独立開業・起業の人材採用の基本的な考え方と方法

起業

独立開業・企業というのは誰しもが一度は夢見るものです。しかし、それを行うタイミングはいつでもというわけではありません。

夢と勝算を持ちながら、勿論 不安も抱えてのスタートとなるのですが、そこで大きな壁の一つとなるのが人材の採用です。

 

起業を一人で行うのか、同じ夢を分かち合った仲間と一緒なのかはそれぞれですが、業務を拡大していくには「人」が必要です。

同じ夢を分かち合った「仲間」ではなく、就職先として御社を選び入社してくる者たちを自分で選ぶのです。今回は、新しい「人財」の採用について、4つに分けてご紹介致します。

 

人材採用の基本的な考え方

基本的なことを4つ挙げますので、それぞれを見ていきましょう。

  1. 応募者の母集団数を高める
  2. 応募者の母集団を作る方法
  3. 応募者への対応
  4. どのような人材を求めるべきか?

 

1.応募者の母集団数を高める

応募者の数の獲得というのは、実は一番大変で一番重要なこと。

「応募者を増やすにはお金も掛かるし、そんなにたくさんの人が訪問してきても、一人一人に会って対応している時間がない」

「わけの分からない者がたくさん来る必要はない。欲しい人数はわずかだから」

と考えてしまうかもしれませんが、実はとても重要です。

 

「応募者の数の多さは、採用する人材の質に比例する」ということです。

 

2 人の中から1 人を採用するより、10名の中から1 人を採用する方が、10名の中から5名を採用するより、30名の名から5名を採用する方が人材の質を上げられることは明白です。

 

特に起業間もない時期ですので、一人一人の社員の重要性と比重が高いのですから、採用してすぐに辞めたではなく、もっとも困るのは、その者が辞めずに余剰人員となって残ってしまうことです。

 

ここでの妥協は大きな損失となる事を理解しておかなければなりません。

 

 

2.母集団を作る方法

当然ですが、相手方が飛び込みでやってくるわけではありません。

そのため、求人募集が必要になります。

応募者を作るための方法を5つご紹介します。

 

2-1ハローワークへの登録

2-2大学や専門学校の就職指導部への訪問

2-3求人媒体の利用

2-4人材派遣

2-5自身を含めた社員や取引先の紹介

 

2-1ハローワークへの登録

登録は無料ですので、一応は登録しておくべきです。ただし、起業間もない会社ですので、知名度もなく求職者に閲覧される件数は少なく、応募に繋がる可能性は低いのが一般的です。

また、応募者も、採用条件の給料や休日休暇などの待遇面を重視して探している傾向も強く、求める人材の獲得には厳しいものがあります。

 

2-2大学や専門学校の就職指導部への訪問

こちらも無料で行えます。電話で簡単にアポイントを取ります。

「新しく求人の案内にあがりたいのですが、会社資料などをお持ちしますので、求人表を頂戴したいと思います」

と告げれば、予定を入れていただけます。

ただしこれも、就職指導部にたくさんの資料が並び、生徒はパソコンを使って自由に検索するだけですし、ネットによる就活が当たり前の時代になり、そもそも就職指導部を訪れたことがない。という学生さんも増えています。

 

またこれらは、新卒の求人となりますので、求める人材が中途採用の即戦力だとすると、使えません。ご自身や社員様の卒業された学校へ訪問し、

「OBなのですが、このたび起業し求人を考えています」

と相談するのも良いかもしれません。

一旦就職して退職した者も、就職指導部に再度相談に行っている者もいますし、先生方も自校のOBの独立した会社ということで、前述のような人達に声を掛けてくれるかもしれません。

 

ハローワーク、学校訪問については、資金はかかりませんが、会社への応募者を作るという面では期待は薄く、あくまでもプラスアルファーというところです。

 

2-3求人媒体の利用

リクナビ・毎ナビ・エンジャパンなどが有名で、就職活動を行っている者が積極的に活用するものであり、現在の主流と呼べるものです。

資金的には決して安いものではなく、掲載の大きさなどにもよりますが、1か月掲載で20~80万円程度の費用が必要です。

多くの求職者に業務内容だけではなく、待遇面や会社の考え方なども伝えることができますので、応募者の質も上がります。ある程度会社を理解してから自分で選択して応募をしてきますので、採用決定後の入社率は非常に高くなります。

 

デメリットとしては、多くの会社の中から求職者に選択されなければなりませんので、会社が望む人材像や業務の知識・考え方をありのままに記すことより、求職者が望むものを伝える必要があります。

まずは会って話をすることで「母集団を形成する」ことが優先になります。どのような記事にするかなどは、担当営業マンと納得いくまで話をするべきです。

仮に、結果採用できなくても、一人の訪問者が来なくても費用はかかるのですから。

 

2-4人材派遣

求める社員の状態によりますが、派遣会社より一時的に人材を確保することも必要な場合があります。

これから育成をして、会社の将来を担うような社員を求めるのであれば、まったく違いますが、多忙を極めており、雑務の処理や事務処理が溜まって、それらを行う時間がない。というのであれば一考です。

 

2-5自身を含めた、社員や取引先からの紹介

会社の業務や事情を理解して紹介してくれるのですから、資金も掛からずに、上手く行けば理想的です。一方、ご紹介をいただいて不採用にするのは難しいですし、会社としての雇用の責任以上のものが必要になるでしょうから、その覚悟も必要でしょう。

 

3.応募者への対応

採用業務を行う以上は不採用にしなければいけない人も出てきます。今の時代は、SNSによる無責任な情報もすぐに拡散してしまいます。

多くの会社の中から自分達の会社に興味を持ってくれて、わざわざ時間を取ってまで会いに来てくれた方々です。

 

誠心誠意、一点の失礼もない態度と文面なりでお断りするべきです。

未来の直接・間接のお客様になっていただけるチャンスとも考える必要があります。

 

どのような人材を求めるべきか?

態度・知識・技量などはこれから教えることができます。

会社自体も起業間もないのですから、有名大企業のように完全に労働基準法通りで、休みも多く、

福利厚生や待遇も完璧とまでは、なかなかいかないでしょう。

 

そんな時に一緒に戦える理由は、

「会社の目標・ビジョン」

 

創業者や創業の仲間と同じ目標の共有です。

 

面接時にもこれだけは明確に示してやり、入社してからもことあるごとにビジョンを語り、説得することです。

 

目標とそれに向かっている現状を理解させることで、創業の仲間と同じモチベーションを作りあげていくことができます。

 

この商品をいつまでに完成させる。納品させる。と皆が徹夜も辞さずに取り組んでいる所に、

「法定労働時間を超えています」

と言い出されては、仲間になれません。

 

労働基準法は当然守らなければいけないものですし、いずれそれが当たり前の会社にしていくのですが、今はまだそうなっていくための礎造りです。

 

「次の試合にどうしても勝つのだ」

という意識を共有するのです。

 

この気持ちをつくってやらなければ、朝錬や特訓は苦痛になりますが、同じ気持ちを持つこと

ができれば、同じ苦労を共にして達成感も味わえる同士となれます。

 

まとめ

 起業間もない会社ですので、大企業のような知名度はありません。

また大企業のように、余剰人員を置いておくほどの余裕もありません。

各社なりの事情はあり、多少の資金は掛かりますが、就職媒体を活用し、会社への訪問者数を増やすことで質を高めて、不採用にする方々にも細心の注意を払いながら、創業メンバーと同じ目標に共感して、共に戦っていく仲間を作っていくことが必要です。

 

ブラック企業という言葉が流行して、待遇面の良さこそが良い会社という風潮がありますが、会社もスポーツと同じで、勝つためには人に負けない日々の努力が必要であるということは、若い人たちも良く分かっています。

要は、何に向かっているのかを、しっかりと伝えていくことが、起業時における人財の採用だということです。

 

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