From:松本泰二
誰でも特定の人物や製品と接する機会が多くなればなるほど、その人物や物への親しみが増えて行きます。
いったん嫌われてしまうとこれは逆効果になってしまいますが、もしあなたが新しい製品や自分の会社について、お客様にもっと知って欲しいと思っているのなら、相手がその製品や、その製品の開発に携わっている人たちについて見たり聞いたりする機会を出来るだけ増やすようにするのは、とても効果的です。
差別化を図るために、ストーリを提供する
私たちはよく見聞きする物について、よく知らないものよりも親しみや信頼を抱きやすい物です。
これを実践する上で大変効果的なのは、あなた自身の会社の歴史やおすすめしたい製品の開発についてのストーリを提供することです。
私たちは物語を聞いたり読んだりするのを好む傾向があります。ストーリ性の無い難しい学術書を読むより、より物語性が有り、感情が動かされる小説や映画を好んで手に取ります。
同じように新製品開発についての過程や、特徴を単調な文章で説明した説明書きを読むより、開発に関わったのはどんな人で、どうしてその製品のアイデアを思い付いて、どんな困難を解決して、どういうノウハウを活用して、製品の完成に至ったのかということを物語の形で提供してもらう方がずっとおもしろいですし、その製品への興味も沸きます。
人間の脳は物語を聞いた時に、脳の中で登場人物と同じ感情を共有するようです。だから映画などを見ている時に、登場人物が悲しい事に会う場面では自然と涙が出てくるのです。
あなたが自らの会社の歴史や、従業員、製品開発に至る物語を、上手に消費者に提供することが出来るなら、消費者はあなたや、従業員、開発に関わった人たちと感情を共にする仲間に近い関係になります。
物語は、小出しにリアルタイムで提供する
あなたがストーリを提供した消費者は、その製品を手に取った時、頭の中にその製品に紐づいた開発物語が一気に再現されます。そうして呼びおこされた感情は、人を行動へと動かします。他に類似した製品がたくさん並んでいたとしても、あなたの製品は他のものとは区別されて消費者の目に映ります。
物語は、まとめて一気に提供するよりも、開発段階から小出しにリアルタイムで提供する方が、消費者の興味を長く引き付けることが出来ます。
現代のような、デジタル時代では集中力の続く時間が短くなっていると言われています。長い物語をまとめたものを一気に読まされるより、短い物語を何度かに分けて、定期的に提供される方が、負担が少なく、集中力が続くのでより物語を楽しむことができます。
テレビドラマでも、視聴者は長い時間をかけたエピソードの中で登場人物の背景や人物像について自然と理解を深めています。そのため、「次はどうなるの?」という期待が高くなり、「この登場人物はこんなことはしないはず、だから・・・」と考えたりしてしまうほど感情移入してしまいます。
物語だけが持つオリジナル性
またリアルタイムで提供し続ける物語には、その物語だけが持つオリジナル性が必ずあります。ですから、自然と他の製品との差別化を図ることが出来ます。
物語に触れてきたお客様が、あなたの製品に特別な思いを抱くのは先程ご紹介した通りです。他にどれほどたくさん子供が遊んでいても親にとっては自分の子供が特別に映るのと同様、それはとても自然なことなのです。
お客様に「おもしろい」と思ってもらったり、共感してもらえるようなストーリを提供することでお客様を楽しませることが出来れば、お客様はその後もあなたの提供する情報を探して求めようとするはずですし、あなたの会社や製品はお客様にとって知人や友達のような身近な存在になります。
そうすればお客様はあなたの会社や製品を盛り上げるために、支持をしたいという行動へと動かされるでしょう。こう考えると、あなた自身やあなたの会社、あなたのおすすめしたい製品についての物語を提供することは大きな益があることをお分かりいただけると思います。