クリティカルマスとは?「クリティカルマスポイント 」を超える

マーケティング

From:松本泰二

新しい製品やサービスを扱ったビジネスを成功させるのに「タイミング」は成否を分ける重要なポイントになります。

「クリティカルマスポイント」という言葉をお聞きになったことがおありかもしれません。「クリティカルマス」とも呼ばれます。これはマーケティング用語で、「ある製品やサービスの普及率が一気に跳ね上がる分岐点」のことを指します。

 

多くの人はそれまで全く接したことの無かった製品やサービスを取り入れることに壁があります。その製品やサービスを使うことのメリットが明確に思い描けないためです。しかし周りに、その製品やサービスを使ったことのある人が増えて来くると、「私も使ってみようかな」と思いだします。こうしてその製品やサービスが普及し始めます。

 

このように、新しい製品のマーケットでの普及率がある値(マーケットの約16%と言われます)に達するポイント、それが「クリティカルマスポイント」と呼ばれます。この「クリティカルマスポイント」の後、普及率は一気に跳ね上がります。あなたが、新しい製品やサービスを提供する「売り手」側であれば、この

 

「クリティカルマスポイント」を超えてからマーケットに参加するのでは、「遅すぎる」

ことになります。どうして遅すぎるのでしょうか?それには以下のような理由があります。

世にそれまで無かった新しい製品やサービスが浸透していくのには、幾つかの段階があります。この段階をはっきり理解し、新しい製品やサービスの導入のタイミングに適用することが、事業の成否を分ける重要なポイントとなります。

この段階は、「製品ライフサイクル」と呼ばれ、「導入期・成長期・成熟期・衰退期」の四つの段階に分けられます。このうち、

  1. 製品がマーケットに導入される時期が「導入期」、
  2. 製品の知名度が高まっていき口コミなどで広がり始めるのが「成長期」、
  3. 製品が十分に普及した時期が「成熟期」、
  4. マーケットにおける需要が減少し、売上が減っていくのが「衰退期」です。

「導入期」を経て、製品の認知度が上がって行くと、他の企業が次々にその製品のマーケットに参加し始めて、競争になります。ここで「タイミング」の話になります。

ビジネスを仕掛ける「売り手」側の立場からこの段階を見ていきましょう。

「成長期」には、マーケットでの認知度が一気に上がり、売り上げが大幅に伸び、各企業によるマーケットシェアの獲得競争が始まります。この時、最初にその製品やサービスを導入した「売り手」は、この売上がぐんと伸びる「成長期」に大きな利益を得ることが出来ます。

そのため、販促活動や販売拠点(チャネル)の拡張に用いるための十分な経済的基盤が整っています。そのため、その製品のマーケットにおいて有利な立場に立ちやすくなります。

 

しかし製品(サービス)の成長が続いてマーケットが「成熟期」に入っていくにつれ、有利になってくるのは、マーケットの獲得・維持において競争力のある大企業になっていきます。競争力・経営体力のない企業は淘汰されていきます。

 

しかし新しい製品(サービス)を最初に導入した先発企業には、早くから拡大して来た販売拠点、また先行者としてのブランド力があります。また衰退期の始まりをいち早く見て取れば、利益を出さない製品の取り扱いを終了・撤退し、旧製品のアフターサービス、新しいマーケットの開拓へと移行する時間があります。

このように、新しい製品(サービス)を売り出すのに、その需要に多くの人が気が付く「クリティカル・マスポイント」に達した段階ではすでに遅いということです。

 

新しいマーケットに参加するのは、まだその製品やサービスが受け入れられていない段階でなければ、遅すぎると言えるでしょう。

この新しいマーケットに参加するかどうかの判断には、大きな決断が求められるでしょう。多くの人はこの決断を遅らせ、マーケットへの参加が遅れてしまい一年前に始めていれば成功したのに・・・という事になってしまいます。

 

確かに決断をするには、しっかりとした情報量を得て、感情的にではなく理性にもとづいて判断する必要があります。しかし、情報量が不安要素を上回ったと判断できたのであれば、それ以上躊躇しては遅すぎるでしょう。反対にマーケットへの参加が早すぎるということも注意するべき点かもしれません。

このように資金面、能力面でずば抜けていなくても、タイミングをうまく見計らうことが出来れば大きな成功を収めることが出来ます。

安心領域に留まっていては、決して成功はつかめないということは覚えておくべきでしょう。

 

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