ランチェスター戦略から知るビジネスでやってはいけないこと

起業

昨今、起業を目指す人が増えてくる現状があり、それに伴ってたくさんの起業のアドバイスが生まれています。書店に行けば起業向けの本が多数並び、さまざまな会場で起業向けのセミナーが多く開催されています。こうした状況はこれから起業をしたい人にとって助かりますし、前向きな気持ちになれるものですよね。

ですが、自分でビジネスをしたい人たちに向けたアドバイスがたくさん届けられ、そしてビジネスに向けてとてもやる気に満ち溢れた人がいるのにも関わらず、独立してビジネスをうまく経営できる事例というのがそれほど多くないのが現状です。

 

この現状は、これからビジネスをしたい人にとってかなり大きな壁として存在します。ビジネスをしたいけれど生き残れなかったらどうしよう、そんな不安に苛まれながらビジネスの準備をしている人はとても多いです。そして不安のあまり、ビジネスをなかなか始めることができない人も少なくありません。

ですが何事も実践しなければ何も始まりませんし、得るものもありません。実戦経験の積んで得るものは、準備段階で想定しているよりも遥かに役立つ武器になります。机の上でただうんうんと唸っているのであれば、外に出て実際にビジネスを始めてみるほうが、ビジネスを軌道に乗せるチャンスもたくさんあります。外に出て初めてぶつかる壁があって、それをいかに乗り越えたり壊していくか。こうしたことを繰り返すことで、経営をする力というのは身についていきます。

 

ビジネスに失敗は付き物です。でも失敗は付き物だとは言え、失敗しないようにすることが大事であることは言うまでもありませんね。失敗をしないようにして、それでも失敗したときにこそ気づくことがたくさんあり、その気付きが成長に繋がります。ですので今回は、これからビジネスをする上で失敗を招かないようにする術として、絶対にやってはいけないことを話していきたいと思います。

 

ランチェスター戦略から知るビジネスでやってはいけないこと

これからビジネスをするにあたって、やってはいけないことはたくさんあります。ここですべてを挙げるのは難しいのですが、絶対にやってはいけないことのひとつに、「手を広げすぎてはいけない」というものがあります。それは一体どういうことなのか、順を追って説明していきましょう。

この話をするにあたって、一つ知ってもらいたいものがあります。それはランチェスター戦略というビジネス戦略です。これは簡単に説明すると、ある一つのマーケットにおいて圧倒的なシェア率を誇るトップ企業(強者)に、およそ同じマーケット内でいかにそれ以外の中小企業(弱者)が勝つための方法です。人や資金で物を言わせている強者がいる戦場において弱者がいかに生き残れるか、その方法をまとめたものがランチェスター戦略と言えるでしょう。

 

今回はこのランチェスター戦略を逆手に取ります。つまりランチェスター戦略と反することをしないようにするのです。ランチェスター戦略に反したことをすれば、当然ながら強者に負けてしまいますからね。

もちろん、ランチェスター戦略に書かれている全てがどのビジネスにおいても当てはまるわけではありません。あるビジネスは場所を限定する「局地戦」が良いでしょうし、あるビジネスの場合はそれよりは顧客との距離を縮める「接近戦」が良いということがあるでしょう。

ですので、今回はランチェスター戦略の中でもどのビジネスにおいても当てはまるもので、かつ多くの企業家や経営者がわかっていながらやりがちなものを話していきます。それこそがまさに「手を広げすぎてはいけない」というものです。

 

「手を広げすぎてはいけない」とは?

ランチェスター戦略に基づいて弱者が強者に勝つためには、勝負の挑みどころを間違えないことが何よりも大事です。いざ挑んだはものの、強者が強者として弱者に勝る戦いはたくさんあります。だからこそ中小企業は頭を抱えるのですが、しかし弱者が勝てる戦いも同じくらいあります。この勝てる戦いをいかに選ぶかがとても重要だとランチェスター戦略は言ってくれています。

弱者が勝てる戦いというのは、先程も少し伝えたとおり物理的な場所や顧客のアプローチの仕方をはじめ、実にさまざまです。ランチェスター戦略を調べれば、なるほど!と思うような方法がたくさんあります。そこでおおよそ共通しているのが、弱者こそ「絞り込み」をしたほうが良いというものです。

 

そもそもランチェスター戦略とは、人も資金も営業力も圧倒的に違う強者に勝つ方法ですから、その強者と同じことするようには書いていません。強者のように自らが持つ力に物を言わせて、ありとあらゆる場所に攻めていく方法を弱者が取れないのは一目瞭然です。でも細かい部分を見ていけば強者の手が行き届いていないところがある。そこを突いていこうというのがランチェスター戦略であり、そうだからこそ必然的にいろんな要素を絞り込んでいく必要があるのです。

中小企業だけでなく、これからビジネスをする人も同じ。ターゲットを絞り込む必要もあれば、商品を絞り込む必要もあります。こうした「絞り込み」をすることで初めてあなたは強者=大企業に勝つ方法が見いだせるのです。もうおわかりですね。「手を広げすぎてはいけない」とは、この「絞り込み」を疎かにしてはいけない、ということです。

 

商品やサービスこそ絞り込む事が大事

ビジネスにおいては「絞り込み」を疎かにしてはいけません。この「絞り込み」をしなくなった瞬間に、強者の圧倒的な力に押しつぶされ、マーケットからの撤退を余儀なくされます。ですので、これからビジネスを始める人は心に留めておいてください。

 

特に大事なのは「商品やサービスの数」を常にふるいにかけて絞っていくことです。商品やサービスの数が多いと、販売するチャンスが増えて利益の獲得がぐんとアップすると考えてしまうかもしれませんね。ですがビジネスを始めたばかりのあなたが展開する商品やサービスというのは、そもそもまだ顧客の信頼を勝ち得ていません。この商品(やサービス)は自分にとって役立つものなのかな、と顧客は手探り状態なのです。

 

そのような中で新しい商品やサービスを始めたらどうでしょうか。顧客は結局どれが良いんだ、と迷うばかりになってしまいますね。それぞれの商品は魅力的なのに、お互いがお互いのメリットを消しあってしまい、結果としてどの商品も弱くなってしまいます。

また「商品やサービス」を増やしてしまうことで、ビジネスをする側もどの商品を売り伸ばしていきたいかがあやふやになります。どの商品も売りたいと欲が出てしまい、結果としてどれも中途半端なPRにしかならなくなるのです。二兎追う者は一兎も得ずとは良く言ったもので、「絞り込み」を疎かにするとそうした現象が起きるのです。

 

たった一つの武器だからこそあなたは勝てる

これからビジネスをする人は、「商品やサービス」の絞り込みをしていかなければなりません。「商品やサービス」を広く展開して良いのは大企業、強者だけです。弱者であるあなたが持って良い武器はひとつだけ。しかしその武器をひとつだけにすれば、武器を念入りに磨くこともできますよね。同じ商品でも素材を厳選したり、同じサービスでもアフターフォローを入れるなど、質を高めることがもっとできるはずです。

 

「商品やサービス」を絞り込むことができれば、今度はそのコンテンツの良さが最大限に活かせる場所を絞り込んでいきましょう。強者が選ばないような場所や、手が行き届いてそうで行き届いていない場所が選べるとなお良いですね。

「商品やサービス」の質と活かせる場所を選べば、すなわち磨き上げた武器で最大限のパフォーマンスを出せる場所を選べば、人の数では圧倒的に負けていてもあなたは強者に勝てます。

 

だからこそ、これからビジネスをする人は「手を広げすぎてはいけない」のです。「商品やサービス」を増やせば利益を増やせるかもしれないという、目先にある甘い誘惑に負けないようにしてください。あなたには強者に勝てるポテンシャルがあります。そのポテンシャルを引き出して成功を引き寄せ、失敗を招かないようにするためにも今回お話したことは、心に留めておいてもらえればと思いますよ。