起業後の手続きに必要な届け出書類と許認可事業

起業

起業をして会社を設立すると各機関に届け出が必要です。認証や登記、定款に印鑑など多岐に渡ります。許認可事業の場合は、さらに複雑になってきます。と言われても何を用意して、どこに届けをするのだろうと混乱してしまいます。そうならないために、起業前にしっかりと把握しておきましょう。

 

会社設立後に必要な届け出書類など5

 1.印鑑について

会社を設立するにあたってさまざまな書類を作りますが、初めにその書類を作るための法人用印鑑が必要になってきます。

次の4通りの印鑑を作る必要があります。業者に頼むとセットで作ってくれます。

法人実印

登記に必要

悪用される危険もあり、厳重に保管。気軽に押さない。

銀行印

法人口座の開設

法人口座の開設には会社の登記簿が必要になりますので、この

段階では口座は持てませんが、一緒に作る方が良いでしょう。

社印

領収書や請求書

一番使用頻度が高いものになります。

ゴム印

社名・所在地など

所在地・社名・代表者名・電話番号など署名の手間が省ける

 

材質などにこだわるのでしたらきりがありませんが、安ければ法人印・銀行印・社印の3本セットで3000円ぐらいからあります。

ゴム印も1000円程度から造れます。

法人実印だけでも会社運営はできますが、何にでも法人実印を押すのは危険ですので、4種類を作っておくほうがいいでしょう。

 

2、会社定款の作成

設立する会社の憲法とも言える基盤です。

司法書士に依頼するのが通常で、今はWEBでひな型を入れるだけの簡単なものもあります。

念願の会社設立です。

自身の会社の憲法ですから、最後は司法書士にお願いするとしても、自身の手で作成の労を取ってみてはいかがでしょうか。

 

3、公証役場での認証

定款が完成すると、公証役場へ行って認証を取ります。

必要となるものは、

・作成した定款3部

・発起人(出資者)全員の印鑑証明

 全員が揃わないのであれば、その委任状。

・発起人の実印

・身分証明書

・手数料             50000円

・印紙代             40000円

・定款の謄本交付手数料  ページ数×250円

 

定款が受理されると、提出した定款の1通が原本となり公証役場に保管され、残り2通が謄本となります。1通は保存用もう1通は法務局で、いよいよ会社の登記です。

 

4、資本金の払い込み

発起人の個人口座に資本金を振り込みます。

・貯金通帳の表紙

・振り込まれた金額が記載された記帳欄

・表紙を開いたところの個人情報欄

をコピーします。

印鑑を作り、定款に苦労して公証役場の認証に資本金の払い込み。

まだ、嫌にならないでください。

やっと会社の登記の準備ができただけです。

ただし、ここまでくれば後一息です。

 

5、会社の登記

5-1登録申請書を作成します。

法務局で申請書をいただいてくるか、法務局のホームページよりダウンロードすることも可能です。

 

5-2商業登記にかかる登録免許税という税金がかかります。

株式会社では、資本金の1000分の7(計算した額が15万円に満たない場合は、申請1件につき15万円)

収入印紙で納付する場合と、法務局指定の銀行口座への振り込みの2つがあります。法務局によって違うこともありますので、事前に電話で確認した方がいいでしょう。

印紙貼用台紙に貼り付けて申請するのですが、間違えて一度貼り付けたものを剥がして貼り直すと受理してくれない可能性もあるので、法務局で聞きながらやる方が安全かもしれません。

 

5-3定款1部

 

5-4発起人決定書

代表取締役を明記するもので、ホームページよりダウンロードできます。

 

5-5取締役就任承諾書

取締役に就任することを承諾したという書類で、やはりネットからダウンロードできます。

 

5-6代表取締役就任承諾書

取締役が1名なら必要ありません。書き方は5-5と同じような文面です。

 

5-6監査役就任承諾書

これも監査役を置かないのであれば必要ありません。

 

5-7取締役の印鑑証明書

公証役場に提出したものと同じで、取締役全員分の印鑑証明です。

 

5-8資本金の払い込みの証明

法人用口座に振り込んだ折にコピーした 通帳の表紙・記帳欄・個人情報欄です。

 

5-9印鑑届出書

初めに作った会社の実印の届けです。法務局のホームページからダウンロードします。

 

5-9登記すべき内容をCDに保存したもの

これらの上記のものは紙媒体でも作成できますが、法務局の登録申請書からダウンロードしCDに保存します。CDの規格や記載方も定められていますが、紙媒体に代えることができます。

 

上記の準備が出来たら、いよいよ法務局に申請にいきます。

今は便利で、様々な書類がWEB上で手に入ります。時間の短縮になりますが、もし時間があるのでしたら、法務局へ直接行って書類をいただくのもいいでしょう。

 

ここまでくると、起業するのだという実感が沸いてきます。

分からないことは、担当者が親切に教えてくれますので、勝手な判断をせずにドンドン質問していけば難なく登録申請はできます。

 

文章にして番号を付けて説明すると、何かすごく大変だと感じるかもしれませんが、難しいというものは一つもありません。

 

許認可が必要な事業

 事業内容の中には許認可を必要とするものが存在します。

必要な許認可を得ずに事業を行えば営業停止や、その状況によっては逮捕され刑事罰を受けることもありますので、事業を始める折や、事業の拡大を図るおりには注意し確認しなければなりません。

 

許認可を必要とする事業はたくさんあり、その相手も警察・保健所・各都道府県など多岐に渡ります。

そのため、許認可のいらない事業はどれですか?

と考えるのではなく、これから参入しようとしている事業に許認可が必要かどうかを調べるしかありません。

 

調べ方として一番確実なのは、各都道府県にある「中小企業振興センター」に相談に行くことです。これとこれは許認可事業だが、よく似ているこれは書かれていないからと、独自判断をするのは危険です。せっかく準備してお金をかけて営業できないなんていうことも出てきます。

 

せっかく思いついた新規事業をあきらめろというのではありません。

許認可事業なのかどうかを確認して、それに許認可が必要なのであれば申請を行い取ればいいのです。

 

許認可事業には5つの種類があります。

届出

原則審査がなく、行政機関に届け出るだけです。

登録

行政機関に届け出て、定められた名簿に登録されます。

認可

行政機関に届け出て定められた要件を満たさなければ認可されません。

許可

安全性なども含めて、厳しい審査があり、合格しないと営業できません。

免許

特定の資格を持っているものが定められた要件を満たして営業できます。

 

上記の届け出・登録は読んで字のごとくですし、免許事業というのは、放送局や銀行・証券など特殊なものですので少しわかりにくく、最もこれから始める事業に関わる可能性がある「許認可事業」をご説明いたします。

 

許可—–ブルタニカ百科事典による

    法令による一般的禁止を特定の場合に解除する行政行為。

    許可を受けないでした行為は行政罰、強制執行の対象になることがある。

 

認可—–ブルタニカ百科事典による

-法律行為に付随してこれを補充し、その法律上の効力を完成させる行政行為。

     認可を受けるべき行為が認可を受けなかった場合には無効となる。

 

言葉の意味だけを比べても、この二つは大きく変わるものです。

許認可事業という言葉を使いますが、今から自身が展開を考えている事業がどちらに当たるものなのかを、しっかりと調べる必要があるということです。

 

一例として許可・認可事業とそれぞれの行政機関を表にして挙げることも考えましたが、それはやはり一般的な一例となり網羅することはできません。

苦労して会社の登記を行い、許認可が取れないでは、時間やお金の無駄どころではありません。

 

「この事業は多分これに該当するだろうから大丈夫」

 

などという楽観的な考えではなく、前述致しました「中小企業振興センター」で確認するべきでしょう。

 

最後に

「起業をする」

大変な決意ですし、皆が経験できることではありません。だからこそ、最大限経験をしましょう。

その経験と苦労の全てが必ず今後の会社経営にも、その会社に集まる人たちにとっても、大きなプラスになります。