芸人に学ぶ!売れるお笑い芸人と成功するビジネスの共通点

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From:松本泰二

テレビの視聴率調査を見ると、報道分野(大部分はNHK)の視聴率が高いのは別にして、その他の娯楽番組の分野の番組のほとんどが13%以上で、音楽分野、ドラマ分野やスポーツ分野より圧倒的に高くなっています。

この娯楽番組の司会者、パネリストあるいはコメンテーターなど出演者の多くはお笑い芸人で、様々なタイプの芸人がおしゃべりをしてけなしあったり、珍しいことに挑戦したりして人気を博しています。

 

お笑い芸人の顔ぶれを注意して見ると、何十年も多数の番組に出ているベテラン芸人もいますが、その中でも急に見かけなくなる芸人や、1年前に突然ブレイクしてどんな番組を見ても出ていたのに最近は話題にすら上らなくなった一発屋芸人、忘れた頃に出てくる芸人など様々です。

浮き沈みの激しい厳しい世界であることを改めて感じさせられます。このようなお笑い芸人の世界はビジネスに通じるところが有り、その背景を分析することはビジネスを長く継続させるために大いに参考になります。

 

成功している起業家と売れている芸人

それでは、息の長いベテラン芸人と、すぐ消えてしまう一発屋芸人の違いはどこにあるのでしょうか?根本的に技能、芸風や魅力が違い、一発屋芸人は人を引きつけるような自分の芸がなかったのでしょうか?

いろいろな番組を見ると、そうでもないことが分かります。ベテランであろうが一発屋であろうが、各々特徴的な持ちネタがあり他の芸人とは全く異なる芸で観客を笑わせ、人気を集めているのです。これは、ビジネスの世界のUSP(Unique Selling Proposition)すなわち独自の販売を提案することに通じます。

 

どこで差が生じたのでしょうか?

さて、テレビでお笑い芸人を見ている分には、両者の違いにはないように思えるのですが、どこで差が生じたのでしょうか?この疑問に対して、明確な考え方を持っていた元お笑い芸人がいるそうです。

元お笑い芸人Sは18歳で芸能界入りし、20歳代で漫才コンビを組んでリーゼント頭で「ツッパリ漫才」と呼ばれて爆発的人気を得、20歳代後半には個人としての活動が多くなってコンビを解散し、30歳代では歌番組やバラエティ番組の司会者としての活動に転身し、40・50歳代では24時間テレビの総合司会や法律を話題にした番組や鑑定を話題にした番組などテレビ局を代表する高視聴率の番組の司会を行うなど、人気は絶大でした。

 

ただし、「黒い交際」で突然引退したのは、多くのファンが知ることと思います。50歳代で引退したとは言え、芸が飽きられて人気がなくなったために引退したわけではなく、30年近く人気を博したことは息の長いベテラン芸人を代表する存在でした。

しかしながら、18歳代で芸能界入りした当初は、売れずにコンビの相手を変えたりしており、キャバレーの呼び込みのアルバイトなどもしていたそうです。

 

ところが、他の芸人と違うのは、そのときに活躍している漫才コンビのレギュラー本数をグラフで表して部屋に張ったり、劇場に通って他人の漫才を研究して緻密なノートを作成していたことです。

このような研究は、売れっ子芸人になってからも続けていたと考えられます。後年、彼はあるビデオの中で、「お笑いは、ただセンスや感情に頼っていては、生き残っていくことはできない」と言っています。

 

すなわち、「お笑いは話しが面白いから受けるのではなく、話しのリズムや音の強弱に聞き手が反応するのであって、受けるお笑いには、必ず法則がある」そうです。そして、彼はその考え方を徹底的に追求して、自分の位置づけに応用したとのことです。

 

息の長いベテラン芸人は「お笑いの法則」を認識し、社会情勢とともに変化する視聴者の感情に自分独自の芸風を合わせることで長く人気を保つのです。これに対して、一発屋の芸人はこのような法則を考えることなく、自分の感受性や感情だけで自分独自の芸風を築こうとします。

その芸風が偶然その時の視聴者の感情と一致すると爆発的な人気を得るのですが、視聴者の感情が変化するにつれて、興味を持たれなくなってしまうのです。つまり、視聴者の感情の変化に追いついて行けないのです。

 

「お笑いの法則」は、ビジネスの世界でも同じことが言える

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「お笑いの法則」は、ビジネスの世界でも同じことが言えます。ビジネスにおいても、お客様の感情がどんどん変化しており、時流とともに商品に対するニーズが変わります。新たに開発した商品が運良くそのときのお客様の感情と一致した場合は、莫大な利益を得ることが出来るかもしれません。

しかし、それが長く続くわけではありません。一時の成功体験に満足して、社会情勢の流れを読み取らないと、徐々に市場のニーズに会わなくなって売れなくなります。「お笑いの法則」と同様に、市場のニーズは次第に変化することを認識していないと、商品が売れなくなった原因も理解できず、売り上げを増やす対策も立てられないのです。

 

いつまでも人気が続くベテラン芸人のように、ビジネスにおいて売り上げが落ちることなく長く継続するためには、その時流のお客様の感情を読み取って取り扱う商品を合わせる必要があります。

新商品を販売したら偶然時流のニーズに合って大幅に売れ行きが上がったとしても、一発芸人と同様にある日から突然売り上げが落ちて倒産することも珍しくありません。

 

あなたのビジネスが人気の続くベテラン芸人のように長く継続できるのか、あるいは瞬間的には売り上げが伸びるが直ぐに売れなくなる一発屋で終わるのかは、一時の自分だけの感受性や感情に頼らずに社会情勢の変化を読み取り、上手に適合して商品開発をできるかどうかによるのです。

 

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