。趣味の師匠でもいいんですよ。

 

MATSUMOTO
いろんな師匠。
久米会長
鉄っちゃんだったら、鉄道に一番詳しい人でもいいです。そういう人を探していけば、必ずエネルギーを貰えるし、そのエネルギーもただ溜めこむんじゃなくて、自分を動かしてくれるエネルギー。この人の真似をしたいって、普通に思います。真似というのは、やっていることを真似ることも、もちろん勉強になるんですけども、大切なのは、ベクトルですかね。

新しいことやっていこうとか、学ぼうという生きがい、それを学べると思うんですよ。だから、ぜひ、スマホみたいな、私もともと若い人はね、私もそうだし、学生も見てもね、やっぱり受動的な人が多いんですよ、一部の人を除けばね。すぐやれと言ってもできない人が多いから、そういうすぐやる人を見つけて、そばにいれば、自然に自分のスイッチが入るなというのが、私の経験なんですね。

 

脳の回路の仕組み

MATSUMOTO
素直に言われたことをすぐやる・・・。
久米会長
これがなかなか難しい、最初は難しいですよ。だから、そこはね、自分の回路を1回切る必要があります。残念ながらね、たった20年しか生きていないのに、やっぱりね、自分が心地良い考え方っていうのがあるんですよね。癖みたいなものが、だから、一番いいのは、それと真逆の師匠を見つけるのが一番いいんです。

 

MATSUMOTO
真逆?
久米会長
真逆。自分の考え方と違うことが考えられる人。だから、そういう人が嫌だと思う人は、ちょっと起業家には向いていないかもしれません。自分の考え方の真逆の人と付き合うことで、自分の脳の中で使っていない部分、心の中で使っていない部分、起業家としてのね、筋肉みたいなものが、例えば、腹筋しか鍛えていない人だったら、背筋も鍛えなきゃ、体幹が磨かれないでしょう。そういう感覚で、自分が嫌なことをやってくれる人に出会わなきゃいけないんですよね。

 

オリンピック、パラリンピック見てもね、ある意味、鬼コーチがついていましたでしょ。その鬼コーチは、だいたいやりたくないことさせるわけですよ。それを、ある意味、最初は我慢しながら、ついていこうと言った人がやっぱり栄冠を手に入れているわけですよね。そして、僕は学生にも言っているし、若い人にも言っているんですけど、脳の自分の脳の回路をね、仕組みを信じた方がいいよと言っているんです。3年やれば、だいたい出来るようになるんです。

3日3ヶ月、10年やれば、一人前に出来るようになっているんですよ。それまで続けられるかどうかが才能。だから、一刻も早くやった方がいいですよね。自分はこの人みたいになりたいという人にね、このトレーニングしなさいと言われたら、えーっと思いながらも、今日始めるのとね、3年経ってから始めるのと、10年経ってから始めるのと、あとで大きな差がついてしまいますからね。

 

MATSUMOTO
考える前に行動する。
久米会長
ということが大切です。そのときに、なぜ出来ないかという理由を、学生たちに聞くとね、怖いとか、失敗したらどうしようっていうのが結構返ってくるんですよ。でもね、さっき申し上げた、私が一番最初にお世話になった、イマジニアの神蔵さんによく言われたのは、「久米、死にさえしなきゃ、なんでもいいんだ」って言っていました。死んじゃったら、もともこもないけどね、それまでの失敗だったらなんでもいいと言われたんですよね。

やっぱり、多くの経営者の方と話をしていても、やっぱり失敗に弱い人が今多いんですよ。僕は幸いにして、ファミコンのゲームデザイナーでしたから、世の中が確率変数で動くというふうに考えるものです。

 

例えば、あるキャラが出てね、レベル1のときに戦ったら、何分の1で勝つみたいなことですよ。若いということはレベル1の人ですよね。力がないわけですから、当然、10回やって、1回しか勝てないかもしれない、それは当たり前、でも、それをやることでレベルが上がっていって、5回に1回勝てるようになるかもしれないということで、結局失敗の数が貯金みたいなものだというふうに頭入れ替えれば、何か始めてもね、嫌にならないでしょ。一定数、失敗したら次のステージに進めると考えればいいんです。

でも、今の多くの若い方は、成功の数で次に進めると思っちゃっているんですよね。そうすると、怖いじゃないですか。だって、私だって、今やったって、失敗の方が多いですよ、いろんなこと。でも、なんでメンタルで耐えられているかというと、失敗を貯金しておいて、一定数貯まると次のステージに進めるというふうに考えているからなんですよね。

 

そして、正直言えば、50になってね、偉そうに本書いていて、失敗するとね、袋叩きになることがありますけども、20代、30代で失敗してもね、褒められこそすれ、怒られることは、もちろん怒られますよ。でもそれはね、頑張れという意味の怒られだと思うんです。一番弱いのは、エリートと呼ばれてね、リスクを負わないで生きてきた人が、40、50になって失敗すると大変なことになるんですよね。心折れちゃったりする。

 

MATSUMOTO
失敗経験がないから。
久米会長
そうなんです。だから、私のころは例えば、子供たちはしょっちゅう転んで、体中かさぶただらけ。衛生とかも最悪だと思うんですけど、赤チンでも塗ってろみたいな感覚だったんですよね。それでもなんとか生きてきたわけですけど、やっぱり今は良くも悪くも過保護な世の中になっていますから、失敗、怪我許しませんし、あと雑菌とかね、例えば、地元の中学校とかに出張教師で行っても、僕らがいたころみたいな、ほんとの悪とかね、あんまりいなくて、みんないい子ちゃんが多いんですよね。

いい子ちゃんが多い社会というのは、あまり良くない。やっぱりすごく出来る人も、すごく悪い子もいて、それで切磋琢磨するような環境じゃないと、ほんとの意味の起業家というのは育たないんじゃないかなと思いますし、そして、例えば、自分がね、出来の悪い子でも、ほんとの師匠だったら、そういう子を可愛がるはずなんです。

 

よく、「262の原則」ってありますけどね、私もいつも考えて、すごく出来る2割の子はもちろん鍛え方次第で伸びるんですよ。でも、箸にも棒にもかからないで、いつも斜に構えた子がうまくなる、スイッチが入ると、ものすごい伸びたりするんですよ。普通の子はやっぱり自分の癖を変えられないですよね。そういうのは、やっぱりある意味、他力本願で自力で変えるの難しいですから、とりあえず、この人かっこいいなと思ったらね、言われたことやってみて、とりあえずは、3ヶ月はやってみてほしいですね。3ヶ月やれば、だいたい習慣化しますから。

 

MATSUMOTO
そういう環境に飛び込むというのも、やっぱり大事。
久米会長
すごく大切だと思います。

 

MATSUMOTO
強制的じゃないですけど。
久米会長
そうなんです。特に私のように、やっぱり心が弱いタイプの人は強制的に、そういうとこに行かないと、例えば、ベンチャーに入るとかね、証券会社に入ったのも、ある意味、証券会社って、私が就職するときには人気がない業種だったんですよ。今は違うのかもしれませんけど、すごく営業が厳しいとかね、体育会っぽいとかね。

 

MATSUMOTO
昔はそういう。
久米会長
そうですね。それよりはね、保険会社とかがね、穏やかなイメージとかあったわけですよね。ましては、私は大学時代はマルクス主義経済学をやっていましたから、そんなお金、額に汗しないで稼ぐなんてとんでもないと思っていた人だから、ゲーム嫌いがゲーム作って、株嫌いが株屋に入ったものですから、真逆の世界に行ったわけですよ。

そのおかげで、逆に師匠が見つかったわけですよね。その証券会社の過酷なところにいたから、高校卒業だけどトップセールスになった人が私の師匠になったわけでしょ。これが、財閥系のね、銀行に入っていたら、そういうことは起きていないですよね。

 

MATSUMOTO
僕も20代のころ営業やっていたんですけど、最初全然売れなくて、これはトップの人に聞くしかないなと思って。
久米会長
さすが、実践されているじゃないですか。

 

MATSUMOTO
会社員のころですよ。でも、「教えてください」と言っても、教えてくれないんですよね。
久米会長
それが、師匠なんですよね。

 

MATSUMOTO
しつこく、しつこく言って。
久米会長
素晴らしい。

 

MATSUMOTO
でも、教えてくれないから、録音しようと思って、トークでもなんでも録音しようと思って、無断で録音して、パクったりしたりとか。でも結局は、熱意を感じてくれたのか、ちょっと分からないですけど。教えてくれたりとか、そういうのはありました。
久米会長
感じたんでしょう。あと、側にいるだけで、多分ね、その営業はうまくなっているはずなんです。その人の立ち振る舞いとか、所作とかね、間合いとか、私もご一緒させて、カサさんとご一緒させていただいて、決してね、口はうまくないんですよ。どちらかというと、喋らない人なんですよね。神蔵社長もそうでした。あまり喋らないけども、相手が引き込まれるんですよね。

これはやっぱり若い私にしたらショックですよね。うまく喋る人が営業だというイメージあるじゃないですか。口下手なのにね、なんでこんなに惹かれるんだろうと、でも、こうやって夜一緒に飲み行ったりする間にね、ボソボソと教えてくれるんですよ。教えてくださいというときは、だいたい教えてくれない。

 

例えばね、一番最初にお客さんになってくれた人と、どんなに転勤しても、年賀状とか、暑中見舞い出している方だったので、800枚も、900枚も出す。でも、普通に出してもね、相手がびっくりしないから、奥さんと一緒に富士山頂に登って、全部スタンプ、富士山頂の郵便局行って出したとかね。すごいなって思うじゃないですか。そんなの営業の教科書には書いていないでしょう。

そして、地方に行ったときに神社とか行ったら、例えば、勝利神社とか、縁起のいい名前があったら、そこのお守りを自分のポケットマネーで買い占めて、お客さんの送るとかね。

だから、そういうエピソードを聞いて、その人がやっていることみると、芸人と一緒でね、心の底から、自分のお客さんを喜ばせたり、笑わせたりね、びっくりさせたりするのが好きなんだなって分かるわけですよ。こういうのは、あまり営業の本には書いていないですよね。それはやっぱり、さっきの五つの鉄則じゃないですけど、可愛いやっちゃなと言われる、側にいる間にね、ふとしたきっかけで分かったりするんですよね。

 

そうじゃない人が、そうなりたいと思っていて、でも、なかなかなれていない。じゃあ、日頃どういう意識をしていったらいいのか?

久米会長
まずはね、自分がそうではないというイメージは錯覚であると思った方がいいです。もっと自分の潜在能力を信じてほしいんですけども、どんな真逆な環境とか、自分がなれていないことを無理やりやらされても、さっき言ったみたいに、3年やれば、脳の中で自動化される回路が出来るんですよね。私は小さいころに比べて、今の若い人は可哀相だと思うのは、お稽古事を小さいころやっていない子が多いんです。

お勉強、受験勉強とかやっているんですけども、僕は小さいころは、あんまりお受験とかなくてね、書道に行くとか、柔道やる、剣道やる、バレーやる、ピアノやるみたいな、そういうのが多かったんですよ。そろばん、僕だったら、正直言って、子供からしたら退屈極まりないものです。反復ばっかでしょ。受け身ばっかり取っているとか、墨ばっかり30分すってるとか、そろばんなんか、すっと叩きつけて、ピアノやる。でも、3年やると、みんなある種、超能力が身につくわけですよ。

 

そろばんだったらね、叩かなくても暗算できるとか、何も意識しなくても、止め、払いができる、書道だったら。ピアノだったら、楽譜見たらできるぐらいはね、心が柔らかいときに14、5歳までやるとできるんですよね。その経験が体の中にあると、例えば、無理やり何かやらされたとき、僕らのころは、幸か不幸か、年上の人には従えというね、刷り込みがあったわけですよ。

正しいかどうかじゃなくて、だから、すぐやれということですよね。それをしょうがない、3年はやるものだなと思ってやっているけど、なぜ、3年続いたか?。今多くの若い人、3年以内で会社辞めちゃったりするんですけども、なんでかというと、3年すると、あの感じがくるなって、体が覚えているからだと思うんです。

 

例えば、野球やっている人だったら、ボールのとき、そっちに体走っているみたいなね。みんな体の中で覚えているから、そうするとね、共用力がつくんですよ。

もちろん若いころにやっているのに、こしたことはないですよ。でも、私も40過ぎてから始めたこともいっぱいあるんですよ。なんでもいい、例えば、ゴルフやっている経営者が嫌いだったから、全然やらなかったけど、45過ぎてから、ゴルフ場がすごい安くなってね、会員権も何もなくなってから始めたんですけども、正直言って、スポーツそのときから始めるなんか駄目でしょ。

 

MATSUMOTO
45ですか?
久米会長
45で始めたんです。実験んですよ。たまたま行っていたスポーツクラブで、そういうレッスンがあるというので、週に1回行ってね、自分の年の半分くらいの人に、ずっと教わりながらね。全然できないことやっていたら、3年経ったらできるようになるんですよね。若いころの成長度合いと違うけれども、だから、なぜ私それ続いたかというとね、普通だったら、こんなの俺に合わない、辞めるってできたわけでしょう。3年やったらきっとね、自分の中にそういう回路ができるなって信じているからなんです。

だから、なんでも諦めないでね、3年やってほしいと思うんです。学生にはね、富士登山になぞらえて、よくその話をするんですけども、僕の考えでは、やっぱりいろんな達人の師匠と出会っていると、どんな道登ってもね、最後に行きつく幸福感とか、達成感は一緒だという気がしているんです。

だから、富士で言えばね、吉田口から登ろうが、御殿場口から登ろうが、途中の辛さとか景色違うけれども、登ったら、同じ気持ちになれる、同じ景色が見られると思ってるんです。

 

でも、私の学生も含めて、今、若い人が思いがちなのは、富士山って、最初、樹海からスタートしますでしょ。青木ヶ原の樹海とか、鬱蒼としていて、ジメジメしているような居心地の悪いところ。これも3年歩いているうちに、なんかこれ自分と違うっていって、辞めちゃう人も多いんです。辞めちゃうと、また別のね、スタートからやるから、また3年ジュクジュクしているわけです。でも、頑張って3年やるとね、少なくとも樹海は抜けて、見晴らしのいい第一展望台くらいに来るわけですよね、

そうすると、これが富士山か、登っている人がいて気持ち良さそうだなと思うし、後ろ見たらね、これが樹海かと、よくここ抜けてきたなと、あそこで迷っちゃう人もいるだろうなと思いながら、ほんとのスタートに立てるわけですよ。だから、最初の3年は自分が学んでやったと、そしてもっと言うと、10年続けるということなんですよね。

なんでも、10年だと僕は思っていて、私の本の中で「やり抜く技術」という本があって、全然売れなかったんですけども、評価してくださった人の一人に吉田テニス財団って、テニススクールを親子三代でやっている素晴らしい方がいらっしゃって、その方が褒めてくださったんですよ。経験則通りだと、10年続けられた人は、だいたいうまくなっていると、数字でもあるらしいです。素晴らしく出たのがね、何回以上というのが経験則あるらしいですけど、そこにだいたいみんな達するのが10年なんですって。

 

MATSUMOTO
そういうのは、センスとか関係してきますか?
久米会長
例えば、オリンピックに出るとかね、錦織圭になるんだったら、センスかもしれませんけど、県大会に出るとか、そういうレベルだったら、誰でも。だから、いわゆる上位2割にはね、10年やればできるという経験則を親子三代でお持ちなんですよね。だから、何十年もやられているんでしょう。才能は何か、10年続けられるかどうかだって、おっしゃっていたんですよ。

 

続けられるのが才能?

久米会長
10年続けるって、なかなか大変でね。途中で嫌になることは、必ず階段上であるんですよ。でも、階段上のところでめげないで、騙し騙し続けられていれば、事業でもそうかもしれないし、ある種の専門能力かもしれませんけど、あるレベルまでいくんですよね。

 

MATSUMOTO
じゃあ、3ヶ月、6ヶ月、1年とかで。
久米会長
3ヶ月、3年、15年ですかね。

 

MATSUMOTO
そこでちょっと辞めちゃうとか。
久米会長
もったいない。

 

3年間続ければ回路が変わる、形成されるというのを信じる

MATSUMOTO
そこは3年間続ければ回路が変わる、形成されるというのを、そこを信じるという。
久米会長
信じるということです。私は完全に信じていますし、そして、これもね、不思議なやっぱり人間そういう回路があるんでしょうね。そこの分岐点のところで、ちょうど辞めたくなるようにできているんですよ、教え子見てても。ここでもうひと頑張りすればいいというときに辞める人、結構多いんですよ。

事業家でもね、よくインタビューすると、そういうお話しされますでしょう。例えば、ユーグレナさんが、いろんな社長さんが、いろんな人に売り込みやっても、ここで辞めようと思ったときに売れたみたいな話。そういう、端境期がだいたいね、あって、そこを超えると大丈夫になるんですけれども。

 

MATSUMOTO
もうちょっとだったのにみたいな。
久米会長
そうなんですよ。そしてね、そのときのもう一つ考え方のコツは、早く成功しない方がいいよって、自分に言い聞かせることですよ。例えば、私、漫画が大好きですけども、あるとき、ちばてつやさんの明日のジョーがね、漫画協会の会長さんと、墨田区のご出身ですけども、お話する機会があって、ふとね、こぼされたんです。

やなせたかし先生が羨ましいと、ちばてつや先生が、なんでだろうと思ったら、ちば先生は20代、30代、若いころに明日のジョーとか書いちゃいましたからね。ピークが先に来ちゃったんです。起業家で言えば、20代で上場みたいな感じですよね。そのあとが大変だって言うんです。やなせ先生は、もともと三越にお勤めになって、パッケージデザインとかされていて、そのあとメルヘンとか出されていたけども、アンパンマンがブレイクするのが60くらいですよ。

 

MATSUMOTO
アンパンマン、そうなんですね。
久米会長
60くらいなんですよ。そこから先が楽しいわけですよ。だから、やっぱりね、60過ぎて、50過ぎてからも楽しいんですけども、少なくとも厄年、男の厄年、女性もそのくらいだと思いますけども、40くらいまでは、むしろ成功しないでね、いろんな失敗貯金とかをしていた方がいいと。

そして、それまでに10年続く、何か1個専門スキルをね、身につけておいた方がいい。あるいは、事業の種をずっとね、水あげ続けた方がいいというふうに思った方がいいですよ。その方がトータルで言ったらね、人生全体の満足度が長くなるというふうに思えば、焦らなくて済むでしょ。

 

MATSUMOTO
20代で成功しても、30から、その先が全然長いですもんね。
久米会長
全然長いですよ。そして、私もそうでしたし、教え子のみなさんもそうなんですけども、20くらいが人生のピークでね、それからだんだん落ちて行くというイメージする人が多いんですよ。体力的にも、美貌的にもね。

 

MATSUMOTO
美貌的にも。
久米会長
いろんな意味で落ちて行くと、そして、やりたくもない仕事やらされてみたいなね、灰色のイメージ持つ方多いんですけども、私もそういうイメージ持っていたんですけども、40過ぎてから人生面白いというふうにね、今になって気づく。もちろん衰えるものは、いっぱいありますけどね、楽しいことの方が多いんですよ。

50過ぎてもっと楽しいってことに気がつくんですよね。例えば、私の師匠の一人、「ロッキングオン」という雑誌を作った人の一人、橘川幸夫さんという方がね、面白いことおっしゃっていまして、「久米君ね、50過ぎてから面白いよ」と、「なんでですか」、「この前、20代のころに書いたね、写真とか、詩が出てきたんだ」、押入れ整理したら、そしたら、若々しいというか、荒削りなね、ちょっと青臭いものが出てきたらしいんですよ。

もし、30代、40代のころに、それ見つけたら、恥ずかしいし、捨てていたかもしれない。50になったらね、20代のそのころの荒削りな自分も愛おしく思えると言うんですよ。だから、瞬間、瞬間の勢いで見るとね、もちろん体力も衰えたりするかもしれないので20がピークかもしれないけど、うまく蓄積していった人は、50代のときには、20代のときの喜びももっと楽しめるという、積分的、微分じゃなくて、積分的に溜まっているということを教わって、私も今そう思っています。本を書かせていただくのもね、20代のころ嫌で嫌でしょうがなかったことがネタになっていたりしますでしょ。

 

MATSUMOTO
今、50・・。.
久米会長
53歳、実は。もっと言うならば、50過ぎてね、ほんとの仲良し、人生一緒に頑張って走っている人たちと飲んだりすると、どんな話が出るかというと、必ずしも、成功談ばかりじゃないですよ。むしろ、失敗談の方がネタとしては面白い。

死ぬかと思ったという寸前の話ね。よく飛行機で、飛行機が事故にあったりすると、走馬灯のように人生がよみがえるなんてね、ほんとかどうか分からないけど言いますでしょ。やっぱりそれたくさん浮かびたいじゃないですか、ということは、波乱万丈ですごい楽しいこととね、すごい辛いこといっぱいある方がネタがあって楽しい人生。

 

MATSUMOTO
何もなかったら嫌ですよね(笑)
久米会長
何もなかったら、何もないというのは、記憶力どんどんなくなっていくんですけど。例えば、すごく美味しいものと、すごい不味いものは覚えているじゃないですか。でもね、いつも行っている定食屋とか、社員食堂のはだいたい覚えていないでしょう。学生たちも、学生たちの親御さん間違っているのは、いい人生と言ったとき、中の上をね、水平飛行で波乱万丈がない人生がいいと思いがちじゃないですか。だって、公務員になりたいとかね。大企業に勤めて、できれば、役員にならないでほしいみたいなね、話するわけですよ。訴訟とか嫌だとかね。

それは中の上の水平飛行だから、毎日、給食を食べているような人生ですね。給食も美味しいけど、それよりは多分、このチャンネル見られているような、このサイト見られているような人は、多分、波乱万丈の人生を好むと、好まざるとに関わらずね、歩むでしょう。そうすると、50、60になったときに、飲んだときに、「あのときは大変だったな、はははは」って笑えると。ネタがいっぱいあるということですよね。だから、そういう楽しさというのを、僕はなるべく若い人に伝えて、あまり恐れる必要はない、さっき言ったみたいにね、命が亡くなるというのは結構大変ですよ。

 

起業もね、もちろん失敗すること前提に言っちゃいけないけども、仮に破産してもね、命取られるわけじゃないですよ。アメリカなんかだったら、企業潰した経験があれば、評価されたりするし、日本もだんだんそうなるでしょう。もう二度とヘマはしないということでね。

ということであればね、いい時代に住んでいるんだなと思っていただきたいですよね。そして、ましてはやっぱり、すごくシンプルなことなんですけども、少子化ってね、大変なことだというけども、少子化という言葉はね、ライバルが少なくなることですよね。基本的には、仕事自体は実は、いろんな仕事がこれから必要になってくるんですよ。AIに取られるというけど、逆にすごい人間を満足させるという仕事はたくさん出てくるはずです。

 

一例で言えばね、なんでも3Dプリンターで出来る時代は、手仕事品の方が価値が出たりするでしょ。マイクロビジネス、ソーシャルビジネス、山ほどでてくる。じゃあ、その数が少なくなると、質はどうかというと、みんなはね、起業家になるんじゃなくて、安定の道を望むとかね。何もしないとなっているわけだから、この時代に何か新しいことやろうとかね、大きな志持っているということは希少資源そのものなんですよね。

 

だから、もちろん失敗もするでしょうけども、当然、失敗するのが起業家ですからね。そうじゃないと、成功するまで失敗を続けるのが、松下幸之助さんみたいな起業家の特徴ですから、でも、昔よりははるかに、レースが楽になっているということだと思うんですよね。

しかも、その失敗も含めてネタになるし、3年、10年続ければね、どんな人でもある種の回路ができるし、そして、コミュニケーションをスマホもあるから、とにかく自分の主張を探していけば、縁とか、運とか、勘も広がっていくということなので、私から見たら、いろんな意味の起業の確率、成功率が高まっているような気がするんですよね大きい起業作って上場するとか、そういうのはまた別の話ですけども、自分なりの人生を自分でコントロールして、マネジメントして、自分のブランド作って育てていくということは、そんなに難しいことじゃないと思っているんですよね。

 

久米さんの日頃の生活スタイルで大切にされていることとかありますか?

久米会長
今になってすごく分かるんですけども、健康ってすごい大切だと思いますよね。やっぱり起業家の方というのは、メンタルヘルスも含めて、健康が一番大切です。人よりも倍、働いたりしますのでね。私の場合だったら、朝起きたら、ベットの中でストレッチと瞑想みたいなものを組み合わせた、自分のやつを朝晩やるんですよね。

 

MATSUMOTO
ストレッチ。
久米会長
ストレッチとヨガと瞑想を合わせたような自己流のものですけど、ナポレオンの遺言に「なんじ瞑想時間を持て」みたいなのがあったらしいですけど、今すごく瞑想とか、そういうメディテーションの大切さが言われるようになりましたでしょ。メンタルヘルスというのが多いというのもあるし、起業家は閃かなきゃいけないから。だから、禅でもいいし、ヨガでもいいし、なんでもいいんですけど、そういう時間を持つというのは僕はものすごい大切にしているんですよね。

 

MATSUMOTO
いつごろからやられているんですか?
久米会長
僕は悩み多き、うつ病患者みたいなものだったですから、10代、20代からやって、20代のときはね、いろんな瞑想全部試したんですよ。それで、どんな瞑想も結構共通点があって、まず呼吸を深くゆっくりすることと、姿勢をリラックスして真っ直ぐにすることと、もう一つは心をね、空っぽにすることなんですけど、これはね、いろんなバリエーションがあります。

お経を言ったりね、ヨガみたいなポーズをとったり、お線香見つめたり、いろいろある。これは自分でコントロールすればいいと思いますけども、それを20代いろいろ試して、とにかく分かったのは、ある心の状態になると、いろいろ閃いたり、悩みが飛んでいくということは体験したんですよね。それと同じ意味で、なるべく自転車通勤しているんです。

 

MATSUMOTO
そうなんですね。
久米会長
目黒から錦糸町までね、だいたい1時間ちょっとなんですけども。

 

MATSUMOTO
結構長いですね。
久米会長
坂道があるので、ちょっとズルして、電導のクロスバイクで、坂と逆風のときは入れますけどね。これは何がいいかというと、ジョギングでも同じだと思うんですけど、ある種のゆるい有酸素運動を繰り返すと、瞑想と同じ状態になって、あとセロトニンとか出てね、嫌なことを忘れるんですよね。

だから、机の前にいたり、パソコンの前にいたりすると、ストレスが溜まってくるんですけども、体動かしていると、ストレスは抜けていくので、ぜひそれをやった方がいいなというふうに思うんです。

 

そしてあと、すごく気遣いをしているのは、これからの経営者の条件だと思うんですけど、昔はね、やっぱり大量生産、大量消費とかね、一点突破型の企業のときは一生懸命働くという話があったと思うんですけど、今はネット時代だから、なるべくパラレルにいろんなことをやった方がいいと考えているんです。

もちろんこういう人とお話ししているときは集中していますけども、その間の隙間時間、例えば、移動中に私は写真がすごい好きなので、電線クラブのメンバーだから、いい電線があると写真撮る。

 

MATSUMOTO
電線クラブ?
久米会長
電線クラブ。電線が美しいと思う。いろんな人たちの集まりがあるんですよ。あるときまでは、電線が邪魔だと思っていたんですけど、今は電線はなかなか将来、電線はなくなるかもしれないしね、哀愁帯びていていいなと思って、写真撮ったりするんですよ。

 

MATSUMOTO
電線によっても、かっこいい、かっこわるいってあるんですか?
久米会長
人によって違いますけど、あります。あと、電線と合わせて、何を撮るかでね。自分なりに勝った、負けたがあるんですけど、それやっているときは、たった3分か、5分だけども、気持ちは経営者モードじゃなくて、ある意味、アーティストモードというかね、あるいは、タモリクラブモードみたいな感じになるわけですよね。

そして、夜寝る前は、自分の好きな音楽、今は明治大学の学生もあまりロックもジャズも昔の聞かないので、Youtubeで1個選んで、DJみたいにやっているんですよ。この曲を聞けみたいな感じで、僕、昔、ディスクジョッキーになりたかったこともあるので、その夢がある意味、叶っているわけですよね。

 

10人しか聞いていないかもしれないけど、そのときは自分の好きな曲を、過去の某大な自分のライブラリの中から探し出すというモードになっているわけです。だから、1日の中でいろんな顔を5分ずつでもいいから持つことで、それが逆にビジネス、リラックスにもなるし、ビジネスのアイデアにも繋がると思ったりもするんですよね。

 

MATSUMOTO
それもまた、起業家にとって大切なことでもある。
久米会長
大切だと思います。だから、パラボラを増やすことになりますでしょう。あとは、新聞、雑誌、テレビとかね、読み始めたらキリがないかもしれませんけども、結構意外なテレビとか見ているんですよね。ビジネスマンがあまり見たいようなもの、まずは、朝ドラは見ています。

 

NHKの連ドラ、これは例えば、地方に講演に行ったりするときに、やっぱり日本人の2千万人とか、3千万人が見ている番組のことがね、分かると、おじいちゃん、おばあちゃんとも会話できるでしょう。今どき珍しい番組ですから、それを見ておくと、そのあとに、朝イチという、日本中のおばちゃんが見ている番組があるわけですよ。これがね、今面白くて。

ぜひ録画してみてください。これ見るとね、今、世の中に何があって、何が起きているかっていうのが、逆に分かったりするんですよ。新聞、雑誌見るより、だから、普通の平均的な専業主婦の方が見られている番組だと思うんですけども、そこで紹介されるのが、例えば、マンホール女子の特集。マンホールを撮る女子が増えている。

 

MATSUMOTO
なんですか、それ(笑)?
久米会長
面白いでしょ。そして、あとは、東京にいろんなインターナショナル料理のタウンができていて面白いというときに、今のNHK進んでいて、リモコンでその場で投票やるんですよ、人気投票。神保町、神楽坂のフランス料理とかと並んで、錦糸町のタイ料理が出たら、全国の普通の人が見ているんですよ。錦糸町のタイ料理が一番だったりするんですよ。ポチポチ祭りで。

それとか、昔だったら、そういう番組には、専門家というと、有名な料理研究家とか出てきたんですけど、今だと、レシピブログとかね、クックパッドに出ているような普通の人が出てきて、おにぎらずを解説したりするんです。これ見ても、世の中がね、何が起きているか、しかもそれは、NHKが、すごい視聴率の番組の中で、それをタモリクラブみたいなことをやったりしているからね。あるいは深夜番組、深夜の民放番組みたいなことをやっているから、これはあきらかに、世の中のトレンド変わっていますけど、それは日経とか見ても、でていないんですよ。

 

MATSUMOTO
朝イチ何時からですか?
久米会長
朝ドラが終わったあとだから、8時15分からですね。

 

MATSUMOTO
毎日やっている。
久米会長
毎日、だから、ビデオに録っておけばいいです。そして、気持ちの、面白いテーマのときだけ見ておけばいいと思いますけど。もちろんタモリクラブも見ているしね、マツコの怒り新党も見ていますけど、ああいう番組も好きです。

 

最初の資金というのはどのくらい用意しておいた方がいい?

久米会長
どんなビジネスを始めるかによって、もちろん必要な資金というのは違うわけなんですけども、昔に比べたら、資金はすごく少なくて済むと思っているんですよね。

まず、商売始めるとしたら、オフィス構えなきゃいけないという話で、しかも、都心とかに構えなきゃいけないとすると、相当お金かかりますよ。よく言われますけど、資本金集めても、ほとんどそれね、敷金で無くなっちゃったなんて話あるわけですよね。

 

でも、この前、あるセミナーで、女性起業家の方のパネルでご一緒したんですよね。藻谷さん、里山資本主義の藻谷さんという方と一緒のパネルで、女性起業家の方たくさん出てきて、びっくりしました。

小平とかね、埼玉とか、郊外で起業して、ある程度、成功しても都心に出てこない。なぜかというと、子育てしながらやっているお母さんが多かったので、生活の質を落としたくないと、緑のあるね、のどかな環境でやりたいとかいうと、オフィス代がいきなり安くなりますでしょ。

 

そして、とはいいながら、お客さんが例えば、留学生とマッチングされている経営者の方は、関東全域は一応お客さんだと、そのときは、連絡はネットで取れるし、行くときは私だけ行けばいいということであると、またコストがまた少なくて済みますよね。

そして、もう一つ、子育てカフェを埼玉でやられている方がいらっしゃったんですけど、これもね、普通のビジネススクールで習うことと、全然違うことやっていました。住宅街の中でね、子育てカフェ、自分が欲しい店をやっているわけなんですけど、普通だったら、そういうカフェやるんだったら、客単価と回転率が勝負でしょう。でも、親子でゴロゴロしながら話せる和室みたいなところにいて、何時間いてもいいらしいんですよ。何時間いてもいいらしい。

 

でも、みんなお母さんだから、そんなの運ぶのとかね、たくさんウェイトレスとかいなくても、みんなお手伝いしてくれるし、そこでただ、カフェだけじゃなくて、いろんな情報交換もできるし、ストレス発散もできるし、楽しいわけですよね。ファミレスなんかより、そして、お客さんの集客はマーケティングコストが商売っていつもかかるわけですけども、全部、口コミ、ネットだと言っていました。

 

MATSUMOTO
それは、回っているんですか?
久米会長
回っている、ちゃんと回っているということですよ。ってことは、その変化っていうのは何で起きたかというと、まず一つは意識ですよ。思いこみ、ビジネスにはこれが必要だということが、まず女性の場合はなかったわけですよね。オフィスは都心で立派じゃなきゃいけないとかね。マーケティングコストはこうじゃなきゃいけない、ビジネス成功するためにはね、客単価と回転率はこうでなきゃいけないという常識にまず捉われなかったことが大切。そうすると、コストがいきなりかからなくなる。

そして、もう一つは、インターネットをやっぱり前提ということですよ。インターネット使うことで、マーケティング安くなったり、あとは、連絡手段が安くなったり、あとはオフィスが郊外になったりという、激減するんですよね。あともう一つ、コツは、なんでもかんでも、自分でやって、社員を抱えなきゃいけないという発想ではない。

 

お客さんがある意味ね、働いてくれたりするというのは、すごい革命的でしょ。コワークって当たり前にありますけど、起業家同士が連携してね、得意なものだけやればいいし、大企業だったら、総務課、経理課、全部あるけどね、そんなのも全部アウトソーシングして、使ったときだけ、バラにすれば安くなりますしょうでしょう。

だから、お金いくらくらい必要ですかという捉われはなくした方がいいなというふうに思うんですよね。そして、あと、私も東京商工会議所の起業創業支援委員をやっているので、よく分かったんですけども、今ほど起業家支援の仕組みがね、充実しているときはないですよ。ちゃんとビジネス、ある程度、1期2期回ればね、お金を借りるとか、出資してもらうような方法は、あらゆる方法が今はあるかもしれません。そういう情報を得るためには、地元の商工団体、商工会議所でもいいですから、そういったところに行くと、個人の近いレベルでも、月千円、2千円くらいでね、入れる場合が多いんですよ。

 

そして、そうするとね、起業に必要な会計セミナー、マーケティングセミナーみたいなの、だいたいタダですし、大企業から創業された方で、だいたい悩まれるのは、福利厚生が悪くなっちゃうんですよね。大企業、福利厚生充実していたり、保険が安かったりするでしょう。それは、商工団体に入っていれば、団体価格で入れるし、いろんな優待施設もあるからというので、そういう地元の商工団体に入ったうえで、融資の相談、マルケイ融資とか、いろいろありますのでやれば、すごい安くで借りられる。そのとき、ただ、借りるんではなくて、経営相談員がだいたい商工会議所、タダでコンサルしてくれますからね、どうやったら、お金なるべく使わないで起業できますかねって言ったうえで、お金借りた方がいいです。

 

お金本気で使いたいときっていうのは、いずれ出てきますから。商売が軌道に乗ってきてね、生産ラインを作らなきゃいけない。販売店を増やさなきゃいけない。スタッフ増やさなきゃいけないというときにやればいいので、最初に作る段階で、これだけ必要だななんていうことは、あまり考えない方がいいんじゃないかと思いますよね。それは、私自身もTシャツの会社は、いわゆる伝統的な会社ですけど、その一方で、本がある程度、人気が出たり、講演頼まれるようになったときに、21世紀型の起業ってどういうものなのかなと思って、小さな有限会社作ってみたんです。

そしたら、ほとんど何もいらないです。自宅を会社にして、そして、注文はネットのメールで来るだけでしょう。必要経費もほとんどないわけですよね。それでやってみたら、これでもできるんだねって、社員、私と奥さんだけでやっているような会社ですけど、それでも十分回るということが分かってきたんですよね。

 

特に今、一番大切なのは、アイデアとか、知恵とか、知財でしょ。頭の中に工場があったりするようなものですよね。だとしたら、ますますお金はあまりいらないと思うんです。そして、ハードウェアを持っている企業と共用しながらやっていくということもいくらでもできますよね。

 

MATSUMOTO
アイデア次第でいくらでも。
久米会長
ということです。そして、インターネットを使ったり、あと、既存のビジネススクール的常識に縛られないで始めた方がいいよと、そして、商工団体含めて、無料で相談できるところ使ってね、なるべくお金は節約しながら始めていって、ブレイクするときに考えればいいと思うんですよね。スタートアップの時期に、あんまり悩まない方がいいと思います。

 

今後の事業展開、仕事上での夢でもいいですけども、5年後、10年後教えていただいてよろしいでしょうか。

12
久米会長
私も人生の最後ラストスパートに入ってきているんですけども、観光地域づくり、地元を盛り上げたいという話をやっているうちに、あとは、明治大学で教えているうちに、やっぱり今の日本に一番大切なので、それこそ、起業したくなるような元気な若い人がどれだけ増えるかということが一番大切だということに気がつきました。

単純な少子高齢化の問題じゃなくて、子供たちが元気にならないといけない。今の教育制度ではなかなか難しい。でも、私が全国で講演する中で、大学生に聞くと、結構小さくなっていて、「何のために仕事したいですか?」って聞くと、「世界のためより自分と身内のため」、100年後、1000年後のことよりも、今のことと言う人が多かったんですけど、小学生くらいに聞くとね、結構ね、1000年後の世界を変えたい。という子がいることが分かったんですよ。田舎の子。

 

だから、ちょうど墨田区、すみだ北斎美術館ができるので、そこで、すみだ北斎親子塾というのをやって、今やっている明大の授業の拡張版みたいなものですけども、無名だけど元気な大人をたくさんつれてくる。経営者でもいい、職人でもいい、音楽家でもいい、スポーツ選手でもいい。そういう人の元気をね、シャワーのように浴びられるような私塾寺子屋をやりたいと思っているんですよ。

そして、それは毎年30人くらいで入れ替わりをして、OBも増やしていくわけですけども、卒業した人も見られるようにネットで公開するようにして、そして、間近でシャワーのように浴びる体験を、子供だけだとね、子供は元気になっても、親に例えばね、起業したいんですとかね、職人になりたいですとか言ったら、だいたい反対されますでしょう。

 

だから、親も一緒に来てくれる人だけを限定、男女比半々で、もともと住んでいた人と、新しく住んできた人とか、外国人とか、いろんな人が混ざって勉強できるようなところを作って、そして、座学でその人の話を聞くだけじゃなくて、現場とセット、じゃあ、職人のね、場所に行ってみようとか、じゃあ、コンサートホールに行って聞いてみようとか、スポーツを応援してみようとかいうのをやる実験をしたいんですよ。

それをやったら、そんな難しい仕組みではないので、全国でね、別に私が全部やるんじゃなくていいんです。その仕組みをその後、みんなで入れていってもらって、元気な子供たちがね、寺子屋で育っていけば、今のこの10年・20年ね、結構確立化されて、元気のない子供たちを作ってしまった教育、これを変えるのは難しいので、サブカルチャーでできるんじゃないかなと思っていまして、これをやりたいです。

 

MATSUMOTO
いいですね。親も一緒というのが。
久米会長
親と一緒というのがポイントです。そしたら、親もね、子供の目が輝いているのを見たら、そっか、安定した仕事がいいと思っていたけどね、子供はこれが幸せかもしれないなって思ってくれればいいでしょう。

私はもともとAIやっていたし、今のAI、近未来研究会というところで、一緒に研究しているんですけども、正直言えばね、大きな企業でやっている仕事ほど、ホワイトカラーも含めて、AIに取って変わられやすいんですよ、ロボットで。それよりは、地域密着とかね、一部のそれが大好きなマニア向けのものを手作りで作るとか、あとは現場で一緒になって楽しんでもらうというものが残るんですよね。

 

だから、結果として、今まではお受験やれば、子供は幸せだったかもしれないけど、そういう特別な子供が生まれるような教育機関を墨田区で実験して、だんたん広めていけば、地元を愛する子供も増えるし、結果として、観光地域づくりにもなるし、少子高齢化の問題にもなるし、地域消滅の問題も解決できるというふうに思っているんですよね。

 

久米さんにとって、幸せとはなんですか?

久米会長
これはね、世のためと、自分のためが、いい塩梅でバランス取ったのが幸せですね。さっきの私塾にしても、もちろん世のためにもやるんですよ。100年後、子供たちが元気になってね。ここに生まれ育って良かったなと思ってもらうためにあるんですけども、でも、子供たちの目がキラキラしている姿を見たりね、なんか素敵な反応があったりしたら、僕はすごい幸せになるんですよね。これが両方バランス取れているときが、すごく幸せだなと思うんですよ。

だから、よく言われているような、お金とか、地位とか、名声というのは、あまり幸せとリンクしていないということが、今になって分かりました。むしろ、そういう現場の自分が一番大切だと思っている人たちがニコニコしてくれることが、最初から最後までやっぱり幸せと深くリンクしているかなと思うんです。飛び込み営業でね、目の前のおもちゃ屋さんが、ありがとうって言ってくれたときの幸せっていうのが今も逆にね、その有難さが分かるようになった気がするんですよね。

 

MATSUMOTO
結局は、そこの行きつくんですかね。
久米会長
そうだと思います。そして、あと私、相続診断の仕組みを作っているときに、やっぱり最終的に幸せって、なんだろうというのをね、いろいろ調べたわけですよね。最後、幸せになってもらいたいようなソフトを作りたかったので、やっぱり自分の子供でもないし、身内でなくてもいいんですけど、やっぱり自分が一生懸命、学んできたことを誰かに引き継いで教えたいという欲求がすごく大きいと思うんですよね。それが私にとっての幸せですね。

 

最後に、これから起業を考えている方々へのメッセージをお願いします。

久米会長
多分、これから起業をしようとする方々が、日本の宝ですね。そういう人が一人でも多く増えてくれることが、これから日本だけじゃなくて、世界をね、元気にすると思うんです。そのときに、あまり肩に力入れて、思い詰める必要はありません。みなさんのような方を求めている先輩方はたくさんいますから、そういう師匠を探してね、なんでも教わって、エネルギーを貰ってください。そして、一番大切なのは、自分にとって、誰がほんとのお客さんかということですよね。

 

自分が幸せにしたい人がお客さんなので、その人のことを徹底的に考えて感じ取って、そして、何がしてほしいかを察したり、聞きだしてもらって、それを提供していけば、それが商いの王道だというふうに考えております。そして、そういう商売をやっている限りは、その起業家もね、幸せですよね。具体的に役立っていることが分かるから。

そんな人が増えてくれば、世の中だんだん世知辛くなっているところもありますけど、その中でフツフツと湧き出ている地域の細かいニーズ、ソーシャルなニーズも、みなさんが埋めてくださると、そして、みなさんも幸せになると確信しております。ぜひ頑張ってください。

 

MATSUMOTO
本日のゲストは、久米繊維工業株式会社 取締役会長 久米信行さんでした。ありがとうございま した。
久米会長
どうもありがとうございました。

 

 

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久米繊維工業株式会社 取締役会長 久米信行

1963年東京都墨田区生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、ゲーム会社、日興證券を経て、家業の久米繊維工業3代目社長(現会長)。バブル崩壊とデフレに見舞われ、数十億の債務を背負うも、インターネットやエコロジー対応に先手を打ち勝ち残る。明治大学商学部ベンチャービジネス論講師。主な受賞に日経インターネットアワード、経済産業省IT経営百選最優秀賞、東京商工会議所勇気ある経営大賞特別賞。東京商工会議所起業創業支援委員・墨田支部副会長、墨田区観光協会理事、日本財団CANPANセンター理事、新日本フィルハーモニー交響楽団評議員。

主な著書に、すぐやる本ブームに火をつけて15万部のベストセラーになった『考えすぎて動けない人のための「すぐやる!」技術』(日本実業出版)、『面倒くさがりで続かない人のための「やり抜く!」技術』(日本実業出版)、『すぐやる人の「出会う」技術』(かんき出版)、『ピンで生きなさい 〜会社の名刺に頼らない生き方〜』(ポプラ社)ほか多数。