戦略と戦術の違いとは?いったいどちらが大事なの?

From:松本泰二

テレビや新聞で「戦略」とか「戦術」という言葉がしょっちゅう出てきます。例えば、政治・経済関係のニュースや解説ではアベノミクスの成長戦略・日本再興戦略などが盛んに報道され、参議院での投票の際には牛歩戦術が話題になったりします。また、NHKの大河ドラマでは、戦国武将の戦略や戦術を巡ったストーリーが展開されて高い視聴率を確保しています。

さらに、新聞、雑誌やインターネットでは、企業活動の動向や経済情勢の分析などで「経営戦略」などの言葉がよく使われます。このように普段よく使われる言葉で耳や目に慣れてしまって、気にも留めずにいるかもしれませんが、改めて意味を問われたらきちんと説明できるでしょうか?

「戦略」と「戦術」は似た漢字で、うっかりすると「略」と「術」を逆に書いてしまいそうです。両者の違いを認識して使い分けているでしょうか?自分の仕事に係わる「戦略」や「戦術」を把握して、きちんと仕事をしているでしょうか?また、起業を考えている人には、注目すべき言葉です。

 

「戦略」とは/「戦術」とは――どう違う?

漢字の「戦」の通り、元々は軍事用語で使われているわけですが、徐々に政治、ビジネスや一般社会でも使われるようになってきました。そうなると、元々の意味や趣旨が変化して使われたりしていることもあります。その辺りから見てみましょう。

 

◇戦略(Strategy)とは

軍事的な元の意味では、「戦略」とは、戦争において基本的コンセプトの基に作戦計画を立てて、軍隊・兵力を総合的・効果的に統率・運用して一連の敵との戦いを優勢に導く方策で、大局的・長期的な視点で策定することが要求されます。

敵国に勝つためには、同盟国と連携したり、或る国とは不可侵条約を結ぶなどの国家レベルの判断も入ってくるでしょう。政治やビジネスの分野になると、国、政党や会社などの組織が目的とする政策や事業などを掲げ、運営や行動規範の基本方針を策定することになります。

 

戦争では必ず敵がいて戦うのですが、政治やビジネスでは必ずしも敵がいるとは限らず、敵に相当する競争相手がいたとしても戦って倒す必要はなく、自分自身が掲げた目標を達成できるかどうかが重要であることで両者の違いがあるかもしれません。

これらの本質的なところをまとめると、「戦略とは、目標・コンセプトを掲げ、これを達成するための全体計画すなわち筋道」といえるでしょう。もっと単純にいえば、「戦略とはコンセプト達成の筋道」です!

 

また、戦略を策定するのは、組織の最高責任者あるいはそれを補佐したり権限を委譲された立場の人や組織となります。

例えば、国であれば首相や関係大臣、軍隊であれば幕僚長や関係将官や佐官などです。会社の場合には、規模や業種にもよりますが、社長、取締役会、経営会議あるいはCEO~等々様々な形態があります。

 

◇戦術(Tactics)とは

一方、軍事的な元の意味の「戦術」とは、戦地において戦闘で勝利する手法・技術といえます。すなわち、部隊の配置・展開を策定し、戦車、戦闘機や艦船を運用して敵を効率的に攻めて勝つための方策を考えます。

政治やビジネスの分野になると、戦車や艦船を運用する代わりに、具体的・実践的な政策や法律の立案、商品開発、集客や販売などの方策を考え、その手法や技術が戦術といえます。

 

これらの本質的なところをまとめると、「戦術とは、戦略で掲げられた目標・コンセプトにしたがって、具体的・実践的に実行して成果を出すためのテクニック」といえるでしょう。もっと単純にいえば、「戦術とは筋道を踏んで実行するためのテクニック」です!

 

また、戦術を策定するのは、実際に現場で実行する立場の人や組織となり、期待された成果を出すためには、その現場の状況に応じて柔軟に対応する力量が大事になります。

例えば、軍隊であれば、戦場の地勢、敵と自軍の戦力バランスや戦闘状況などに関する指揮官の判断力や技量が重要になってくるでしょう。

 

また、会社の場合には、規模や業種、本社か支店か、都会か地方都市であるかなどの立地条件や顧客の年齢層などを考慮しながら取り扱う商品の種類や販売法などを工夫する必要が出てくるのです。これには、現場の責任者や担当者の力量が絡んできて、良くも悪くもなるのです。

 

「戦略」と「戦術」の関係は?/どちらが大事?

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先程述べたように戦略は組織のコンセプトすなわち理念に係わる重要なことで、これを策定するのも組織のトップです。一方、戦術は現場の担当者の技量に関係し、状況に応じて担当者や戦術を変えることも考えられます。

このような観点から、戦略は戦術の上位にあり、戦術は戦略を実行する手段の一つに過ぎないという見方が一般的かと思われます。このため、「戦術とは戦略の内部に存在する一部に過ぎない」あるいは、極端に「いかなる戦術も戦略に勝てない」といっている人もいます。

 

とはいえ、どんなに戦略が素晴らしくとも、戦術がしっかりしていなければ期待するような成果が上がらないことになります。いくら旗振り役が頑張っても実際に行動する人の技量がなければ、想定したように実践できないのです!戦術も戦略に並んで重要なことで、戦略と戦術は車の両輪といっても過言ではないでしょう。

 

今や、政治・経済・ビジネスなどの世界で多用されている「戦略」と「戦術」

インターネットで「戦略」のキーワードを入れて検索すると、数々の経営者向けセミナー、ビジネスモデルや経営に絡んだウエブサイト、あるいは会社名や組織名に戦略の言葉を付けているウエブサイトが多数見つかります。名前からは仰々しい印象がして、どんな事業を行っているのか気になるウエブサイトを見てみました。

例えば、「株式会社三井物産戦略研究所」の社長のメッセージでは、「グローバルな視点から、政治、経済、産業、社会、技術・イノベーションといった幅広い分野での調査・研究を行って~、様々な情報やデータを収集し分析し~」と述べています。

 

また、「日本戦略投資株式会社」の事業案内では、「当社は研究成果の実用化を目指す研究者の支援を通じて、オープンイノベーションを推進し~海外企業や日本各地の企業がつくば地域において大学や研究所と協力して高度な事業活動~」と謳っています。

 

両者とも名前の印象から受けるほどこわもてで厳めしいものではなく、事業内容は幅広い分野の調査・研究に関するものです。大局的・長期的な視点で取り組んでいることを強調するために「戦略」を組織名に入れているのでしょうか!

 

また、国の機関や地方自治体で行っている事業の名前にも「戦略」の言葉が使われています。例えば、農林水産省の「農林水産業の輸出力強化戦略」、厚生労働省の「戦略産業雇用創造プロジェクト」、「山形県版総合戦略の策定について」等々、数え切れないほどあります。

ただし、これらの事業内容から考えて、戦略の言葉を使う必要性があるかどうか微妙なところもあり、もっと適切な言葉があるとも思われますが、アベノミックスで掲げられている「成長戦略」や「まち・ひと・しごと創生総合戦略」などの影響があるのでしょうか?

 

なお、『成長戦略』は、元々経営学用語の一つで、「将来にわたって成長が見込め、利益をもたらすと想定される分野へ積極的、計画的に対応する方針」(ASCII.jpデジタル用語辞典の解説)であり、「事業体が経営目的を達成できるようにするための方策」である『経営戦略』とともに、経営者向けセミナーなどでよく使われています。

これまで、「戦略」のキーワードで検索した政治や経済関連の話題を見てみましたが、「戦術」で検索すると、会社名や組織名に戦略の言葉を付けているところは見当たらず、両者の趣旨の違いが認識されて使い分けられていることがわかります。

なお、政治関連では、「牛歩戦術」が国会投票の際に話題になったりします。提出された法案の可決を時間切れで阻止するための手法ですが、目的を達成する手法という意味で「戦術」がぴったりの言葉です。

 

以上のように、軍事とは縁のない分野で「戦略」と「戦術」が多用されているのはどうしてでしょうか?これらの言葉を使う必然性がないところでも見かけます。

これらの言葉を使う理由の一つは、会社や組織の活動目的と達成手段を組織内で明確に認識させて意思統一を図るのにわかりやすいことです。会社や組織の在り方、理念や事業に対する取り組み姿勢を社員に理解してもらい、共感を得るのです。

 

社員が納得しないのに、ただ単に働け、頑張れと尻をたたいても、逆にやる気をなくして成果が上がらないのです。下手をすると、ブラック企業として評判を落としてしまいます!社員が納得すれば、自分なりに責任感を持って会社のために働こうという気持ちが出てきて、頑張るのです。

もう一つは、外部に会社や組織の特色を印象づけることではないでしょうか。テレビコマーシャルなどでいくら商品を宣伝しても、どんな会社かよくわからなかったり、イメージが悪かったりすると、売上げ増につながりません。会社の商品開発に対する取り組み姿勢やコンセプトなどを顧客に説明し、親近感を持ってもらうのです。

 

まとめ

テレビや新聞で「戦略」とか「戦術」という言葉がしょっちゅう出てきますが、その意味を再考するとともに、いろいろな分野で使われている背景を見てみました。

会社員あるいは組織の一員であれば、所属するところの戦略を把握し、戦術にしたがって行動するあるいはより良い戦術を考えて成果を上げることが大事です。また、戦術を考えながら自分の力量を磨くことも大事です。

 

なお、これから起業を考えている人は、経営戦略を作ることから始まるのではないでしょうか!会社の形態、事業目的、規模、商品開発や長期的な目標などを検討しながら経営戦略を描いていくのです。

さらに、実践的な事業展開、市場調査、集客や商品の販売方法などを検討しながら戦術を錬っていくのです。その過程で、いろいろな不具合に気づいて修正を重ねることにより、より良いプランに仕上げることができるのです。しっかりとした戦略と戦術を作ることができれば、起業が成功へとつながるでしょう!

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松本 泰二

1978年12月 東京都練馬区生まれ。O型。アイデア創出の支援を専門にアイデア創出戦略家として活動。ほぼ毎日、誰かとブレストをしています^^。ほぼ毎週、起業アイデアを出すワークショップを開催しています。