起業後に失敗しないための中小企業診断士の経営スキル

起業

起業家にとっての最大の目的は何でしょうか。それは独立して自ら新たなサービスを生み出し、社会を変化させ続ける点にあり、けして起業すること自体が目的になってしまってはいけません。その目的を果たすための課題は、自分たちの事業を廃業させないで続けていくことです。

そのためには高い経営スキルが必要となります。その経営スキルを磨くのに効果的なのが、中小企業診断士の資格です。具体的には、中小企業診断士の有資格者のコンサルティングを受けることです。それでは、中小企業診断士の資格はどのように取得でき、どういうスキルを身につけられるのでしょうか。

 

中小企業診断士資格の取得方法は?

 中小企業診断士の資格は国家資格であるため、この資格を取得できた人は一目置かれる存在となり、より活躍の場が広がります。起業家として取得することで、自社を客観的に見ることができるようになります。

 

この資格に登録されるには、2通りの方法があります。ひとつは、1次試験と2次試験の2つを受ける方法です。それぞれの試験は年に1回ずつ実施されます。まず1次試験は、受験資格に明確な制限がなく、希望者なら誰でも受けられます。試験科目は経済学・経済政策、財務・会計、企業経営理論、運営管理、経営法務、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策であり、経済や経営に関する分野が網羅的に出題されます。試験方法は、複数の選択肢や解答群から正解と思われるものを選択し、マークシート上で該当する解答欄にマーキングする方式です。合格基準は、総点数の60%以上とされていますが、そのほか細かい基準がいくつか設定されており、詳しくは中小企業診断協会HP(https://www.j-smeca.jp)を参照して下さい。

 

1次試験合格者のみが2次試験を受験できます。試験方法は1次と大きく異なり、記述試験と口述試験です。そのため各専門分野において本質的な理解が必須となります。合格基準は総点数の60%以上。詳しくは中小企業診断協会HPをご参照下さい。2次試験合格後、実務補習を修了するか診断実務に従事することにより、登録が完了します。

 

そしてもうひとつは、1次試験合格後、中小企業基盤整備機構または登録養成機関が実施する養成課程を修了することによっても登録を受けることができます。

 

中小企業診断士の資格を取得するとどんなスキルが身につくのか?

中小企業診断士は、その準備段階で様々なスキルを身につけることができます。まず1次試験に向けての勉強をすることにより、経営を横断的に見る力が身につきます。先述した通り、1次試験では経営に関わるあらゆる分野から網羅的に出題され、また合格基準が高いがために一部の分野に特化することがいっさい許されません。例えばもともと法務関係に強い人であっても、工場のオペレーションについて正しく理解していなければならない等、どの分野についてもある程度の理解を有することが大前提となるわけです。それにより、どんな分野の相談にも対応でき、またひとつの相談に対してあらゆる分野を総動員して解決に当たることができるのです。

 

また、2次試験に向けての勉強をすることにより、自分の力で問題を解決する力や、自分の言葉で論理的に説明・説得する力が身につきます。これは、実際に経営者と対話していく中で非常に重要なスキルです。

 

■中小企業診断士のメリット

 ・経営コンサルタントとして知識を持っている裏付けができる。ベンチャーキャピタルとの交渉を有利に進めることができる

 ・人脈が広がる。資格を取得すると診断士の研究会や他の士業の方と集まる機会があります。そこで、グッとハイレベルな人脈作りができ、そこから、仕事の依頼も期待でき、自分の成長にもつながる。

 ・公共機関からの仕事もゲットできる。民間企業からの依頼ばかりではありません。安定収入が臨める公共機関からの依頼も期待できる。希少価値の高い資格なので、重宝されます。

 ・事業の幅を広げることができる。別のコンサルタント会社を設立しても、診断士として登録されることで経営コンサルタントとしても事業を展開できます。ニーズの高い業界なので、本業以外からの収入を望める。

 

 経営者は中小企業診断士の有資格者にどのような支援を受けられるのか?

資格を取得しなくても、起業家として中小企業診断士を利用することでも同じメリットがあります。

 

資格スクエア(https://www.shikaku-square.com/category/69)によると、中小企業診断士の役割は大きく3つあります。まずひとつが、経営コンサルタントとしての役割です。すなわち、企業の経営状態を診断し、経営の効率化や合理化、人事や賃金の見直しなどを行い、経営の強化を図ります。

 

続いて、行政と企業をつなぐ役割があります。行政は、企業に向けての様々なサービスを提供しようとしていますが、それらのサービスを受けられるのは、多くの場合、一部の企業に限られているのが現状です。中小企業診断士は橋渡し役として中小企業の実情を行政に伝え、中小企業もそのようなサービスを受けられるように改善していきます。

 

さらに、企業と他の民間専門家とをつなぐ役割もあります。中小企業診断士は、企業経営の様々な局面において、経営者の悩みに応じて、弁護士などの専門家へ橋渡しを行います。

 

企業の経営者は、中小企業診断士の有資格者を社内に有することで、以上のような支援を受けることができるのです。

 

中小企業診断士は自ら独立開業することもできる

 中小企業診断士の有資格者のほとんどは、各企業内に所属するかたちで活躍しております。しかし、けして中小企業診断士としての知識やスキルは企業内だけで生かせるものではなく、その知識やスキルを生かして自ら独立して開業することも十分可能なのです。

 

取得したいビジネス関連資格1位というだけあって、独立に有力な資格です。

中小企業のコンサルティング能力を国からお墨付きをもらうことで、同じような起業家に起業の喜びや楽しさを伝えることができます。

 

また、自分でビジネスを立ち上げるための知識を得る目的でも役立ちます。

 

まとめ

 このように、経営者が社内に中小企業診断士の有資格者を抱えること、あるいは自ら中小企業診断士の資格を取得することは、企業の経営を持続していく中で非常に有意義に働きます。難関な試験ではありますが、需要は高まっています。

 

試験科目を多く取得するまでに時間はかかりますが、実際に合格を目指すのではなく、中小企業診断士の勉強をすることで、起業に生かすことができます。新しい発想や見方などが身に付くことで、ビジネスの質を高めてくれます。もし、スタートアップが間違った方向にいってしまっても、すぐに問題に気付き軌道修正が可能です。

 

中小企業診断士の勉強をすることでのデメリットはありませんので、勉強だけでも触れてみてはいかがでしょうか。